「出世できても断りたい」 管理職を避ける若手IT人材たち……上司には言えないむき出しのホンネ(2/3 ページ)
「社内政治がしたいわけではない」
別の理由を挙げる人もいる。とある企業で車載機器の開発を手掛けるBさん(20代後半、仮名)は「情報技術そのものに関心があって入社した。プロジェクトマネジメントは別として、社内政治がしたいわけではない」と話す。あくまで興味があるのは技術や技術力の向上で、管理職としての業務に関心はないという。
Bさんも新卒から現在の会社で働くプロパー社員。もともと外交的な性格ではなく「同期の集まりですら抵抗があるのに、大規模なイベントで管理職があいさつ回りをしているのを見て『あれは無理だ』と感じた」ことがきっかけで、さらに管理職への関心をなくしたと話す。
Nさんと同様、待遇面の問題もある。Bさんの勤め先も、管理職になって残業代が出なくなると、昇給を踏まえても手取りが大きくは変化しない。そのため「管理職は24時間働いているように見える。同じ働き方になると思うと、報酬が見合わないと感じる」とため息をつく。
企業は権限の分散やキャリアパスの整備を
先述したレバテックの調査によれば、IT人材が管理職になりたくない理由の1位は「責任やストレスが増えそうだから」(44.7%)、2位が「適性がないと感じるから」(15.4%)、3位が「技術者としての専門性を磨きたいから(12.8%)、4位が「業務が残業時間が増えそうだから」(4.6%)、「プライベートとの両立が難しそうだから」(5.0%)。NさんやBさんの所感にもおおむね当てはまる。
調査結果も踏まえると、現状は組織のネクストリーダーを確保しにくい状況とも言えそうだが、企業の経営・人事サイドはこの状況をどう受け止めるべきか。レバテックの泉澤匡寛代表執行役社長にも話を聞いた。
泉澤社長は待遇の見直しや権限の分散、キャリアパスの整備が肝要と話す。例えばNさんのような例については「管理職手当や基本給の見直しを通じて処遇の妥当性を担保するとともに、管理職に求める役割や権限を明確化し、昇格によって得られる裁量や成長機会、中長期的なキャリア価値を丁寧に伝えることが求められる」「待遇改善と同時に特定の管理職に業務や意思決定が集中しない組織づくりも重要」という。
「実際に、管理職やプロジェクトマネジャーとして多忙に働く上司の姿を見て『自分も同じような働き方になるのではないか』と懸念を抱き、昇進を敬遠するケースも少なくない。特定の管理職に業務や意思決定が集中しないよう権限委譲を進めるとともに、次世代リーダーの育成を通じてマネジメント負荷を組織全体で分散させることが重要」(泉澤社長)
一方Bさんのような例に対しては「エンジニア職種や役割を細分化し、それぞれに応じた評価基準を明確にすることが重要」として、専門家として技術の追求が可能なキャリアパスの整備が必要と分析する。
「プロジェクトのマネジャーや上長による評価に加え、技術力そのものについて高い専門性を持つエンジニアが評価に関与する仕組みが望ましい。重要なのは、エンジニアの要望を無条件に受け入れることではなく、事業方針と技術戦略を擦り合わせながら、技術者が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整備すること。現場との継続的な対話を通じて、必要なツールや開発環境への投資を迅速に行える企業ほど、優秀なエンジニアの定着と活躍を実現できる」(泉澤社長)
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