分かりにくいけれど面白いモノたち
お湯が固形化したみたい? 「STTA テックオシボリ」担当者に聞いた新素材の特性と“気持ち良さ”の秘密(2/6 ページ)
これまで、STTAブランドの商品に使われてきたのは、吸水性能に特化した「ソフラス」という多孔素材だった。もとは工業用の素材で、あっという間に水分を拭き取り、あっという間にそれを排出できた。
そして、テックオシボリに使われているのは、「クレマタッチ」という新しい素材だ。従来の吸水スポンジの素材でもあるPVA(ポリビニルアルコール)を、肌触りの良さと速乾性を中心に改良した。だからアイオンは、この素材を当初は“新しいタオル”と捉えていたという。
「ソフラスは工業用の素材でしたが、クレマタッチは人の肌に使うものという発想で3年くらいかけて作ったということもあって、製品化もタオルを考えていたみたいです。でも、世の中を見たとき、素材の値段自体が普通のタオルに比べて安くはないので、じゃあ、ちょっと高い価格帯のタオル売り場にこれが並んで、勝てるかというと、それはやっぱり難しいだろうと思ったんです。それに、乾いたら硬くなる素材なので、タオルとしては分かりにくいし」と今井さん。
速乾性のハイテクなタオルというと、マイクロファイバーのタオルが思い浮かぶ。バスタオルくらい大きなものでも安価で売られているし、小さく畳めるのも便利だ。それを考えると、濡らすと柔らかくなるけれど、乾くと固くなる「クレマタッチ」は、吸水性、速乾性がマイクロファイバーに比べて大きく勝っているとはいっても、商品としては不利だろう。大きなタオルにするとなると、価格もかなり高くなる。
「クレマタッチの商品化を考えた時、タオルとはこういうものだ、という前提がじゃましてたと思うんです。だから、この素材は従来のタオル的なものじゃないということを前提に置いて考えた方がいい。そうして出てきたのが、乾いた状態で使うのではなく、ウェットタオルという発想です。アイオンさんが、ドライ・タオルとして発想するのは、それは仕方ないと思うんです。元々、吸水性を得意としているメーカーですから、乾いた状態で使うのが当然の前提になってるんです。そうじゃないというのが僕の意見で、この素材は濡れてからが勝負であるという考え」と、今井さんは、発想の最初を話してくれた。
乾いた状態では固くて、濡らせば柔らかい素材だから、濡らして使うものだという認識がありながら、乾いた状態から使うタオルから発想が離れられないと、どういう製品にしていいかが上手くまとまらないのは当たり前だろう。とはいえ、人肌に使える高吸水性スポンジを作ったわけで、最初の発想がタオルだから、そこから離れられないのも無理はない。それを「濡らして使う、ウェットタオル」という発想が出てきたことが、この製品の全てなのだと今井さんは言う。
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ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
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