KDDI、社内の全システムで脆弱性診断へ 1220万人分漏えいで「未知の脆弱性と片付けない」

 KDDIの松田浩路社長は8月7日の決算会見で、ISP事業者向けに提供するメールシステムへの不正アクセスにより、メールアドレス1223万人分、パスワード762万人分が漏えいした件を巡り、「未知なるものと片付けるのではなく、AIを活用して潜在的な問題を事前にチェックしていく」と、AI活用や全システムへの脆弱性診断によって再発防止を目指す姿勢を示した。

決算会見で説明するKDDIの松田浩路社長(出典:KDDI決算会見の配信より、以下同)

 不正アクセスの原因は、KDDIが採用していたサードパーティーソフトウェアの、ベンダーも認識していなかった脆弱性。これにより、STNet、KDDIウェブコミュニケーションズ、JCOM、中部テレコミュニケーション、ニフティ、ビッグローブの6社が手掛けるメールサービスに影響が出た。

 松田社長によればメールシステムに旧来の通信規格が混在していたことも問題だったといい、ISP事業者とともにセキュリティ強度の高い規格へ早期に移行する方針を示した。

 さらに、不正アクセスを受けたシステムに限らず、KDDIが保有するシステム群全体に優先度を付けて脆弱性診断を実施中だと明かした。松田社長は「9月末まで、あるいは年内といった形で優先度によって時期を区切り、急ピッチで進める」と述べた。

不正アクセス事案の概要と対策

不適切取引は代理店4社に329億円の賠償請求

 松田社長はビッグローブなど子会社2社の広告代理事業を巡る不適切取引事案にも触れた。架空循環取引に関与した代理店に手数料名目で流出した総額329億円について、うち4社に損害賠償請求訴訟を提起したことを明らかに。一部の代理店には仮差し押さえを申し立てた上で、速やかに訴訟を提起する予定だ。告訴に向けて警察への相談も始めており、捜査に協力するという。

不適切取引事案を巡る民事・刑事手続きの進捗

 再発防止策の進捗も公表した。6月までに、グループガバナンスの総点検の対象とした110社で対応を完了。与信審査AIシステムや、財務データの異常値を検知するツールも新たに導入した。

 松田社長はルール運用の徹底を「ドライな部分」、グループ会社経営トップ93人との対話セッションなどを「相互信頼のウェットな関係づくり」と位置付け、両輪で進めると説明した。

グループガバナンス強化の再発防止策

決算は増収増益、auショップ全店にAIも

 同日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)連結決算は、売上高が前年同期比5.1%増の1兆4873億円、調整後営業利益が同21.1%増の3143億円、調整後当期利益が同21.6%増の1934億円の増収増益だった。

 モバイル通信収入の増加が増益をけん引し、金融やデータセンターなどの成長領域も伸びた。スマートフォン解約率は1.17%と前年同期比0.06ポイント改善し、稼働数は同39万増の3330万契約、ARPU(1ユーザー当たりの平均収入)も同160円増の4400円に上がった。

27.3期1Qの連結業績ハイライト
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