終了発表の縦読み漫画「comico」――元重課金ユーザーが振り返る「いつしか開かなくなった」理由(2/2 ページ)

 もっとも、無課金層の離脱だけであれば、収益への影響は限定的だったはずだ。comicoの存在感が薄れた背景には、別の要因もあったように思う。

 記者がcomicoを読み始めたのは2015年末ごろ。それから21年ごろまで、波はありつつも、スマートフォンのホーム画面にはいつもcomicoのアプリアイコンがあった。公式作品を基本無料で公開していた時期から、一人の読者としてサービスの変遷を見てきたつもりだ。そのうえで、特に印象に残っているのが、連載・掲載を途中で終える作品の多さだ。

 学生時代とコロナ禍が重なったこともあり、記者はcomicoに限らず、複数の縦読み漫画サービスにのめり込んだ。それでも他のサービスと比べて、comicoでは作品が途中で終わるケースが次第に目立つようになっていった。記者はランキング上位以外の作品も読んでいたが、一時期そうした作品が立て続けに掲載終了となったほか、「ネト充のススメ」「ナンバカ」などの人気作品も、作者の体調不良などを理由に途中で連載・掲載を終えた。

 その後、作者が別のプラットフォームで既存話を再公開したり、作品の展開を続けたりする一方、comico上では過去の公開話が読めなくなったケースもあった。当時、こうした状況に対し、記者自身も不満を感じていたほか、コメント欄でも戸惑いや不満を訴える読者が少なくなかった。Xでも、「面白い作品ほど途中で終わった印象がある」「立て続けの打ち切りで読む作品がなくなった」など、連載作品の終了を振り返る声が上がっている。

 終了した作品の傾向や当時の作者コメント、コメント欄の反応などを踏まえた記者個人の見方になるが、こうした“立て続けの終了”は、前述したcomicoの「女性向け作品への注力」と時期こそ重なるものの、それが主な原因だったとは考えにくい。

 特に違和感を覚えたのは、人気作品であっても物語の途中で連載が終わったり、作者の体調不良を理由に終了したりするケースが相次いだことだ。一部作品では、作者と運営側の関係悪化をうかがわせる動きも表面化し、作者がXで自殺をほのめかすような投稿をするといった騒動もあった。読者から見ても、運営と作家の足並みがそろっていないのではないかと感じる場面が少なくなかった。

「comico」で生まれた作品は今後も続いていく

 NHN comicoは今回の発表で、サービスの終了理由については明らかにしていない。ITmedia NEWSが同社に問い合わせたところ、終了に至った背景や理由については「回答を控える」にとどめた。

 記者自身、comicoから離れてすでに時間がたっており、その後の動向を継続的に追ってきたわけではない。ただ、利用を続ける中でサービスへの違和感を覚える場面が増えていったのも事実だ。終了理由が明かされていないため、直接結び付けることはできないものの、こうした変化がユーザー離れを招き、サービス終了に至る要因の1つになった可能性はあると思われる。

 同社は、 19年12月期から6期連続で最終赤字を計上している。20~22年には3年連続で10億円超の赤字となり、22年12月期には15億4500万円まで膨らんだ。 一方、直近の25年12月期は1億6400万円の最終黒字に転じている。なお、同社は「comico」以外の事業も手掛けており、どういった内訳になっているのかは不明だ。

 一方、comicoで生まれた作品が消えてしまうわけではない。同社は8月18日、サービス終了後も連載中の作品の制作を続け、他のプラットフォームを通じて国内外に展開すると明かしている。今後は漫画の編集・制作事業に注力するという。10年以上培ってきた縦読み漫画(Webtoon)のノウハウを生かしながら、Webtoonに限らない漫画表現にも取り組むとしている。

出典:プレスリリース
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