ヘボいロボット大集合 技術力が低いロボット相撲大会「ヘボコン」開催、ハイテクは減点

 技術力が低い開発者のためのロボット相撲大会「ヘボコン」が開かれ、個性豊かなロボットたちが珍妙なパフォーマンスが会場を沸かせた。

ロボットたちがつたない動きで白熱した戦いを繰り広げた =8月29日午後、東京都渋谷区(三尾郁恵撮影)

 ヘボコンは2014年に始まったロボットコンテストで、参加条件は「ヘボい(拙い、出来が悪い)ロボット」であること。長方形の土俵にロボットを置き、相手を倒すか外に出せば勝ち。遠隔操作や自動操縦などの高い技術を使うと「ハイテクノロジーペナルティ」として減点される。

大人も子供も真剣にロボット相撲を楽しんだ

 毎年夏に東京で開催されるメイン大会のほか、日本各地のみならず、米国やスペインなど25カ国以上の国々で大会が開かれている。

 今年のメイン大会は8月29日、東京都渋谷区の東京カルチャーカルチャーを舞台に開催。ただふざけたいだけの大人や、本気で勝ちに来る技術者、夏休みの子供に工作させたい親など、さまざまな思惑から誕生した32台のロボットたちが全国から集結した。

2回戦は4体のロボットたちによるバトルロワイヤル
初戦敗退したロボットたちによるエキシビジョン

雪の女王、魔法のステッキ間に合わず

 マネキンの首に縦横無尽に動くごついタイヤを装着し、雪の女王風に装飾したロボット「戦え、雪の女王」。回転して魔法のステッキで戦う予定だったというが、制作が間に合わずステッキはなしに。

 競技がスタートすると、予想外の勢いで回転し、倒れてしまった。

まるで生首のようなロボット「戦え、雪の女王」

ロボットより参加者の足元が気になる

 カーリングをテーマにしたというロボット「コールドラッシュ」。氷の上にタワシとハンディファンを取り付け、ファンの動きに合わせて歯ブラシがグルグル回る。カーリングがテーマだからと、なぜか参加者自身も足裏に氷を取り付け競技スタート。

 ハンディファンのスイッチをONにすると歯ブラシはポロリとはずれ、参加者も滑って転んでしまった。

足裏に氷を取り付けて競技にのぞんだ参加者。スケート経験はないという
競技開始後、まもなく滑って転んだ

AI搭載ロボットも…ポンコツ感

 今年のヘボコンにはAI搭載のロボットも出場した。その名も「HEBO‐GPT」。司会者がHEBO‐GPTに特徴を尋ねると、「絶妙な音声認識と、市販品ゆえの抜群の耐久性だ」と知的な受け答えを披露。

 さらにHEBO‐GPTは「ヘボいところはありません。こちらのロボットはあくまで高度な自律判断で動いてますよ」と主張した。

 これはハイテクノロジーペナルティに抵触するのでは?とざわつく会場。司会者がHEBO‐GPTに、ロボットは誰が操作するのか尋ねたところ「これは私の体です、するがやでかった…なんの話でしょうか?」など、徐々に受け答えがずれていき、ポンコツ感を漂わせ始めた。会場で見守る人たちはホッと胸をなでおろした。

AI搭載ロボット「HEBO‐GPT」のPC部分に話しかけると、絶妙にヘボい回答が返ってきた

大人げない優勝候補、まさかの敗退

 技術力の低い人のためのロボコンであるはずのヘボコンに、圧倒的な技術力で挑んでくるのが、常連参加者の元おもちゃドクターさん。ヘボコン界ではすっかり悪役扱いだ。

 今回、用意したロボットは「アヒルちゃん2号」。見た目と名前のかわいらしさとは裏腹に、足回りはダブルキャタピラにタイヤを追加しグリップ力を強化、ミニ四駆のハイパワーのモーターを実装し、制限ギリギリの998g(規定ではロボットの重量は1kgまで)まで重くしたという。

 対戦相手はあぜなかさんの「CalDrop~アメダママキビシしぶき機」。名前の通りあめ玉をマキビシのように土俵にまいて撹乱(かくらん)する作戦のロボットだ。

 結果は、元おもちゃドクターさんが敗退。マキビシのあめ玉により、アヒルちゃん2号のキャタピラが足をとられ、場外に押し出された。優勝候補のまさかの初戦敗退に会場はどよめいた。

「アヒルちゃん2号」には、技術力が低い人では工作が難しいダブルキャタピラが実装されていた
アヒルちゃん2号(右)のキャタピラにあめ玉のマキビシが巻き込まれ…威力は無効化された

優勝はしたけれど、賞品は……

 優勝したのは、トラックをイメージして作ったロボット「顔面だけイキリトラック」。荷台が釣り竿につながっており、対戦相手を荷台に乗せ、荷台を釣り竿で釣ってひっくり返す…という作戦が準決勝で見事成功。決勝も持ち前のパワーで相手を押し出し優勝した。

 しかし技術力が低いことが尊ばれるヘボコンでは、優勝者は雑に扱われる習わしのため、amazonで売っている一番安いトロフィーと、100円均一の工具詰め合わせが贈られた。

デコトラを思わせるロボット「顔面だけイキリトラック」
荷台は釣り竿で釣っていて持ち上げることができる

 「ヘボコン」は今年も、参加者らが趣向を凝らして制作したロボットたちによる名勝負が展開され、会場は笑いに包まれていた。(三尾郁恵)

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