シャープ、AIサーバ事業に参入 30年度に新規事業の“大半”占める売上2500億円目指す 狙いは?
シャープは9月15日、AIサーバ事業に参入すると発表した。同日から、米NVIDIAのGPUを搭載した業務向けAIサーバの受注を始める。まずはサーバ販売から開始し、今後は導入支援や保守、国内生産などに事業領域を広げる。国内のAI推論市場を主戦場に、2030年度に売上高2500億円を目指す。
第1弾として投入するのは、業務向けAIサーバ「AI-B43100」。NVIDIAのGPU「RTX Pro 6000 Blackwell Server Edition」を8基搭載し、推論性能は32PFLOPS。4Uのラック型で空冷方式を採用する。生成AIや業務AI、AIエージェントなどの推論用途を想定し、機密データを自社内に保持しながらAIを活用したい企業などをターゲットにする。
製品はNVIDIAのレファレンスモデルをベースに、シャープの親会社である台湾・鴻海精密工業(Foxconn)のグループ企業が製造する。シャープは国内で品質確認を行い、自社ブランドで販売。販売パートナーとしてダイワボウ情報システムやリョーサン菱洋などと連携し、導入・保守はトゥモロー・ネットと手を組む。今後は製品ラインアップも拡充。今回のRTX Proサーバに加え、27年度以降には、より大規模なAI処理やデータセンター向けとなるNVIDIA「HGX」ベースの製品の受注を始める予定という。
フィジカルAI普及を追い風に 2030年度売上2500億円目指す
AIサーバ事業に参入する背景としてシャープは、AIの需要がモデルを作る「学習」だけでなく、完成したAIを実際に使う「推論」へも広がっている点を挙げる。同社は国内AIサーバ市場が2025年度の約9000億円から、2030年度に約4兆円、2035年度には約7兆円へ拡大すると試算する。
成長要因として挙げるのが、「フィジカルAI」の普及や、機密データを自社内で扱うオンプレミス需要の拡大だ。政府・金融・医療分野でのデータ主権や、製造現場での低遅延処理への需要も追い風になるとみている。
シャープがAIサーバ事業に参入する意義について、河村哲治社長は、鴻海グループの世界最大級の調達・製造力と、シャープ独自のBtoB事業基盤や顧客接点を組み合わせられる点を挙げ、日本市場で新たな需要を取り込めるとの見方を示した。発表によると、鴻海グループはAIサーバにおける世界生産シェアの40%を占めるという。
保守面では、複合機などで培ってきた全国のサービス・修理網を活用する。ただし、AIサーバは「これまで扱ってきたサーバとは異なる点もある」とし、特有の技術や保守ノウハウには現時点で自社にない部分もあるとした。こうした領域は実績のあるパートナー企業との連携で補うとともに、研究拠点を整備し、故障解析や信頼性評価、運用管理などの技術を自社でも蓄積していく方針だ。
また、河村氏は、今後の事業規模について「2030年度には2000億~3000億円の売上を新規事業で稼ぎたい。その大半がこのAIサーバで見込んでいる」と説明。将来的にはサーバ販売にとどまらず、家電や産業機器などの既存事業とAIを組み合わせ、フィジカルAIなどを活用したソリューション事業につなげる考えを示した。
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