Meta、同社最大のAIモデル「Muse Wonder」発表 記憶力と粘り強さを強化、AIエージェント「Muse」にも搭載へ

 米Metaは10月12日(現地時間)、新たなAIモデル「Muse Wonder」とその上位版「Muse Wonder Full」を発表した。同社は「これまでで最大かつ最強のモデル」と位置付けており、ユーザーに代わって日常生活や仕事のタスクをこなすエージェント用途で最先端の性能を実現したとしている。同日から開発者向けの「Meta Model API」とコーディングエージェント「Muse Code」で提供を始めた。同社のパーソナルAIエージェント「Muse」にも近く搭載し、まずサブスクリプション契約者に展開する。

(画像:Meta)

 9月に米国で提供を始めたMuseは、メールの送信や旅行の予約などを代行するアプリで、基盤モデルには「Muse Spark 1.3」を採用している。Muse Wonderは、4月に発表したMuse Sparkで築いた基盤の上に、事前学習と強化学習の規模を拡大して開発した新しいシリーズだ。ギガワット級のデータセンター「Prometheus」で訓練した。ベースモデルが大きく強力になったことで、学習時に重点を置かなかった不慣れなタスクでも、Muse Spark 1.3の傾向から予想されるよりも高い性能を示すと説明している。

 「Active Memory」と「Active Focus」が特徴だ。Active Memoryは、ユーザーにとって重要な情報を会話をまたいで保持し、作業に関係する詳細を自ら呼び出す能力。紹介動画では、数日、数週間、数カ月たっても大事なことを覚えていられるよう力を注いだと説明しており、ちょっとした習慣や好み、以前の何気ない会話も覚えているとアピールした。Active Focusは、難しい作業でも目標に向けて取り組み続ける能力で、行き詰まったときには別の方法を試したり、エラーから立ち直ったりしながら作業をやり遂げる。必要に応じて確認を求め、重要な操作を実行する前にはユーザーに確認するという。

 法律、金融、ヘルスケアなどの専門分野の知識も強化した。保険金の請求手続きや賃貸契約書の読み解き、家計の把握などでの利用を想定する。紹介動画では、長距離の引っ越しや面倒な保険請求、趣味を事業にすることなどを例に挙げたほか、条件の多い賃貸物件探しで、複数の情報源から新着物件を毎日調べさせ、オーナーへの問い合わせまで任せているという開発者自身の使い方も紹介した。

 Webブラウザや複数のアプリを操作して好みや事情に合わせたランニング計画を立てるデモや、Instagramの写真を基にオリジナルグッズをデザインして注文するデモ、複雑な条件を満たす結婚式の席次表作り、画像から遊べる3Dキッチンゲームを生成するデモなどを公開している。

結婚式の席次表作り(画像:Metaの動画より)

 一般ユーザーは、Museアプリを通じてMuse Wonderを使うことになる。Museは現在米国で提供されており、Muse Wonderの搭載時期や対象プランの詳細は明らかにしていない。今後はMuseでのアーティファクト(生成物)の作成や、より高い知能を必要とする処理にもMuse Wonderを使うほか、Muse Wonderを活用して全ユーザー向けの特化型モデルを開発する計画という。

 開発者向けには、Muse WonderをMeta Model APIとMuse Codeで、Muse Wonder FullをMuse Codeのサブスクリプション契約者向けに提供する。モデルカードによると、入力はテキスト、画像、動画、音声に対応し、出力はテキストとなっている。コンテキスト長は100万トークンだ。

 モデルカードでは、米OpenAIの「GPT-6 Astra」、米Anthropicの「Claude Fable 5.1」「Claude Opus 5.5」と、いずれも最大の推論設定で比較している。法律業務を扱う「Harvey LAB-AA」では、Muse Wonder Fullが13.1を記録し、GPT-6 Astraの8.6やClaude Opus 5.5の4.2などを上回った。長期的なコーディングを測る「DeepSWE 1.1」でも79.0と、Claude Opus 5.5の74.2、GPT-6 Astraの74.1を上回っている。一方、医療に関する質問への回答を測る「HealthBench Pro」、ターミナル操作の「Terminal-Bench 4.0-AA」、プログラムをゼロから作る「ProgramBench」、米Artificial Analysisの総合指標「Artificial Analysis Index」では、Claude Opus 5.5が最も高いスコアだった。

Metaが公開したベンチマーク比較。青字がMuse Wonderシリーズ。「Personal Superintelligence Index」と「MemoryBench」は同社の社内評価(画像:Meta)

 安全性については、同社の「Meta Superintelligence Scaling Framework」に基づいて評価した。サイバーセキュリティと制御喪失の分野は対策前の時点で「中程度以下」のリスクと評価したが、化学・生物分野では「高リスク」の基準に達する可能性を排除できなかったため、安全性強化を目的とした追加学習やシステムレベルの分類器などの対策を講じ、全ての分野で「中程度以下」になったとしている。追加の安全性評価をまとめた完全版のレポートも近く公開する予定だ。

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