米電子書籍リーダー市場、KindleとNOOKの寡占状態へ?
1月にラスベガスで開かれたConsumer Electronics Showでは、タブレットと電子書籍リーダーが大流行しているように見えた。Samsung、Amazon.com、Barnes & Noble、Plastic Logic、Spring Design、Hearstの子会社など多数の企業がこのイベントで電子書籍リーダーへの取り組みを発表していた。さらにAmazonのKindleとBarnes & NobleのNOOKは、年末商戦の買い物客から尽きることなどないかのように見えるほどの需要をかき立てていた。電子書籍リーダーは確かに、もう何社かの企業が入っていける市場だった――そうだろう?
だが、そうではなかった。
数カ月でこれほど様変わりするものなのか。7月28日にAmazonが第3世代のKindleとKindle Wi-Fiを発表するまでに、同社よりも小さなメーカーのほとんどは後退してしまっていた。出張の多いビジネスパーソンや幹部向けのやや高額なPlastic LogicのQUEは、発売が延期され、6月に予約がキャンセルされるまでになった。Skiffは死に体だ(訳注:News Corp.は6月にHearstからSkiff事業を買収したが、取得したのは電子書籍ソフトのみで、端末は買収しなかった)。ソニーは市場にまだいるが、AmazonやBarnes & Nobleほどのマインドシェアは獲得していない。
「電子書籍市場では、専業の電子書籍企業は2社、あるいはおそらくは3社を超えないと思う」とBarnes & Nobleのウィリアム・J・リンチCEOは6月にNew York Timesに語っていた。「これから淘汰が始まると思う」
リンチ氏は当時のインタビューで、電子書籍リーダーの価格はいずれ100ドルを下回るだろうと予測していた。
この予測は実現するかもしれない。7月29日に、Copiaの広報担当者はeWEEKに電子メールを送り、同社が5インチのカラー画面の電子書籍リーダーを今秋99ドルで発売すると示唆した。担当者は、Copiaのビジネスモデルについての質問、つまりその価格で損を出さずに売れるのかどうかには答えなかった。
果てしなく下がり続けていくように思えるKindleとNOOKの価格を考えると、この質問はいっそう重要性を増す。
「値下げによって、Barnes & NobleとAmazonの電子書籍リーダーの価格は部品コストおよび製造費とトントンのレベルにまでなっている」と調査会社iSuppliのウィリアム・キッド氏は6月24日の発表文で述べていた。「ハードの利益がゼロになった今、両社は書籍の販売でこの市場からお金を得たい考えだ」
AmazonもBarnes & Nobleも書籍の販売に既存のインフラと顧客基盤を活用できるが、それよりも小規模な電子書籍メーカーにはそこまでのブランド認知度やマーケティング予算はない。電子書籍が多く売れず、利益率がゼロかマイナスのデバイスを製造することになれば、小さな企業はすぐに立ちゆかなくなるだろう。
さらに、AmazonもBarnes & Nobleも比較的迅速にデバイスに新機能を追加できているようだ。Amazonの第3世代KindleはWebkitベースのブラウザ、テキスト音声変換、音楽やポッドキャストを聴ける機能を搭載する。最近のNOOKのアップデートには、Androidベースのゲームなどが含まれている。両社がデバイスの機能を迅速にアップデートできることで、小規模プレイヤーが自社デバイスの「独自の」機能を売り込むことが難しくなる。数四半期のうちにそれに匹敵する、あるいはそれを超える機能を投入されてしまうリスクがある。
カラーディスプレイについてはどうだろうか? PandigitalとCopiaはカラー画面を模索している。だがそのようなデバイスは価格が高くなり、タブレットPCやAppleのiPad――今後登場するかもしれないフルカラーのKindleやNOOKは言うまでもなく――と競争することになる。そうした衝突は直接的で激しいものになるかもしれない。
第3世代Kindleは189ドル、Kindle Wi-Fiは139ドルで、後者はNOOK Wi-Fiモデルより10ドル安い。Barnes & NobleとAmazonはこの価格を100ドルにまで引き下げ、1台当たりの赤字を増やしてまでもユーザー層を広げようとするだろうか? その可能性はある。特に、顧客基盤を拡大しているiPadに両社が脅威を感じていたら、そうするだろう。だが両社は、そのレベルで長く戦っていける数少ない電子書籍リーダーメーカーのうちの2社――唯一の、とはいかなくても――となるだろう。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
熊本「通れた道」マップ、トヨタが公開 ホンダも「通行実績情報マップ」
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
9
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
10
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR