Pokemon GOで、いつもの散歩が宝探しに変わった
この街にはもう飽きた。住み始めて5年。そろそろ引っ越したいとすら思っていたが、今朝の散歩でそんな気持ちが吹っ飛んだ。この街にはまだ、知らないものがたくさんある。
Pokemon GOが教えてくれた。
土曜日の午前7時。もう少し寝ていたかったがそういうわけにもいかない。子供が毎朝きっかり6時半に起きるので、ベビーカーで外に連れ出してやりたい。
近所の散歩には飽きていた。歩ける範囲にある公園はすべて行き尽くした。子供はまだ歩けないので、公園で遊ぶのも難しい。店はコンビニぐらいしか開いていない。ベビーカーで歩き回るだけ。やることがない。
そんな退屈な散歩は、Pokemon GOによってキラキラした宝探しに変わった。
ベビーカーを押しながら歩くと、ポケモンに遭遇する。モンスターボールを投げて捕獲する。ボールがなくなった。補充しようとポケストップを探す。見知った店が、知らなかった場所が、ボケストップになっている。「このポケストップはどこだろう? 行ってみよう」。ついつい足が延びる。
子供はベビーカーで寝始めた。ベビーカーを長時間止めると起きて泣き出すので、ゆっくりでも歩き続ける必要がある。そんな条件はPokemon GOにはぴったりだ。
地図上に川が見えた。みずポケモンを探して川べりを歩く。川の中に目をやると、カモがエサを探して水に首を突っ込んでいる。その脇には、美しい白サギが背筋を伸ばして立っている。この川、こんなにきれいだったんだ。
住宅街を歩く。何もなさそうな角にポケストップがある。よく見ると、小さなお地蔵さんがいる。こんなところに! しゃがんで拝む。立ち上がって歩く。またポケモンが現れた。モンスターボールをぶつけてゲットする。ボールの扱いもだいぶうまくなってきた。
筆者はポケモン世代ではない。ポケモンの名前もピカチュウぐらいしか知らなかったが、それでもPokemon GOは面白かった。ゲームそのものが面白い……というより、街を歩く楽しさを再発見させてくれた。
歩き尽くしたと思っていた場所は、実はそうではなかった。知らなかったもの、見ていなかったものがたくさんあった。この街は、思っていたよりずっと深くて豊かだった。
土曜日の午前8時。先週までこの時間には見かけなかった若い男性の姿をたくさん目にした。歩いたり、自転車に乗ったりして、ポケモンを探している。
いつもなら30分で終わる散歩が、1時間半にもなった。ポケモンを20体もゲットし、レベルは2つ上がった。家に帰った。足が痛い。子供をベビーカーから降ろすと目を覚まして笑った。もう少しこの街で暮らそうと思った。
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