立ちどまるよふりむくよ
Macintoshの起動音を作った人たち(1/2 ページ)
起動音がしなくなったMacに感傷的になっているみなさまのために、スタートアップサウンドに関するいくつかのストーリーをまとめてみた。
Macintosh起動音作者の落胆
Macintoshの起動音は最初、アンディ・ハーツフェルドが開発していたが、限界を感じてApple IIチームから移籍してきたプログラマー、チャーリー・ケルナーのアイデアを借りることにした。ケルナーはApple II用デジタルシンセサイザーであるalphaSyntauriの開発者でもあった。以前紹介したMC-8がデジタルシーケンサーだけだったのに対し、alphaSyntauriはApple IIに内蔵した拡張音源ボードによって8チャンネルのステレオオーディオを出力できる低価格なデジタルシンセサイザーで、Apple II上のプログラムから音作りやシーケンスプログラミングも可能だった。このサウンドシステムは、映画「TRON」でも使われている。
ケルナーは1982年の8月頃、Macintoshチームに加わり、ハーツフェルドからスタートアップサウンドを引き継ぎ、矩形波のアルゴリズムを工夫して、あの起動音を作り上げた。Macintosh IIが登場するまでのコンパクトMacに使われたこの「ポーン」というサウンドのルーチンは公開されていて、そこには次のように書かれている:
「魅力的なビープ音によって、このCPUが動作していることを世界に知らしめる。チャーリー・ケルナーのフィルターアルゴリズムを使用」
Macintoshが最初に発するサウンドを作ったケルナーであったが、1984年の発表を見る前にAppleを退社した。Macintoshチームからも、このサウンドを作り上げた後に抜けている。
理由はスティーブ・ジョブズとの衝突。
ケルナーはMacintoshの実機から出てくる起動音の品質に不満を抱き、Macintoshにオーディオ出力用の穴を開けることを提案し、ジョブズの前でテストしたが、ジョブズは「たいして音はよくなっていない。このケースに醜い穴を開けるなんてありえない。そいつのことは忘れろ」と一蹴された。彼は打ちひしがれてMacintoshへの情熱を失い、2週間後にはチームを抜けてAppleチームに戻った。ただ、ビープ音だけを残して。ハーツフェルドはそう書いている。
ケルナーは自身のレジュメでもLinkedInでも、Macintosh起動音制作については言及していない。
起動音がMacintoshから失われてしまうことに彼はいま、何を思うのだろうか。
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過去を振り返りまくる連載。音楽、映像、コンピュータ、テクノロジーをタイムトラベルしながら新たな発見をしていく。
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