ウィズコロナ時代のテクノロジー
問われるメタバースの“倫理観” 「子供向け広告ゲーム」や「人種の偏り」など白黒つけられない案件も表面化(1/2 ページ)
パンデミックによって私たちの生活の多くがデジタルへと移行したが、メタバースはその最新の動きといえるだろう。新型コロナウイルスの流行による外出自粛、そしてデジタル技術の進化によって、いよいよ多くの人々に利用されるようになってきている。しかしそうなると心配なのが、技術の悪用だ。
実際にメタバースでは、性的な行為が行われたり、それを他人に強要したり(そこに未成年が巻き込まれるという事件も起きている)、違法な金銭をやりとりする場として活用したりするなど、さまざまな問題が発生しつつあることが確認されている。
ただ、こうした明らかに事件性が高いと思われる事象については、粛々と規制し、取り締まれば良いだろう。実際に国際刑事警察機構(ICPO)が独自のメタバース「INTERPOL Metaverse」を開発し、メタバースの研究・活用に乗り出すなど、法執行機関がメタバースに取り組む例も増えている。
難しいのは、現在の価値観では、黒か白かはっきりできないような事例だ。そうした「メタバースにおける倫理」とでも呼ぶべきものが、関心を集めるようになっている。
子供に「ウィッシュリスト」をつくらせたウォルマート
1月23日、広告内容の監視に取り組む非営利団体Truth in Advertising(TINA.org)など4つの消費者団体が、米大手小売りチェーンのウォルマートに対し、同社がメタバース上で展開しているサービスの是正を求める共同書簡を公開した。
ウォルマートはいま大人気のオンラインゲーミングプラットフォームでゲーム系のメタバースの代表的存在である「Roblox」上で、「Walmart Universe of Play」というゲームを展開しているのだが、これが問題視されたのである。
同ゲームの解説によれば、ここではプレイヤーが「さまざまなおもちゃの世界を探検して、クールなものと交換できるコインを獲得し、壮大なミッションをクリアしてトロフィーケースをつくる」ことができるとされており、特におかしな点は無いように感じられる。問題になったのは、説明文の「Making a toy wish list has never been this fun!(おもちゃのウィッシュリストをつくるのが、こんなに楽しいんだなんて!)」の部分だ。
TINA.orgらの共同書簡によれば、そもそもこのメタバース自体が、ウォルマートのおもちゃカタログ「Universe of Play」にちなんで名付けられているという。「パウ・パトロール」や「ジュラシックワールド」「L.O.L. サプライズ!」といった作品にちなんだバーチャル商品ならびにキャラクターが登場する。
そしてプレイヤー(小さな子供たちが想定されている可能性が高い)は、おもちゃのウィッシュリストを作成できるのだが、そうしたおもちゃは実際にウォルマートで購入することができる。
またゲームの中で「ギフトボックス」というアイテム(その名の通りきれいにラッピングされたプレゼント用の箱のような見た目をしている)が登場するのだが、それを開くと、実在する商品の画像が表示される。つまり広告を見せられるわけだ(実際に、画像の下には小さな文字で「これは広告です」と書かれている)。
TINA.orgらは、こうした一連の機能があることから、Walmart Universe of Playが「アドバゲーム(Advergame)」すなわち商品の宣伝を目的として提供されるゲームであると位置付けている。その上でこのゲームが、広告に求められる適切なガイドライン(広告であることを明らかにするなど)に反していると訴えているのである。
子供向け広告の自主規制に取り組む、米国の非営利団体CARU(Children's Advertising Review Unit)は22年8月、同団体が定める広告の自主規制ガイドラインがメタバース上でも適用されると発表。この適用を厳格に進めることを宣言している。
それと同時に、「広告と非広告の区別が不明瞭な広告」や「誤解を招くデザイン手法を用いた広告」「広告と非広告コンテンツを区別するために必要な明確かつ顕著な開示を子供たちに行わなかった広告」を避けるよう注意しなければならないとも指摘しており、今回のウォルマートの行為はこの宣言に反している可能性が非常に高い。
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ウィズコロナ時代のテクノロジー
「ウィズコロナ」時代の到来が現実味を帯びてきている。こうした状況において、テクノロジーはどのように活用され、また世界を変えていくのか。この連載では具体的な取り組みを探る。
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