分かりにくいけれど面白いモノたち
持った瞬間「新しい」 新素材のシャープペンシルがわずかな“ひんやり感”を保つ秘密、三井化学とトンボ鉛筆に聞いた(1/5 ページ)
トンボ鉛筆が3月に発売したシャープペンシル「FUMI」(2200円)は、個人的には今年のナンバーワン文房具と言っても構わないと思っているほど新しい。機能は普通の0.5mmのシャープペンシルなのだけど、持った瞬間に「新しい」と感じるほど、その持ち心地が心地いいのだ。
その感触を生んだのが、筆記具の軸の素材としては初めて使われた、三井化学の「そざいの魅力ラボ MOLp(モル)」という有志活動の中の気付きから生まれた新素材「NAGORI」。まるで陶器のようなひんやりとした温度感とサラリとした触感は、今までの筆記具では感じたことがないものだった。
万年筆だと、樹脂がいいとか、エボナイトがいい、いやベークライトだ、象牙だ、セルロイドだ、天然木だと、軸の素材にこだわる方も多く、メーカーもそれに応えるように、様々な素材の軸を使った製品を発売している。最近では木軸のシャープペンシルが人気だったり、高級ボールペンではアルマイト加工やステンレスの切削加工など、高度な工業技術を使った凝った軸も登場した。
今回、FUMIを使っていて、この軸の触り心地、持ち心地の良さが味わいたいと思ったからなのか、いつの間にか他の筆記具より使用頻度が増えていることに気がついた。高級万年筆だけではなく、普段遣いの筆記具には、「気持ちいい軸」という選択肢もあるのかもしれないと思ったのだ。
もちろん、手で触って使う道具なのだから、その素材に好き嫌いがあるのは当然だし、機能的な部分や生産性の部分など、考えなければならない要素も多い。その意味では、現在、多くのボールペンやシャープペンシルで使われているプラスチックなどの樹脂は、成形しやすく、安価で、ツルツルした感触も悪くなく、デザインの自由度も高いし、着色した際の発色も最近はとても良くなっていて、軸の素材として何の文句もない。
万年筆の軸なら、エボナイトが好きだ。ゴム由来の素材らしく、手への当たりが柔らかく、手に吸いつくようにしっかりグリップするから書きやすい。コーティングに漆が使われているなら最高だけれど、磨いただけのエボナイト軸のグリップ感の良さは、他では味わえない。ただ、ちょっとゴム臭いあの匂いが苦手なのと、コーティングなしのエボナイトは、ケースに入れずに放置すると白濁するのが悲しかったり。
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分かりにくいけれど面白いモノたち
ITから文房具まで幅広く活躍するベテランライター、納富廉邦さんが言語化しづらいけど面白いガジェットやサービスを分かりやすく解説します。
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