富士山5合目から上を目指す山梨県側登山道の吉田ルートと静岡県側の須走ルートが7月1日に山開きし、富士登山シーズンが開幕する。アルピニストの野口健氏は2年前から始まった富士山の入山料徴収や登山規制について「画期的で他の山に広がるだろう」と話す。その一方で閉山期に訪日客を含め無謀な登山が後を絶たず救助側の負担も深刻として、一層の規制強化が必要と指摘する。
長年にわたって富士山とかかわってきた野口さんは入山料、入山規制は登山者を減らす側面があることから、導入に向けた議論の中では観光業界などから反対の声も上がっていたと指摘。それでも安全面などの理由から導入されたことを「画期的な出来事」と評価した。入山料徴収は北アルプスなどでも議論が始まっているとして「他の地域でも広がるだろう」と予測する。
深刻視するのは閉山期の無謀な山登りだ。野口さんによると、閉山期は登山道を使わなければ登山そのものは違法ではなく、雪がある時期にピッケルやアイゼンなどを持たず、一人で登って滑落してしまう人が目立っているという。
野口さんは「世界遺産に選ばれて話題になりインバウンド(訪日客)が増えたことや、『SNSなどでバズりたい』という安易な理由で登る人がいることも原因」と指摘。「冬の富士山がどれだけ危険かを認識してもらわないといけない」と訴える。
こうした山登りは救助側の疲弊も招くという。「山に慣れていない遭難者は自分が今どこにいるかもわからない。強風時などはヘリが飛ばせず、レスキュー隊が歩いて救出に向かう。レスキュー隊員はかなり疲弊している」と野口さん。
熟練した登山者と一緒くたにする一律の規制はすべきではないと前置きした上で、準備不足などの無謀な山登りで遭難するようなケースは「強いペナルティーをかけてもいいのではないか」と語る。
また、遭難を未然に防ぐ手段として閉山期登山の事前登録制や、レンジャー隊員による登山者の装備確認、遭難時にピンポイント救助がしやすいGPSの貸し出しも有効としている。(坂本隆浩)
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