「パッケージ市場崩壊、iPhoneアプリももうからない」 ゲームメーカーが生き残るには(1/3 ページ)
ゲーム業界が激変の時代を迎えている。家庭用ゲームの市場規模は2007年をピークに縮小を続け、ゲームメーカーの人員削減も珍しい話ではなくなってきた。iPhoneアプリやソーシャルゲームと呼ばれる新しい市場がぼっ興しているが、すでに過当競争に陥っている。
「コンテンツはあふれかえり、ものすごい勢いでデフレが起きている」――ゲームジャーナリストの新清士さんは2月17日、都内で開かれたゲーム開発者向けイベント「OGC 2010」の講演でこう指摘。新興のプラットフォームも米国企業が握っており、日本のメーカーの不利な状況は今後も続くと予想する。
だが、まだまだチャンスはあるという。
ものすごい勢いでコンテンツデフレが起きている
昨年の今ごろまでは、ゲームの新市場として期待されていたiPhoneアプリやFacebookアプリなどのソーシャルアプリだが、その状況はこの1年で劇的に変わった。「iPhoneアプリはもうからないと分かってきた」と新さんは言う。
iPhoneアプリやソーシャルアプリは開発や流通のハードルがパッケージゲームより低く参入が容易なため、「ものすごい勢いでコンテンツのデフレが起きている。とにかく大量のコンテンツを用意し、いかに自分のところに引き付けて集中させるかが重要になっている」。
米国のiPhoneアプリニュースサイト「148Apps.biz」によると、App Storeの総アプリ数は17万5000で、1日約700アプリずつ増えているという。ゲームアプリもすでに2万4000ある。
ソーシャルアプリも大量に流通しており、昨年始まったばかりのmixiアプリも、PC向けで約800、携帯で約300ものアプリが稼働している。このような市場では、1番になったものがすべてを得る、“Winner Takes All”が働きやすいという。「サンシャイン牧場を越える農場アプリは、少なくともmixi上ではもう現れないだろう」
デフレ状態のコンテンツに代わり、重要性を増したのが「時間」という。「われわれの社会において最も重要な価値は時間だ。貯蓄も交換もできない。人は、時間当たりに価値を得られていると思うものにしかお金を払わなくなる。1時間もかかるゲームはやらないといった傾向が、ますます強くなる」
iPhoneアプリが崩したもの
iPhoneアプリの価格を見てみると、無料が25%、1~3ドルが59%と、全体の8割が3ドル以下の値付けだ。一方でパッケージゲームは、数千円(数十ドル)~1万円(100ドル)程度が相場。「iPhoneは、ゲームの価格と価値のバランス、相場観をひっくり返してしまった。数百円のゲームに慣れたiPhoneアプリユーザーは、7000円のゲームは高いと思うだろう。このギャップはとてもじゃないが埋められない」
ギャップに「ゲーム会社が困っている」という。従来のパッケージゲームは億単位の予算と年単位の時間をかけて開発してきたが、「iPhoneアプリは1本当たり100万円、200万円のコストで作らなくてはならない」。パッケージゲーム開発のコスト構造でiPhoneをアプリ開発して利益を出すのは「無理」なのだ。
旧来のゲーム会社のコスト構造を支えていたのは、ハードとパッケージを切り離し、パッケージを高額で販売するという、「任天堂のファミリーコンピューターが確立した」ビジネスモデルだ。加えて、1人でプレイする際、プレイヤーの相手をする人工知能(AI)の開発ハードルの高さなども参入障壁となっていた。
だがiPhoneアプリやFacebookなどソーシャルゲームは、有料ゲームの売り上げの一部を、AppleやFacebookといったプラットフォーム事業者が徴収するモデルで、「“土管”を通過する時にお金を取るビジネスモデルに切り替わった」。ネット経由で友人同士でプレイすればAIも不要。本物の人間を相手にできるソーシャルゲームなら、高度な技術や美麗なグラフィックがなくても楽しめる。
同じ変化はゲームだけでなく、コンテンツ産業全体で起きているという。「世界のコンテンツ産業が、どこまでシュリンクするか、どこで収益をあげればいいか分からない状況になっている」
勝者になるには、グローバルなプラットフォームを作り、無料や安価でコンテンツを提供してくれる“クラウドワーカー”(例えば、ニコニコ動画の“職人”や、ユーザーがステージを制作できるゲームで、魅力的なステージを作ってくれる人など)を集めるしかない。この傾向は2005年以降、変わっていないという。
Kindle日本参入前から分かっている「日本メーカーのハンデ」
iPhoneやKindle、Facebookなど、急成長しているプラットフォームの持ち主は、AppleやAmazon、Facebookといった米国企業だ。これが日本のゲームメーカーを窮地に追いやるという。
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