まずはニッチに慎重に 「出遅れた」auのAndroid戦略
au初のAndroid端末は、「20〜30代女性ケータイユーザーの2台目」というニッチターゲット。“普通のケータイ”に強みを持つKDDIは、スマートフォン市場の動向を慎重に見極める姿勢だ。
「Androidに出遅れたので、われわれらしさを出していきたい」――KDDIは3月30日、スマートフォン専用の新ブランド「IS series」から、Android 1.6を搭載したシャープ製「IS01」を6月上旬以降に発売すると発表した。
5.0インチ液晶ディスプレイを搭載した電子手帳のようなデザインのフルキーボード端末。快適なWebサイト閲覧などスマートフォンらしい機能と、ワンセグなど携帯電話らしい機能の“いいとこ取り”を目指した(写真リポート)。
Windows Phone「IS02」(東芝製、Windows Mobile 6.5.3搭載、6月下旬以降に発売)も投入し、個人向けスマートフォン市場に本格的に斬り込む。ただ“普通のケータイ”に強みを持つ同社は、スマートフォン市場の動向を慎重に見極める姿勢も崩していない。
「出遅れた」理由 慎重な船出
ソフトバンクの孫正義社長はiPhoneを猛プッシュしてスマートフォン市場を開拓。NTTドコモも山田隆持社長がAndroid端末「Xperia」を強くアピールする一方、KDDIのスマートフォンへの姿勢は両社より一歩引いているようで、IS seriesの発表会に小野寺社長は顔を見せず、高橋誠常務が説明。ほとんどの時間を、初のAndroid端末「IS01」に費やした。
「われわれはAndroidに出遅れた」と高橋常務は認める。背景には、(1)CDMA 2000への対応に時間がかかったこと、(2)auは“心地良い端末”へのこだわりがあり、海外の端末をそのまま導入することに抵抗があったこと、(3)スマートフォンで成功しているのはiPhoneだけという市場環境――があるという。
Android参入第1弾となるIS01は、「mixiやTwitterなどで情報発信する20〜30代女性が、音声端末とあわせて2台目として使う」というニッチなターゲットを意識して開発。iPhoneやXperiaとの正面対決は避け、慎重な船出を選んだ。
スマートフォンにもケータイらしい機能を
スマートフォンらしい機能に重きを置く他社端末と一線を画し、“ケータイとスマートフォンのいいとこ取り”を目指したのが特徴だ。Android端末初のワンセグ機能や赤外線通信機能を搭載。EZwebのメールやデコレーションメールにも8月下旬以降に対応する。
Android版EZナビウォーク「au one ナビウォーク」も備えたほか、Android初の「セカイカメラ」に対応。Android 1.6ながらマルチタッチに対応し、メニューアイコンが並んだ画面をスライドさせてタッチ操作できるなど、気持ちのいいユーザーインタフェースを目指した。専用アイコンからmixiやTwitterにアクセスできるようにし、ソーシャルメディアの利用しやすさも意識している。
発売に合わせ、Android向けポータルサイト「au one Market」もオープン。Android Marketの入り口としての機能に加え、コンテンツプロバイダと協力し、ゲームアプリなど約200を提供する。8月下旬以降、有料アプリをau電話料金と合算して決算できる機能を提供する予定だ。
FeliCa搭載Androidも スマートフォンは「市場の動向を見たい」
IS01は2台目需要に特化して開発したが、“1台目”として使える、iPhone対抗を意識したAndroid端末も、秋冬商戦を目指して企画しているという(auのAndroid第2弾、FeliCa搭載へ 秋冬商戦目指す)。ワンセグに加えFeliCa機能搭載を検討。このほかにも順次、Android端末を出していきたい考えだ。
だが同社はスマートフォン市場に慎重な姿勢を崩しておず、従来の携帯電話とのバランスの見極めにはまだ時間がかかるとみている。「従来の携帯電話も確実に残る。スマートフォンを使う層と携帯電話を使う層の間にいる“中間層”がどう動くか。市場の動向を見ていきたい」(高橋常務)
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