ISSとアトランティスの併走に感激! iPhoneアプリ「ToriSat」で宇宙に萌える(2/2 ページ)
天文の知識ゼロの記者が、iPhoneアプリ「ToriSat」で人工衛星の観測に挑戦。国際宇宙ステーションとスペースシャトルの並走を肉眼で見ることができた。
もっと直感的に――それならARだ
鳥人間は、天文好きの久川真吾社長(30)と郷田まり子(29)さんという、2人のエンジニアによるベンチャーだ。社名は「鳥人間コンテスト」から取った。大学時代に同コンテストで準優勝した経験がある久川社長が名付けたという。
ToriSatのもとになったのは、同社が作ったISSが接近したら教えてくれるTwitterボットだ。「[ISS通過予定/肉眼難] 4/24 3:35からTokyo上空を最大仰角10度で通過します」などとつぶやいている。だがこれだけの情報で観測するのは初心者にはハードルが高い。
もっと直感的にISSの位置が分かればいいのに――2人はそう考え、Webサイト版のToriSatを昨年8月に公開した。地域と日程、見たい衛星を指定すると、その場所から見える人工衛星の動きを、Googleマップのストリートビュー動画を使ってシミュレートする。
iPhoneアプリでは、カメラでとらえた現実の映像とディスプレイの画像を重ねるARの仕組みを取り入れることで、さらに直感的に操作できるようにした。「子どもでも使えるようにしたかった」(久川社長)、「学校の授業などで使ってほしい」(郷田さん)という。今後はAndroid版アプリも開発する予定だ。
ISSとアトランティスの並走に感激
記者もToriSatを使って人工衛星を見てみたい! ISSの観測にチャレンジしてみることにした。ISSは、天気や観測地点などの条件がそろえば、日の出前と日没後の2時間ほどの間に地上から肉眼で見ることができる。ISSを見られる日をToriSatでチェックし、iPhone片手に地上で待機した。
観測初挑戦の日は、あいにく曇りで何も見えなかった。残念だったが、厚い雲の向こうをISSが通過していると思うだけで、なんだかドキドキ。少し宇宙を身近に感じ、たまには空を見上げるのもいいなと感じた。
次に挑戦した日も曇りだった。雲の合間を横切る何かが一瞬見えたが、目の錯覚だったような気も……。Twitterでハッシュタグ「#ToriSat」のつぶやきをチェックしてみると、都心では見えなかった人が多いようだった。まだ見ぬISSへの思いが募る。
そうこうしているうちに、スペースシャトル「アトランティス」が打ち上げられた。ToriSatの情報によれば、アトランティスとISSの並走が肉眼で見られるタイミングがあるという。これは何としても見たい!
自宅のマンションの屋上で緊張しながらその時を待った。夜空にはほとんど雲がなく、月と金星が輝いていた。これは期待できそうだ。見え始めまであと3秒、2秒、1秒……。ToriSatの画面が「現在通過中」に変わった。空に視線を移すと、光りながら移動する点が1つ。しばらくするともう1つ光る点があらわれ、前後に並んで移動し始めた。
出現時刻や軌道がほぼあっているToriSatに驚く。ISSとアトランティスは思ったよりも明るく、くっきりと見えた。感動で少し目が潤む。あんなところに人がいるなんて――と不思議な気分にもなる。40秒ほど見えた後、空からスっと消えた。地球の影に隠れたようだ。
Twitterには観測に成功した人のつぶやきが続々と寄せられていた。「ISSとアトランティスのランデブー飛行に鳥肌たった」「テンションあがりました」「ただただ感激!」――うんうん、記者も同じ気持ちだ。観測自体わくわくしたが、Twitterで感想を共有できることはもっと楽しかった。
最後に、郷田さんが作成したToriSatのプロモーションビデオを紹介しよう。ニューヨークにあるApple Storeの上空をISSが横切る様子が収められている。
さて、そこのあなたも、ToriSatで宇宙に萌えてみてはいかがだろうか。
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