「絶対便利じゃないですか」――本の内容まとめて公開「ブクペ」の狙いと“著作権”(3/3 ページ)
ユーザーが読んだ本の内容をまとめて公開していくWebサービス「ブクペ」には、月間20万人のユーザーが訪れる。人気の秘けつや著作者との関係などを、運営会社を起業した鳥羽さんに聞く。
ステマ騒ぎも電子書籍も「追い風」
年明けから世間を賑わしているステルスマーケティング(ステマ)騒動に関しては、「うちにとってはむしろ追い風だと思っている」と鳥羽さんは話す。
「ブクペは“レビューサイト”ではない。本の内容しか書いていないので、悪いものをよく見せようがないし“サクラ”も出にくいはず。また、『この本が良い』『この本が悪い』といった感想だけのまとめはうちでは全然読まれないので、信頼性という部分では問題ない」
また、今後の普及が見込まれる電子書籍も同サービスの「追い風」になるとみる。
「今後はどこの電子書籍プラットフォームでも商品数が充実してくると思う。その結果、1冊当たりのプロモーションの機会が減少し、トップページにある本や話題性のある本しか売れにくくなってしまうはず。そこで、ブクペがプロモーションの部分で力を持てれば、今後は電子書籍事業者ともいろいろな形で協業していけると考えている」
“立ち読み”のプラットフォームへ
ブクペの当面の目標はユーザー数の拡大だ。現在のアクセス数は月間約50万PVだが、黒字化のためには「1000万PVを超えないとかなりきつい」というのが本音だ。
そこで1月、認知度向上のため、ブクペと連携する本のニュースサイト「ビーカイブ」をオープン。ブクペの投稿内容を編集した“本のまとめのまとめ”ともいえる記事を、1日に2本ずつ公開している。こうした記事をYahoo!やmixiなどの大手サイトに配信することで、ブクペの認知度アップやPV増加につなげていきたい考えだ。
また今後は、ECサイト事業者や電子書籍プラットフォーム事業者と協業した新ビジネスも検討していく。具体的には、ブクペのAPIを有償提供し、ブクペ内のまとめコンテンツを外部のECサイトや電子書籍プラットフォームに配信していく――といったビジネスモデルを考えているという。
「本屋さんって元々、立ち読みとか全部自由じゃないですか」と鳥羽さんは笑う。ネットで本や電子書籍を購入する機会が増えた今、ブクペはWeb上の“立ち読みプラットフォーム”を目指していく。
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