ウェブ魚拓「過去の魚拓」機能停止 URL・タイトルも「忘れられる権利」に含まれる懸念
アフィリティーが「ウェブ魚拓」の「過去の魚拓機能」を停止。忘れられる権利などへの対応が難しいためだという。
アフィリティーは3月1日、Webページの保存する「ウェブ魚拓」の「過去の魚拓機能」を停止した。「忘れられる権利などへの対応が困難なため」という。
「過去の魚拓」機能は、カレンダーのようなページから、その日に取得した魚拓の一覧をURLとタイトルで羅列する機能。創業者の新沼大樹さんによると、検索ロボット向けの「サイトマップ」に近く、本来は対人向けではなかったことから現状「あまり使われていない機能だった」という。
それ以外の全ての機能は正常に稼働を続け、特定のWebページを過去のある時点で取得したキャッシュは変わらず閲覧できる。有料サービスの証明用・資料用非公開ウェブ魚拓も、継続して提供する。完全な廃止か、対応版をリリースするかは検討中だ。
URL、タイトルは「忘れられる権利」に含まれる?
機能廃止の理由としてあげられている「忘れられる権利」とは、個人のプライバシーに関する不適切な情報の削除をWebサービスプロバイダに求める権利のこと。今年2月には、さいたま地裁がGoogleに対し、検索結果から記事の削除を命じ、忘れられる権利を認める決定を下す――など、国内でも個人の権利として認知や議論が進んでいる。
ウェブ魚拓はこれまでもプロバイダ責任制限法に基づいた削除対応を実施しており、ガイドラインでは「不適切な行為で公開された情報」に関しては「情報を公開された本人から削除の依頼を受けた場合は、状況を加味して判断」すると示してきた。
通常URLやタイトルそのものに著作権が認められることは少ないため、「過去の魚拓」ではページキャッシュ自体は削除しても「履歴にはタイトルとURLを残す」対応を行ってきたが、事件の容疑者の名前などがタイトルに含まれている場合などは永続的に残ることになってしまう。紙の新聞や週刊誌など一時的に店頭に並ぶものと異なり、「権利への対応として適していない状態が続いていた」という。
新沼さんは編集部の取材に対し、「そもそもURLやタイトルの公開がどこまで明確な違法であるか、不透明な側面も多い。削除のオペレーションがミスを呼びやすいこと、本来の法で定める削除の猶予期間を上回ってしまう懸念があることなどから、機能自体の廃止に至った」――と説明した。
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