イーロン・マスク氏に翻弄された2022年を振り返る(3/3 ページ)
2022年は海外速報担当の筆者にとってはイーロン・マスク氏に翻弄された年でした。同氏によるTwitter買収の顛末をまとめておきます。2023年にTwitterがなくなることはないでしょうが、現状で抱える爆弾についても触れます。
広告主が去り、完全に有料化する?
問題のあるツイートをチェックするチームがなくなった今、Twitterへの広告を控える企業が増えていると報じられています。Appleも一時期、広告を止めたようです。
マスク氏が「Appleが広告を出してくれなくなった!」とツイートした後、Appleのティム・クックCEOがマスク氏をApple本社キャンパスに招待し、Appleの広告は復活しました。
どんな話し合いがあったかは不明ですが、クック氏は今の段階では広告を継続する方がいいと判断したのでしょう。ただし、問題ツイートで決定的な事故が起これば、すぐにでも再停止するのではないでしょうか。
広告を出す企業が減れば、収益を上げる手段として有料化に向かう可能性があります。そうなれば、離れていくユーザーが増えるでしょう。
巷ではTwitterが有料になったらどこに移行する? などという調査も行われています。
Twitterアプリのアプリストアからの締め出し
Appleが広告を出すのをやめたというツイートと同時に、マスク氏はAppleがTwitterアプリのアプリストア(App Store)から削除すると脅しているとツイートしています。
これも、Appleがプラットフォーム上の問題を懸念してのこと。Twitterで問題ツイート対処の手が回らなくなり、事故が起きたりすれば、Appleだけでなく、GoogleもアプリストアからTwitterアプリを削除するかもしれません。
アプリがなくてもWebブラウザで開けばTiwtterは使えますが、使い勝手は悪くなります。
各国政府当局からの制裁
Twitterの動きに懸念を表明したのはFTCだけではありません。
欧州連合(EU)の欧州委員会のベラ・ヨウロバー委員(法務・消費者・男女平等担当)はジャーナリストのアカウントが凍結された際、懸念をツイートで表明しました。「イーロン・マスク氏は、メディアの自由と基本的権利の尊重を求めるEUのデジタルサービス法に注意する必要がある」という警告です。
ただでさえ広告収入が減っている中、高額な罰金を課されることの打撃は大きそうです。
もう、やーめた
マスク氏は「CEOを引き受けるほど愚かな人を見つけたらすぐにCEOを退任する」と宣言しましたが、その宣言の時点ではソフトウェアとサーバのチーム運営に専念すると、実権は持ち続けるつもりであることを表明しています。
しかし、あまりにも思い通りにならず、状況が悪化していった場合、マスク氏がすべてから手を引く可能性もありそうです。
今や非上場企業なので中の様子は分かりにくいですが、元従業員や現従業員に取材したメディアの記事を見るに、かなり混沌としていることは確か。
この状態のTwitterを買い取ろうという企業(あるいは個人)がいるかどうか分かりませんが、どうしようもなくなったら二束三文ででも売り払うという道が残されています。
Tesla株の大暴落で資産はかなり減ったとはいえ、まだまだお金持ちなマスク氏。民主的タウンホール構築の夢は一旦置いて、他の夢(火星征服、超高速旅客機、自動運転車、脳埋め込みチップの実用化など)に集中することで気持ちを切り替えるのかもしれません。
Twitterを愛していたドーシー氏は現在はBlueskyやBitcoin、アフリカに関心が移っているのでTwitterを買う気にはならなそうです。
伝記が楽しみ
2023年もマスク氏とTwitterから目が離せない状況が続きそうです。
故スティーブ・ジョブズ氏の公式伝記を書いたウォルター・アイザックソン氏が現在、マスク氏の伝記を書くために頻繁に同氏と行動をともにしています。
マスク氏がシンクを抱えてTwitterオフィスに乗り込んだ際も同行しました。
マスク氏に関する書籍はこれまでも多数出ていますが、ジョブズ氏も認めた伝記作家は、どんなマスク氏を描くのでしょう。今から楽しみです。
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