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ノコギリで切る!? ヤスリで削る!? 「木ーボード DIY Kit」にチャレンジ!(後編)ちょっと気になる入力デバイス(2/2 ページ)

木製キーボードを自分で組み立てる自作キット「木ーボード DIY Kit」を実際に試してみる。木ーボードはできるのか!? その仕上がりは!?

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苦難を乗り越え、この世に2つとない“マイ 木ーボード”が出来上がる

 歯を食いしばってすべての両面テープをはがすと、あとは89個の木ートップを取り付けるだけで済む。どのキーからはめ込んでも問題はないが、まずはスポンジ付きキーを取り付けてスポンジのはみ出しを調整したあとに、小さな木ートップ→サイズの大きい主要キーといった順番で作業するとうまくいくようだ。ただ、無理に押し込むとジョイントパーツの細いツメが折れてしまう場合があるので、ここでも気を抜くのは厳禁である。

キーボードユニットにある溝に従ってジョイントパーツ付き木ートップを取り付ける(写真=左)。写真はEscキーをはめ込んだところ(写真=右)。この作業を89回繰り返せば、ひとまず完成だ

 89個の木ートップを取り付け終えると、ついに「木ーボード」の完成だ。まさに同じキーサイズが1つとしてない、世界にたった1つの“マイ キーボード”が出来上がる。ジオラマ作りというと大げさだが、細かい作業を必要とする工程に変わりはなく、完成後はライティングを考えて木ーボードを設置し、やや距離を置いて腕を組みながら眺めて悦に入る、そんな気にさせる仕上がりだ。

 今回は撮影時間の関係でじっくり作り込むことができなかったが、時間が許せば1つ1つ木ートップを磨き込んだり、各木ートップに反発材を取り付けたり、キートップにクリア塗装を施してからレーザー刻印された文字部分に色を流し込んだりと、さまざまなアイデアが思い浮かぶ。

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 一般的なキーボードは、キーのタッチやキー配列、形状や価格などを判断して選ぶことが多いと思うが、この木ーボードに関してはそれらの基準が意味をなさない。製作過程で思う存分楽しみ、作ったあとは使用せずに、そのまま飾っておきたくなる一品と言ったら言い過ぎだろうか。販売価格は3万4800円と高価だが、市販の無味乾燥なキーボードやキーの手触りに不満を抱いているユーザーにとっては、まさに待望の製品になるだろう。

ついに完成した木ーボード。遠くから見たさまはまさに「木ーボード~樹魂(じゅこん)~」だ。キーが詰め込みすぎだとか、Enterキーが小さすぎるなんてのは“やぼ”なことだろう。
キーボードの裏面とケーブルは、いわゆるクリーム色で木の質感と会わないのが残念だ(写真=左)。キートップにばらつきがあるのはステップスカルプチャーではなく、まさに手作りだからこそ(写真=右)。ちなみに、底面のスタンドは2段階式だ

 途中に休憩を挟みつつ総計約4時間50分と制限時間ギリギリで仕上げた木ーボードだが、出来上がったブツは「まさに手作り」感にあふれるものだった。単純作業の反復で心が折れそうになったものの、完成した木ーボードの姿を思い浮かべる(カメラマンのコワイ視線を浴び続ける)ことで何とかクリアできた。

 ライターを遠回しにいじめる“罰ゲーム”的な企画が意外と目に付くPC USERだが(過去記事――「AREA51」で“UFO探知機”の性能を検証する 最強の格闘家を養成するUSB機器「お出かけ地デジ」で山手線を回ってみるテスト車載ワンセグ「PTV-DT1」の実力――首都高ぐるぐるベンチマーク)、まさか自分がその列に加わるとは思ってもみなかった、というのが正直な感想だ。

おつかれさまでした……

PC USER編集部Tのインプレッション

 自分だけの木製キーボードを切って削って自作できるという点で、強烈な個性を感じさせる1台。無機質な金属やプラスチックに囲まれたPC環境にそっと置くだけで、ちょっとした癒しの空間が生まれるようなキーボードはほかにはない。もちろん話のネタとしても最高だが、欲をいえば、木の質感をもう少し高めてほしかったし、底面部まで木のカバーですっぽり覆ってほしかった。

 やぼなのは重々承知で、使い勝手にも一応触れておこう。キータッチはフカフカした柔らかな感触で、よくいえばハンドメイドらしい温かみがある。悪くいえばキートップが安定せずにフラフラするわけだが、この辺りは作る側の技量や根性、独自に工夫を凝らすことで、ある程度はカバーできるかもしれない。基本的にキーボードは消耗品だが、木ーボードに関しては、長期間使い込むことで木の風合いが変化していくとともに、自分にとっての製品価値が高まっていくはずだ。

PC USER編集部Hのインプレッション

 まさに話題を集めた製品の登場だ。この「木ーボード DIY Kit」には、「ココにこだわってキーボードを買うべし」「このキーボードはここがよくて、ここだダメ」などと日ごろのたまわっている自分自身を、一笑に付すだけのインパクトと破壊力がある。

 出来上がった木ーボードだけを見れば、不規則なキー配列や極端な縮小ピッチ、サイズの小さいEnterキーなど突っ込むところは多々あるのだが、本製品の真骨頂は完成までの過程にある。それを存分に楽しめれば、あとは周囲がもっともらしいことを伝えても“やぼ”と言うもので、3万5000円近い価格も十分に元が取れるはずだ。そして完成後は、手にとってめでるだけの、いわば“たたかないキーボード”として語られるべき製品なのかもしれない。

 もちろん、スポンジの高さを調節して1つ1つのキータッチを変えたり、キーマップを変更して木ートップを差し替えたり、不要なキーを取り除いたりと、自分好みのカスタマイズを追求できたるするのも、本製品ならではのアドバンテージといえるだろう。

 今後は、10キーが付いたスタンダードなキー配列のDIY kitが欲しくなる。また、オプションとして無刻印の木ートップや、違う木材を使用したスペアの木ートップも用意してほしい。

 主なスペックは下記の通りだ。

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