“DX10.1対応”統合型チップセット「AMD 785G」の意外なお得度:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
根強い人気の「AMD 780G」に後継モデルが登場した。型番ではAMD 790GXの下位モデルとなるが、ASUSの「M4A785TD-V EVO」で意外な実力を発揮するようだ。
オーバークロックでAMD 790GXを超えるスコアも可能。定格動作の本命はUVD2とATI Streamか
Sandra 2009 SP3の結果を見ると、CPU、メモリ、HDDなどの足回りはAMD790GXとほぼ同等のスコアを出している。一方、定格設定における3Dグラフィック性能はAMD 790GXにやや及ばない。これは、シェーダ数が変わらないのにコアクロックが低いためで、3DMark06でAMD 790GXの80%程度、3DMark Vantageで70%程度となる。しかし、コアクロックをAMD 790GXと同等の700MHzまで引き上げてみると、3DMark 06、3DMark Vantage、Crysis、STREET FIGHTER IVとも、AMD 790GXと同等、あるいはやや上回るスコアを出している。
ただ、AMD 790GXとAMD 785Gで適用しているCatalyst Control Centerのバージョンが異なるため、性能の差が、グラフィックスコアの性能なのかドライバの最適化によるものかの判断は難しい。ベンチマークテスト結果の差がごくわずかなので、後者である可能性も高いだろう。
今回、オーバークロック設定でベンチマークテストを行ってみたが、安定して動作していたのは700MHzまでで、定格設定の電圧では750MHzまで上げるとテスト中にエラーを出して中断するなど、安定しない症状が見られた。室温は高かったもののチップの冷却は十分されていたので、AMD 785Gの限界であった可能性も高い(もっとも評価で使っていたのが試作品であったことも影響しているかもしれない。海外のWebページで同じマザーボードを使って行われたベンチマークテストでは900MHzにオーバークロックして測定したというデータも掲載されている)。
STREET FIGHTER IVベンチマークテストの結果は、AMD 785Gが平均18.1FPS、AMD 790GXは22.6FPSと、どちらもあまり快適とはいえないフレームレートとなった。もっとも、注目の最新ゲームタイトルということでチップセット統合タイプのグラフィックスコアはサポート外であるので、これはやむを得ないところだろう。このようなFPSを楽しむためには、ミドルレンジ以上のグラフィックスカードを追加すべきだ。
安定動作を重視して利用する場合、3Dグラフィックスの性能を期待するならAMD 790GXを使うほうが望ましいことにあるが、UVD2やATI Strimeを利用できることで、高画質動画の再生や編集を重視するユーザーにはAMD 785Gは有力なチップセットになるだろう。
AMD 785Gを搭載するマザーボードの実売価格は、おおよそ1万円前後が主流になると予想されている。それでいて設定次第ではAMD 790GXと変わらぬ性能を発揮する可能性を持っている。これからAMDのCPUで自作するというユーザーや、AMD 790GXでは選択肢が少ないmicro ATXフォームファクタのシステムを自作したいユーザーには、AMD 785Gをぜひ検討候補の1つに挙げてもらいたい。
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