“兄貴”のロングバケーション――土居氏と兄貴とikinaとアキバ:元日本AMD、土居氏は今(2/2 ページ)
アキバの“兄貴”こと土居憲太郎氏が昨年末に日本AMDを退社した。それからおよそ1カ月後、長い休暇を楽しむ同氏の現状と今後について、ビールを飲みながらまったりと聞いた。
「Phenom Iのときは、ぼくもすごいつらかった」
―― 土居さんが活躍された4年間で、AMDのCPUもけっこう変わりましたね。2006年末ごろはCPUにデュアルコア競争があって、イベントでもインテルに対抗心をむき出しにしたベンチマークを楽しませてもらいました(笑)。それから2008年のPhenom Iのときにちょっと元気がなくなって……2009年からはPhenom IIでシェアを回復という流れですよね。GPUはRadeon HD 4000ファミリーくらいから安定していましたが。
土居 そうですね。今とだいぶ違います。Phenom Iのときは、ぼくもすごくつらかったです。「これで何を話せってんだよ」って(笑)。でもそこからPhenom IIががんばってくれて。
―― (笑)。あと、街の様子もかなり変わりました。2007年ごろに「5年後の秋葉原を歩く」というインタビュー連載をやっていまして、いろいろな方に2012年の秋葉原像を描いてもらったんですよ。土居さんは2012年のアキバはどうなっていると思いますか?
土居 まあ難しいですよね。ショップも、ショップブランド売るより、例えばeMachinesの安いやつがあったり。やっぱり、今は需要に対してショップの数が多すぎて、差別化が難しくなっているとは思います。ただ、厳しい状況ではあるけど、多くの人がもっとデスクトップPCを使うようになれば、デスクトップPCを使いたくなるようになれば、状況がよくなるんじゃないかと考えてます。一回、きちんとした性能のデスクトップを使ったら、ノートPCに戻れないくらいじゃないですか。処理性能も高いし、画面も広い。
―― そうですね。どれだけ性能の高いノートPCでも、画面の広さやキーボードやマウスの入力性を考えると、どうしても差が出ますもんね。かつ、広い画面で快適に動くとなれば、求められるスペックも上がってくると。
土居 だから、次に転職するときもデスクトップが欲しいな、デュアルディスプレイで使いたいなと思うんですよ。会社ではノートが支給されるじゃないですか。そうすると、会社より家で仕事したほうが効率的になってしまうという。
―― でも、多くの人にとって、デスクトップPCはオーバースペックと感じるんでしょうね。
土居 まあ、そうでしょうね。やっぱり、ハイスペックなシステムを必要とするサービスやソフトウェアがもっと出てこないといけない。そこでGPGPUに可能性があると思っているんですけど……GPGPUが活躍する場が大きく開花すれば、そこからつながる可能性がいっぱいあると思うんですよ。
―― 転職はどんなところを考えているんですか? 勝手な意見をいうと、またアキバで壇上に立ってもらえるとうれしいんですけど。
土居 ぼくもやりたいですね。だけどもう38なんで、そんなコロコロ転職できないしと、いろいろ考えるところもあって。これまでキャリアの大半は対企業の業務でしたから、そのオプションを残しながら、雇ってくれるところを探している感じです。だから、対コンシューマーの仕事になる可能性は低いかもしれません。
―― そうですか……。AMD本社など、海外で働くという可能性は?
土居 正直、辞めるのがあんなに急じゃなかったら、AMD本社に行くという選択肢はありましたね。何度が「こっち来る?」と言われていたんですが、まだ日本でやりたいことがあったから断っていたんですよ。今でも英語圏に行く可能性はありますね。
話題は尽きなかったが、ラストオーダーの時間となり、土居さんと筆者、編集部の3人で鮭茶漬けを平らげ居酒屋を後にした。
そしてこのインタビューから少し経った2月上旬、コンシューマー向け製品のある某社に入社が決まったという連絡を土居さんからいただいた。もしかしたら近いうちに、アキバで“兄貴”のプレゼンが見られるかもしれない。
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