“正攻法”で行くマルチタッチ対応モバイルPC――「Viliv S10 Blade」を駆る:10.1型WXGA液晶×SSD×ファンレス×1.2キロ×10時間駆動(3/3 ページ)
完成度の高いタッチパネル搭載モバイルPCとして、知る人ぞ知る「Viliv」シリーズ。新モデルの「S10 Blede」は、Viliv史上最も使い勝手がいい1台かもしれない。
長時間のバッテリー駆動を実証、静音性にも優れる
試作機ではあるが、参考までにいくつかベンチマークテストも実施してみた。結果は下のグラフに掲載しているが、スペック的には特に目新しさもなく、Atom Z530搭載機としては標準的なパフォーマンスだ。
SSDのpSSD-P2は、2009年秋以降のNetbookやミニPCに多く採用例がある。CrystalDiskMark 2.2のスコアのスコアを見ると、廉価版のSSDにしては4Kバイトのライトが速いが、ライト性能は全体的に2.5インチHDDよりもかなり遅い一方、ランダムリードではHDDよりも高速といった傾向だ。PCMark05のHDDスコアは2.5インチHDD(5400rpm)と同レベルで、トータル的な使用感はやはり2.5インチHDD搭載機とほとんど変わらないといえる。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行ったが、今回テストした試作機では無線LAN機能が利用できなかったため、イーモバイルの「D02HW」経由でインターネットに接続した。BBenchの設定は「120秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「20秒間隔でのキーストローク」で、電源オプションは「バランス(ディスプレイ輝度40%)を利用した。
テスト結果は5時間12分(残り5%)で終了した。さすがに公称の約10時間には及ばないが、外付けのD02HWでインターネットに常時接続してテストしたことを考えれば、モバイルシーンでかなり安心して利用できる駆動時間だろう。
データストレージにSSDを搭載していることに加えて、ファンレス設計なので、動作音はほぼ無音だ。使用中は底面の左奥を中心に発熱するが、表面にはあまり熱が伝わってくることがなく、発熱の処理にも不満はない。室温22度の環境でAVCHDムービーの再生を30分ほど行っても、表面のキーボードやパームレストの温度は30度以下とクールなままだった。ただし、底面の左奥は45度まで上昇しており、暖かい季節にヒザの上で利用する場合は注意が必要だ。
タッチ機能の使い勝手をモバイル用途でシンプルに生かした良作
気になる価格だが、ブルレーのサイトでは評価機相当のモデルであるS10-32が7万5800円となっている。スペックは控えめながら、Windows 7のマルチタッチ機能が十分な解像度で利用できるモバイルタブレットPCとしては、納得できる価格ではないだろうか。前述の通り、上位2モデルはキャンペーン中なので、予算に余裕があれば、これらを選んだほうが得だろう。
ピュアタブレットスタイルでのタッチ操作は、電車内で立ったまま利用したり、部屋で寝転がりながら操作するといった場面と相性がいい。S10 Bladeは軽量ボディにピュアタブレットスタイルへの変形機構とマルチタッチ機能を導入することで、机の上に置いても、持ちながらでも使える良好な操作性を獲得している。S10 Bladeはそれほどタッチ機能に対して凝った作り込みはなされていないが、タッチ機能の使い勝手をシンプルにモバイルノートPCに生かした好例といえるだろう。
タブレットPCにしては薄型のボディはピュアタブレットスタイルでのホールド性もよく、バッテリーの駆動時間も十分あり、静音性にも優れるなど、モバイルPCとしての完成度はかなり高い。机の上で使いやすいというだけでなく、立ったり寝たりした姿勢でも快適に使えるモバイルPCが欲しいというユーザーにはおすすめだ。
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