パーツベンダーが底力を見せつけた5月のアキバ:5分で分かった気になる、5月のアキバ事情(2/2 ページ)
4月に登場したCore i7-980XやPhenom II X6の流通がそこそこ安定した5月は、“最強CPU”を“最強の環境”で生かせるマザーボードが多数登場した。また、グラフィックスカードやPCケースなどでも、ベンダー独自のアレンジが光った1カ月となった。
「あっという間にレア感がなくなりましたね。いいことです」――充実するGeForce GTX 480カード
グラフィックスカードでは、品薄な状態となっていたGeForce GTX480カードが比較的潤沢に出回るようになった。大型連休明けにはELSAの「GLADIAC GTX 480」、中旬にはASUSTeKの「ENGTX480/2DI/1536MD5」がともに6万円前後で登場。「これで主要ベンダーのGTX480カードは出そろった感がありますね。ELSAもASUSTeKもリファレンスデザインの状態で高価なんですけど、手厚いサポートや信頼性の高さから指名買いする人もいます。どちらも需要はあるでしょう」(クレバリー1号店)という。
勢ぞろいと同時に、ベンダーのアレンジが加わったバリエーションモデルも登場するようになるのがグラフィックスカードの通例だ。5月中旬にはEVGAから、オーバークロック仕様の「GeForce GTX 480 SuperClocked」が登場し、「事実上の最強カード」ということで話題を集めている。グラフィッククロックが607MHzから625MHzに、メモリクロックが1215MHzから1701MHzに引き上げられており、6万2000円弱という価格ながら各ショップで売り切れが続出した。
パソコンショップ・アークは「EVGA製品は信頼性の高さも評価を受けているので、オーバークロック仕様でも安心して使えると考える人は多いでしょう。2枚購入する人もいましたし、ほしい人は本当にほしくなるカードだと思います」と話していた。
GeForce GTX470カードも多彩なバリエーションがみられるようになった。開閉式のファンを採用したGALAXYのオーバークロックモデル「風神」が4万7000円弱で登場したほか、独自の大型クーラーを採用したPalitの「NE5TX470F10DA」が3万6800円でドスパラ秋葉原本店に並ぶなど、毎週のように新しい製品が加わり、潤沢に出回っている。
某ショップは「GTX 480/470は、連休明け前後からあっという間にレア感がなくなりましたけど、普通にお客さんのニーズを満たせる状況になったわけだから、いいことですよね。あまりにレアな状態だと転売目的の人が増えて、自分で使いたいという思いを持った人により行き渡りにくくなるということもありますから」と本音を語った。
アート系PCフレームが登場&2TバイトHDDが1万円割れ
独自色が光るベンダーは“イタモノ系”だけではない。PCケース関連ではLIAN-LIが月後半に話題を集めていた。甲殻類のような4本の脚を造型したmini-ITX向けのPCフレーム「PC-T1」をリリースし、メカ好きなファンの心をわしづかみにした。mini-ITXマザーとATX電源やスリムドライブ、3.5インチHDDを組み込める仕様で、脚や各フレームの角度は自在に調整できる。価格はレッドが1万6000円弱、ブラックが1万4000円弱だ。
「パーツが露出した固定台は“まな板”と呼ばれ、ベンチマークや挙動テストなどに使われます。ですが、PC-T1は部屋に飾る人が多いでしょうね。もし可能だったら、関節にサーボを組み込んで、ロボット化したいくらいです」(ソフマップ秋葉原本館)と、ショップ側の反応も軒並み高かった。
その翌週には、パソコンデスクのような外観をしたテストベンチ台が登場。ATXサイズ対応の「T60」と、mini-ITX対応の「T7」がラインアップされており、価格は順に1万4000円前後~1万6000円弱、1万円前後~1万0000円前後となる。ドスパラ秋葉原本店は「アート系のPC-T1よりは、実用向けの印象です。ただ、アルミシャーシの仕上げは同様のクオリティで、やはりそのまま飾っても様になるでしょう。イベントなどでマシンのデモを披露する際にも使えそうです」と話していた。
最後に、もう1つ外せないトピックがある。5月後半から月末にかけ、2TバイトHDDの「WD Caviar Green WD20EARS」が複数のショップで1万円割れし、限定特価を含めると最安で9499円(TSUKUMO eX.のタイムセール)の値段まで付けられるようなっている。
ウェスタンデジタルは、月末に667Gバイトプラッタを採用した同型番の新モデルが投入しており、旧モデルを一掃する狙いがあるとみるショップもあった。「ただ、667Gバイトプラッタモデルも1万1000円前後なんですよ。もう、通常売価で2TバイトHDDの多くが9000円台になるのは時間の問題でしょうね。特別な個性を持っていないモデルは、どんどん安くなっていきます」(某ショップ)という。
そうした中、“特別な個性”を持ったHDDも登場している。5月後半に店頭に並んだウェスタンデジタルの「VelociRaptor WD6000HLHX」。2.5インチ大のドライブを外形が3.5インチサイズとなる大型ヒートシンクで覆っており、10000rpmの高速回転でも効率的に冷却できる。SATA 3.0に対応し、容量は600Gバイト。価格は3万3000円前後だが、数日間で売り切れるショップが出るほどの人気がある。T-ZONE.PC DIY SHOPは「速いHDDといえばVelociRaptorシリーズが定番となっています。SATA 3.0対応HDDのなかでも一番速いと思います。ここまでの特徴があれば、3万円でも売れるんですよね」と話していた。
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