シャープ、電子書籍端末を年内に発売へ 「次世代XMDF」対応
シャープが電子書籍の新フォーマット「次世代XMDF」を開発。出版社や新聞社が賛同を表明しており、タブレット型の対応端末を年内にも発売する予定だ。
シャープは7月20日、電子書籍フォーマット「XMDF」を動画や音声に対応させた「次世代XMDF」を開発したと発表した。年内にも対応電子書籍端末を発売する計画。出版社や新聞社が賛同を表明しており、端末からオーサリングシステムや配信システムまで提供する電子書籍ソリューションとして、海外展開も視野に入れている。
XMDFはシャープが開発した電子書籍フォーマットで、縦書き表現やルビ、禁則処理などに対応し、携帯電話を中心に7000万台以上の端末に搭載されているという。次世代XMDFは、高精細な大型ディスプレイに対応。電子書籍上で動画や音声を再生したり、文字サイズに合わせて自動で段組みを変えたり――といったことが可能になっている。
年内にも、次世代XMDF対応電子書籍端末を発売する予定。同日の記者発表会では、iPadに似た10.8インチディスプレイのタブレット型タッチパネル端末と、iPhoneを一回り大きくしたサイズの5.5インチタッチパネル端末を披露した。実際に市場投入する端末の仕様などは、改めて発表する予定だ。
端末に加え、オーサリングから配信までを含む電子書籍ソリューションとして提供していく。InDesignによるDTPデータの自動変換や、1つのコンテンツをスマートフォンや電子書籍端末、PCなどさまざまな画面サイズの機器向けに最適化するシステムのほか、新聞・雑誌の定期配信・広告配信システムなどで出版社を支援する。
具体的なサービス形態やビジネスモデルは明らかにしておらず、「改めて発表する」(同社の大畠昌巳 情報通信事業統括執行役員)としているが、発表会で披露されたデモ映像では、電子書籍端末がさまざまなアプリと連携したり、Twitter経由で電子書籍の評判を知ったり――といった利用シーンが流れていた。
「印刷会社や取次、出版社と協力しながら事業を進めていきたい」としており、大日本印刷、凸版印刷、毎日新聞社、日本経済新聞社、ダイヤモンド社、日経BPなどが趣旨に賛同。講談社、角川書店など35社が参加する業界団体「日本電子書籍出版社協会」も賛同している。
端末やソリューションは海外でも展開する予定。米Verizon Wirelessと電子書籍事業に関する提携に向けて協議していることも明らかにした。
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