「GALAXY Tab」と「NAVIONICS」で冬の海を渡る!:勝手に連載「海で使うIT」(4/4 ページ)
携帯電話にスマートフォン、防水防じんの“ハンディ”TOUGHBOOKと進化をしてきた“手のひら電脳航法”。ついにAndoridタブレットデバイスでも可能になった!
揺れる船上でも、GALAXY TabとNAVIONICSはストレスなく使えた!
先ほども触れたように、今回の検証航海では、NAVIONICSをインストールしたGALAXY Tabを防水パックに入れ、全長8メートルのセイリングクルーザーで運用した。航行したのは三浦半島の南端から出港して南西に4海里ほど沖合いにあるブイまでの往復で、天候は曇り、海象条件は北東の風 風力5。なお、防水パックに入れた状態でもGALAXY Tabのタッチパネルは問題なく使えた。これは、波を被って海水の水滴が付着した状態や、その海水が乾いて一面に塩をまぶした状態になっても同じだった。
Androidで運用できるナビゲーションソフトの多くは、Google Mapなどのオンラインマップを利用するため、ネットワーク接続が必要だが、NAVIONICSは、ネットワーク接続が期待できない外洋運用も想定しているため、海図データはローカルで持つ。それゆえ、電力を消費するネットワークをオフにした「機内モード」でも運用できる。ただ、曇天とはいえ野外で利用するため、液晶ディスプレイの輝度は最大にしておく必要がある。
機内モードながら、GPSの利用と最大輝度の液晶ディスプレイという条件で運用したところ、3.5時間の航海でバッテリーは満充電状態から残り30%まで消費していた。1時間当たり20%、5時間で使い切る計算だ。ただ、実際の航海では、通常はスタンバイにして、予想されるWay Point到達時間前に復帰させてポジションを確認するといった運用になるため、それこそ、三崎港から出港して12時間後に三宅島に到達するような航海でも運用は可能だろう。
GPSトラッキング中に表示される航海データが、ノットと任意の地点までの距離と方位だけで、特に針路が表示されないのに不満を感じる船長も多いかもしれない。とはいえ、針路は船に備え付けたコンパスを見れば分かるので、航海運用で致命的な欠点ではない。ただし、夜間航海用のカラーモードを備えていないので、夜間航海で運用する場合は、“赤い暗記シート”をかぶせるなどの工夫が必要だ。
これまで、PC、Windows Mobileベースのスマートフォンと、電脳航法システムを運用してきたが、AndroidデバイスとNAVIONICSの組み合わせで構築できるシステムは、Androidを採用するデバイスなら幅広い機器が選べる柔軟性と、動作が軽快で、ネットワークに接続していれば航海情報が外部と簡単に共有でき、かつ、ローカルに保存した広範囲な海図を外洋で利用できる。また、操作性も、動揺が激しい帆走中の小型セイリングクルーザーでも、目的の操作がストレスを感じることなく行える。
1035円という価格は、Androidマーケットで購入できるアプリケーションでは飛びぬけて高いが、航法ソフトと電子海図の組み合わせとしては飛びぬけて安い。GPSプロッター的な運用ができる無料のAndroidナビゲーションソフトでは、「GPS Compass Map」などでノット表示やWay Pointによるルートナビゲーションに対応しているが、オンラインマップによる運用が前提で、航路標識や海底危険物などが参照できないなど、電脳航海システムとしては制約が多い。
防水パック(GALAXY Tab専用の耐衝撃防じんケース「Otterbox Defender for Galaxy Tab」が直販価格6500円で販売されているが、なぜか防水機能は備えていない)に入れたGALAXY Tabなら、船が激しく動揺して波しぶきが絶え間なく降り注ぎ、操船で手が離せない厳しい海象条件でも、デッキにいたまま片手で操作できる。
Androidデバイスをすでに所有している船長は、ぜひ導入してほしい。Androidデバイスを持ってない船長も、携帯電話ショップで「0円」端末を見かけたら、NAVIONICSのためだけに購入を検討してもいい。かけたコストに見合った価値のある電脳航法システムだ、と、今回ばかりは珍しく断言してしまおう。
関連キーワード
GALAXY Tab | Android | GPS | スマートフォン | 防水 | 地図 | タブレットPC | NTTドコモ | Samsung | Android搭載PC | Androidタブレット | 海で使うIT | Androidケータイ
関連記事
第3回 ブラウザは使いやすい? Flashゲームで遊べる?――「GALAXY Tab」
今回はGALAXY Tabの強みといえるFlash対応ブラウザや、大画面を生かした動画再生機能、文字入力に注目して、その使い勝手をリポートする。また、普段あまり使う機会のない「電話」ソフトの利用感も合わせて紹介しよう。「GALAXY Tab」の“ここ”が知りたい:第2回 画面は見やすい? カメラの画質はどう?――「GALAXY Tab」
割引キャンペーン「HAPPY Tab キャンペーン」も始まり、より入手しやすくなった感のある「GALAXY Tab」。タブレット端末らしい大画面や大容量メモリのほか、タブレット端末としては珍しくカメラを備えるなど、注目すべき点は多い。そこで今回は画面、メモリ、カメラなどのハードウェア性能をまとめた。「GALAXY Tab」の“ここ”が知りたい:第1回 サイズ感はどう? 1台目として使えそう?――「GALAXY Tab」
「GALAXY Tab」は、スマートフォンより一回り大きいタブレット端末ということで、「普段持って歩けるだろうか」「使いこなせるだろうか」と二の足を踏んでいる人もいるのではないだろうか。そこで今回は、サイズ感や付属品、1台目として使えるかなど、購入前の判断材料となる情報をまとめた。動画で見るスマートフォン――「GALAXY Tab」
ケータイの動作速度はカタログからは分からないが、使用する上で満足度を大きく左右する。特にスマートフォンは、タッチパネルがスムーズに反応するかが重要だ。本コーナーでは、スマートフォンのホーム画面とブラウザの操作感が分かる動画を掲載するので、参考にしてほしい。7インチ液晶に大容量バッテリーを装備――Androidタブレット「GALAXY Tab」日本上陸
9月にSamsung電子が海外版を発表したタブレット型のAndroid端末「GALAXY Tab」が日本にも上陸する。ドコモが11月下旬に発売する同モデルは、7インチの大画面でブラウジングや文字入力を快適に行える。写真で解説する「GALAXY Tab」
ドコモの「GALAXY Tab」は、片手での持ちやすさと使いやすさを重視したタブレット型のスマートフォン。10月5日の発表会場に展示されていた実機をチェックした。ドコモ、Androidタブレット「GALAXY Tab」を11月26日に発売
7インチのディスプレイを備えるSamsung電子製のタブレット型スマートフォン「GALAXY Tab」が、11月26日から販売される。秋の巡航を“自慢”するなら、フルハイビジョンの「Xacti DMX-CA100」がいいみたい
ついに夏が終わる! が、舟遊びは、いい風が吹き始めるこれからがオンシーズン。というわけで、秋の連休に最新の“防水”Xactiをじっくりと使ってみたっ!2万円を切る海外製AISレシーバーは本当に使える?
簡単便利で安いGPSが普及したのはある意味当然。AISも簡単便利だが高すぎて普及にいたらず。え、2万円を切るAISレシーバーがあるって! 大丈夫か?「Eee PC 901-16G」で電脳航海に挑む
「できないこともあります」とメーカーが脅かすNetbookだが、その安さはリスキーな船で使うのに(それほど)抵抗ない。でも、電子海図と航法ソフトはまともに動くのかな?Atom搭載TOUGHBOOKで濃霧の伊豆諸島から生還せよ
防じん防水ノートPCで電脳航海を極めようという超私的なこの企画。しかし、今回はいつにも増して「危険な航海」となったようだ。手のひらで電脳航法!──X02HTと「PathAway for GPS 4」で海を渡る
PCと航法ソフトを組み合わせは厳しい海況の航海をすこぶる助けてくれる。でも、できることなら自分の位置を手元で把握したい。なんとそれが「携帯電話」でできるというお話。電子海図と“AIS”で夜の御前崎を突破せよ!
潮岬に御前崎。どちらも海の難所です。ええっ、そこに深夜突っ込むんですか!電子海図とAISなしでは避けたいところですねぇ。ゼロスピンドル“U”とアルファマップで鳴門の渦を航海する
あの“U”ってHDDを搭載しないから衝撃に強いのですか。ならば、「あの」連載で徹底的に使ってあげようじゃありませんか。携帯電話で「ENC」「港湾案内」が使えちゃう
紙の海図を電子海図に置き換えるとこれは便利。でも、キャビンに降りないと使えないのは操船で手が離せないときに辛いっす。えっ、携帯電話でENCが見れちゃったするんですかっ! し、信じられません。- 勝手に連載!「海で使うIT」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.