大解説! 新世代GPU“Kepler”が性能2倍で省電力の理由:KeplerでGPUが動く時代に(1/4 ページ)
NVIDIAの新世代GPUアーキテクチャ“Kepler”が登場。発表当初、その急激な性能向上と消費電力削減が話題となったが、果たしてそれは実現できたのだろうか?
大きく変化したSMとCUDAコア
NVIDIAは、開発コード名“Kepler”と呼んできた次世代アーキテクチャGPU「GeForce 600」シリーズを発表した。同社は、Keplerアーキテクチャの開発において「消費電力あたりのパフォーマンス」の向上を最も重視し、デスクトップPC向けGPUで最上位モデルとなる「GeForce GTX 680」では、消費電力あたりのパフォーマンスを、従来のシングルGPUで最上位モデルだったGeForce GTX 580と比べて2倍まで向上させた。
消費電力あたりのパフォーマンスが向上した理由には、GPUの核となるSM(Streaming Multiprocessor)の構成を見直し、新たに192基のCUDAコアで構成するSMX(Streaming Multiprocessor eXtreme)に進化したことが挙げられる。従来のGeForce GTX 580では、1基のSMが32基のCUDAコアで構成していたことを考えれば、SMあたりのコア数が6倍に増えたことになる。GeForce GTX 680では、このSMXを8組構成で1536基のCUDAコアを搭載する。これにより、GeForce GTX 680の消費電力あたりパフォーマンスがGeForce GTX 580の2倍にまで向上することが可能になった。
GeForce GTX 680は、TSMCの28ナノメートルプロセスルールを採用し、35億個のトランジスタを集積する。そのダイサイズは294平方ミリで、GeForce GTX 560Tiより小さい。グラフィックスメモリのインタフェースは256ビット幅だが、動作クロック1.5GHzのGDDR5をグラフィックスメモリに採用することで、6Gbpsの転送レートを実現し、GeForce GTX 580と同じメモリ帯域を確保している。これにより、GeForce GTX 680のリファレンスデザインにおけるTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)は、最上位モデルながら195ワットに抑えられており、外部補助電源コネクタも6ピン2基の構成で済んでいる。
GPU名 | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 580 | GeForce GTX 560 Ti |
---|---|---|---|
プロセスルール | TSMC 28ナノメートル | TSMC 40ナノメートル | TSMC 40ナノメートル |
トランジスタ数 | 35億 | 30億 | 19億5000万 |
ダイサイズ | 294平方ミリ | 520平方ミリ | 360平方ミリ |
CUDAコア | 1536 | 512 | 384 |
テクスチャユニット | 128 | 64 | 64 |
テクスチャフィルタリングレート | 128.8Gtexels/s | 49.4Gtexels/s | 52.6Gtexeles/s |
ROP | 32 | 48 | 32 |
2次キャッシュメモリ | 512KB | 768KB | 512KB |
ベースクロック(/プロセッサクロック) | 1006MHz | 722/1544MHz | 822/1644MHz |
ブーストクロック | 1058MHz | - | ー |
グラフィックスメモリ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリバス幅 | 256ビット | 384ビット | 256ビット |
メモリ転送レート | 6.0Gbps | 4Gbps | 4Gbps |
メモリ帯域 | 192GB/s | 192.4GB/s | 128.3GB/s |
TDP | 195ワット | 244ワット | 170ワット |
外部補助電源コネクタ | 6ピン+6ピン | 8ピン+6ピン | 6ピン+6ピン |
DirectX | 11.1 | 11 | 11 |
映像出力インタフェース | デュアルリンクDVI×2、HDMI、DisplayPort 1.2 | デュアルリンクDVI×2、Mini HDMI | デュアルリンクDVI×2、Mini HDMI |
画面出力 | 4 | 2 | 2 |
3D Vision Surround | 最大3画面 | 1 | 1 |
バスインタフェース | PCI Express 3.0 | PCI Express 2.0 | PCI Express 2.0 |
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