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「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(後編)――“世界最軽量”タッチ対応Ultrabookは1Gバイト/秒の“爆速”PCIe SSDも魅力真の実力が明らかに(5/5 ページ)

ソニーの超軽量Ultrabook「VAIO Pro 11」と「VAIO Pro 13」は、スペック面にもこだわっている。特にVAIO Pro 13は、先進のPCIe SSDで性能を大幅に強化可能だ。今回はさまざまなテストで総合的な実力をあぶり出していく。

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最軽量の11か、軽量かつ爆速ストレージの13か、それが問題だ

 現状でのベンチマークテストの結果をまとめると、CPUとグラフィックスのパワーは第3世代Core搭載のUltrabookからほぼ据え置き、もしくは少々上くらいにみてよいだろう。パフォーマンスは温度などの条件によって動的に変化するが、ざっくり見て「同じくらい」という感覚で問題ない。

 一方、バッテリー駆動時間は飛躍的に進化した。前世代のクラムシェル型モバイルノートPCと比べて、ボディがグッと軽くなったにもかかわらず、バッテリー駆動時間は約1.5~2倍まで伸びているのだ。CPUとグラフィックスの性能向上はあまりないが、むしろ「これぞ求めていた進化の方向性だ」と感じるユーザーも多いのではないだろうか。

 バッテリー駆動時間だけでも相当な進化を感じるが、それが液晶ディスプレイのクオリティの向上も伴ってのものだから恐れ入る。Retinaディスプレイ級の超高画素密度でこそないが、色域の広さに加えて色調整の適切さを感じる鮮やかな「トリルミナスディスプレイ for Mobile」は、モバイルPCの液晶ディスプレイのイメージを大きく変えるだろう。これにタッチパネルの手軽な操作性や、従来以上に入力しやすいキーボードまで持つ。

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 これと比べてしまうと、発売からまだ1年しかたっていない旧Ultrabookの「VAIO Tシリーズ11/13」でさえ、古い世代の製品に見えてしまう(普及価格帯のUltrabookだけに仕方がないところだが)。通常電圧版のCPUを採用したVAIO Zとの比較では、絶対的なパフォーマンスは下回るものの、ディスプレイの総合的な画質、タッチパネルの搭載、キーボードとタッチパッドの使い勝手、ボディの軽さ、バッテリー駆動時間で勝っており、新時代を感じさせる。

 というわけで、VAIO Pro 11とVAIO Pro 13のモバイルノートPCとしての完成度は高い。第4世代Coreとソニーが培ってきた高い技術を融合できたからこそ、ここまで軽量化しつつ、ほかの要素にもほとんど妥協がない製品に仕上げられたのだろう。

 ここで悩ましいのは、VAIO Pro 11を選ぶか、VAIO Pro 13を選ぶかだ。

 約19ミリピッチの大きなキーボードを備え、ガシガシと軽快にタイピングできるVAIO Pro 13は、入力環境を重視するユーザーにとって実に魅力的な製品だ。Windows 8の操作に慣れたユーザーならば、タッチパネルの搭載で重量を約1060グラムに抑えていることにも大きな価値を見いだせるに違いない。さらに、VOMモデルで8GバイトメモリやPCIeの爆速SSDが選べるため、パフォーマンス志向のユーザーにも強くおすすめできる。

 2013年6月20日現在、VAIO Pro 13の直販価格は13万8800円からと、さすがに安くないが、トータルバランスのよさを考えると妥当ではないだろうか。ちなみに、タッチパネル付き液晶、Core i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)、8Gバイトメモリ、256GバイトPCIe SSDのハイスペック構成では18万2800円だ。

 対するVAIO Pro 11は、タッチパネル搭載で約870グラム、非搭載ならば約770グラムの超軽量ボディとコンパクトなサイズ感が、唯一無二の存在感を放っている。最近の13型クラスや横幅の大きな11型クラスのUltrabookでは満足できなかったコアなモバイラーからの支持を集めそうだ。

 もちろん、軽さだけでなく、約17ミリピッチの打ちやすいキーボードや美しい画面も兼ね備えているので、より幅広いユーザーに受け入れられるポテンシャルもある。メモリ容量は4Gバイト固定となり、PCIe SSDが選択できないなど、ハードウェアスペックはVAIO Pro 13に譲るが、この薄さ、小ささ、軽さは何物にも代えがたい。これまでノートPCは重くて持ち歩きたくないと思っていた方も、これなら携帯して使いたくなるのではないだろうか。

 VAIO Pro 11の直販価格は12万8800円からと、VAIO Pro 13より求めやすい。タッチパネル付き液晶とCore i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)を搭載した構成でも14万8800円だ。

 どちらを選択するかは、何を重視するかで変わってくる。VAIO Pro 11とVAIO Pro 13が気になった方は、まずはソニーストアで仕様と価格をシミュレートしてみるとよいだろう。

←・VAIO Z/VAIO Tとの比較も:「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(前編)――ソニーがHaswellで実現した“世界最軽量”タッチ対応Ultrabook

←・VAIO Zより高画質?:「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」徹底検証(中編)――“世界最軽量”タッチ対応Ultrabookはディスプレイもキーボードも妥協なしか

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