Windows 10無料アップグレード最終案内(ダウングレード/クリーンインストールも):鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
Windows 10の無料アップグレード期限まであと1週間。アップグレード方法と旧OSに戻す方法、そしてそこからクリーンインストールを行う方法までまとめて解説する。
Windows 8.1に戻した環境へWindows 10をクリーンインストールする
一度Windows 10にアップグレードした環境をWindows 7/8.1にダウングレードした後、再度Windows 10をアップグレードインストールしてもよいが、2度目以降は「Windows 10のクリーンインストール」という選択肢が選べるようになる。
これはWindows 7/8.1でのライセンス認証が、Windows 10へのアップグレードによって「Windows 10で利用可能なデジタルライセンス」へとアップグレードされるためで、システム構成を大きく変更しない限りは有効となる。つまり、一度Windows 10にアップグレードすると、旧OSに戻してからWindows 10をクリーンインストールしても、自動的にライセンス認証が行われた状態となるのだ。
というわけで実際に、Windows 8.1に戻した環境(今回は仮想マシン)へ、Windows 10をクリーンインストールしてみる。
クリーンインストールには、Windows 10をインストールするためのメディアが必要だ。幸い、Microsoftは公式サイトに「メディア作成ツール(Media Creation Tool)」を用意している。「ツールを今すぐダウンロード」ボタンを押し、Windows 10をインストール可能なUSBメモリまたはDVD(ISOファイル)を作成しておこう。
ちなみに、このツールでインストールできるWindows 10は2015年11月に配信された大規模アップデート「November Update(1511)」適用後の状態だ。
ダウンロードしたメディア作成ツールを実行すると、最初にソフトウェアライセンス条項(EULA)を確認してくる。確認後に「同意する」を押して先に進む。
次にアップグレード方法の確認をしてくるが、今回はメディアの作成なので「他のPC用にインストールメディアを作る」を選択する。なお、環境によってはこの表示が出てこない。
Windows 10で使用する言語やアーキテクチャ(32bit/64bit)を指定する(エディションの項目は選択不要)。ツールを実行したOS環境に合わせて、作成するインストールメディアのデフォルト値が設定されている。不慣れなユーザーのため、「このPCにおすすめのオプションを使う」というチェックボックスもある。設定後に「次へ」を押す。
作成するメディアの種類を「USBフラッシュドライブ」または「ISOファイル」から選ぶ。ダウンロードしたISOファイルはDVDに後から書き込んで使う。今回は仮想マシン上での作業のため、ダウンロードしたISOファイルをそのまま光学メディアとして仮想ドライブにマウントした。一般的なPCでは、USBメモリ経由でインストールした方が簡単だ。
ISOファイルを光学メディアの仮想ドライブとしてマウントした状態で再起動すると、Windows 10のインストールメニューが表示されるので、内容を確認して「次へ」を押す。ちなみにUSBメモリに作成したメディアの場合、中を見ると「setup.exe」というファイルがあるので、Windows 7/8.1上でこれをダブルクリックする。
次の画面では「今すぐインストール」を押す。ここから先の画面は、基本的にアップグレードインストール時との差分のみ掲載していく。
Windowsのライセンス認証のため「プロダクトキー」の入力を求めてくる。今回は一度Windows 10にアップグレードしたWindows 8.1のデジタルライセンスが有効化され、その後にWindows 10をクリーンインストールした場合でも自動的にライセンス認証が行われることを確認したいので、プロダクトキーを入力せずに「プロダクトキーがありません」を選択する。
続いてエディションの選択だ。Windows 10 Home/Proのどちらをインストールするのかを確認してくるが、今回はWindows 8.1 Proのライセンスを利用しているので「Pro」を選ぶ。
クリーンインストールはアップグレードインストールと異なり、旧OS環境の情報を引き継げないため、接続先のネットワーク環境などの設定もあらためて行う必要がある。
ここでおなじみのソフトウェアライセンス条項(EULA)の確認画面が現れる。内容確認後に「同意します」をチェックして「次へ」ボタンを押す。
インストールの種類として「アップグレード」もしくは「カスタム」が選べるが、今回はクリーンインストールなので「カスタム」を選択する。
クリーンインストールなので、インストールしたいドライブをフォーマットする手順が入る。その後に「次へ」を押す。
これで問題がなければ、インストール作業は自動的に進んでいく。
インストール中は何度か自動的に再起動するので、しばらく放置しておく。
セットアップ画面では、やはり「簡単設定」を選択しておく。アップグレードインストール時との最大の違いは「このPCは誰が所有していますか?」の部分だ。基本的には「自分が所有しています」を選択する。「職場または学校が所有しています」はネットワーク内にActive Directoryのドメインコントローラが存在する場合の選択項目だ。
そして、Microsoftアカウントの確認をしてくる。もし入力したくない場合は「この手順をスキップする」を選べばよい。MicrosoftアカウントでWindows 10にサインインすると、Microsoftの各種クラウドサービスと自動的に連係できるが、ローカルアカウントで利用することも可能だ。
パスワードよりも簡単でセキュアなPINコードでのサインイン設定も可能だ。これも後で設定することが可能なので「この手順をスキップする」でも構わない。
これでWindows 10のクリーンインストールは完了だ。クリーンインストールした直後の画面は、アップグレードインストール時とは一部異なる。
前述の通り、ライセンス認証済みのWindows 7/8.1を一度Windows 10にアップグレードしておくとデジタルライセンスが有効となり、以後は同一のシステムであればWindows 10をインストールするだけで“プロダクトキーを入力しなくても”自動的にライセンス認証が完了する。今回のクリーンインストールでも自動でライセンス認証が行えた。
ただし、Windows 7/8.1からWindows 10にアップグレードしたことがあるPCでも、その後にハードウェア構成を変えてしまうとデジタルライセンスが無効になってしまい、今回のような自動でのライセンス認証はできなくなる。自作PCユーザーなどにとって、これは結構面倒な問題だ。
そこで、2016年8月2日に配信されるWindows 10の無料大型アップデート「Anniversary Update」では、デジタルライセンス情報をMicrosoftアカウントとあらかじめひも付けしておき、ハードウェア構成変更後のマシンに再度デジタルライセンス情報を付与する「Activation Troubleshooter」の機能が追加される。これにより、ハードウェアの構成を変更した後にライセンス認証が外れてしまう問題が解決されるはずだ。
以上、Windows 7/8.1からWindows 10へのアップグレード、Windows 10からWindows 7/8.1へのダウングレード、そして一度アップグレードしてからWindows 7/8.1に戻したPCへWindows 10のクリーンインストールと、3つの手順を紹介した。Windows 10への無料アップグレード対象のユーザーでPC環境に問題がないという人は、チャレンジしてみてはいかがだろうか。
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