Windows 10「Fall Creators Update」のビジネス向け新機能まとめ:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
「Fall Creators Update」という名称からはイメージしにくいが、この大型アップデートで法人向けのセキュリティ対策や管理機能が強化されている。直近のサポートポリシー変更とともに、まとめて紹介する。
Semi-Annual Channel(SAC)が適用される初のアップデート
Microsoftは2017年以降、Windows 10の大型アップデートの提供サイクルを3月(実際は4月)と9月(実際は10月)の年2回に固定し、特に企業ユーザーが計画的なアップデートを可能にする方針を打ち出している。
また、大型アップデートの適用タイミングについて「当該アップデートが提供されてから12カ月以内」というサポートに関する縛りを緩和し、「18カ月以内」にまで延長している。これの効果は「年2回の決められたタイミングでのアップデート提供」というルールと合わせて、「新しいアップデートが提供される度に必ず適用する必要がなく、1回スキップすることも可能」ということにある。
そうした中、Microsoftは2017年8月に製品のサポートポリシー変更を発表するとともに、従来は「Current Branch(CB)」「Current Branch for Business(CBB)」と呼んでいたアップデート適用モデルを「Semi-Annual Channel(SAC)」に1本化する方針)を打ち出した。
Semi-Annual Channelとは「年2回更新」を意味しており、18カ月期限の更新サイクルさえ守っていれば、ユーザー企業に好きなタイミングでのアップデートを許可する仕組みとなっている。これにより、クライアント数が数千から数万単位といった大規模な組織や、利用するアプリケーション等の理由により頻繁な更新が難しいという企業に、できるだけ負荷をかけずにアップデートを促す施策となっている。
もう少しだけ詳しく見ていく。「Windowsライフサイクルのファクトシート」というページによれば、Windows 10のサポート期限は、November Update(1511)が2017年10月10日に終了しており、Anniversary Update(1607)が2018年3月(仮)に迫っている。以後はCreators Update(1703)が2018年9月(仮)、Fall Creators Update(1709)が2019年3月(仮)だ。
リリース開始からサポート終了までの期間を比べれば分かるように、Creators Update以降は18カ月ルールが適用されているのに対し、Anniversary Updateは若干長い。これは以前までの「2世代後の大型アップデートが提供されてから、その移行期間(CBB)終了まで」というルールをある程度引き継いでいるからだろう。
またSACにも「Broad」と「Targeted」の2種類があり、これらが交互にやってくる。今回の例では、Creators Update(1703)が「Broad(または“表記なし”)」、Fall Creators Update(1709)が「Targeted(日本語では“対象”)」となっている。
Microsoftの説明によれば、Targetedは最新ハードウェアを搭載したデバイスなどを対象に展開テストを行うフェーズで、この検証フェーズを経てBroadで広域展開を行うことが推奨されている。
つまり秋のアップデートで展開テストを行い、これを利用して春のアップデートでのトラブルを軽減させるのが狙いというわけだ。その意味で、Fall Creators UpdateはSACを適用してテスト移行を行うための初のアップデートであり、今後の試金石ともなる。
2020年1月のWindows 7サポート終了に向けて、Windows 10への移行とその後の運用については、こうした新たなサポート期限ルールを把握したうえで、それぞれの環境に最適なアップデートプランを計画することが必要だ。
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