Windows 10でデスクトップ版Skypeが使えなくなる日:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
MicrosoftはアプリのUWP化を推進しているが、今後はWindows 10環境で切り捨てられていくデスクトップアプリケーションが増えていきそうだ。
クラウド事業に注力し、旧世代のソフトウェアやサービスを次々と刷新しているMicrosoft。Windowsエコシステムにおいても、Windows 7以前のデスクトップアプリケーションをWindows 10以降の“モダン”な実行形式である「UWP(Universal Windows Platform)」アプリに変換するツール「Desktop Bridge(Project Centennial)」を提供するなどの新陳代謝が進んでいる。
UWPのターゲットはWindows 10 MobileからWindows 10 Sへ
もともとUWPアプリは、「PCでもスマートフォンでもゲーム機でも共通して動作するWindows 10世代のアプリ」だったが、現在では「APPXファイルでパッケージされたアプリ」となり、Win32コードを含むためにPCでしか実行できないアプリであっても「UWP」の扱いとなった。ただし、当初からMicrosoftのオンラインストア経由でインストールする仕組みとすることで、管理面やセキュリティを強化するという点は変わっていない。
理想とは違った形に落ち着いたUWPアプリだが、スマートフォン向けOSの「Windows 10 Mobile」が終了に向かいつつある現状では、PCでもスマートフォンでも共通して動作するWindows 10世代アプリであることの意味は薄れたと言える。
その一方で、UWPアプリしか動作しないWindows 10の新しいエディションである「Windows 10 S」は、教育市場のみならずビジネス市場にも拡販する戦略が明らかになっており、依然としてUWPアプリへの移行推進はMicrosoftにとって重要だ。
デスクトップ版Skypeは旧OSのみサポートへ
こうしたUWPの推進における最新動向として通話・メッセージングアプリの「Skype」に注目したい。
Windows PCで利用できるSkypeは現在、Win32のいわゆるデスクトップアプリケーションである「Skype for Windows Desktop」と、UWPアプリの「Skype」がある。これまではWindows 10でどちらも利用できていたが、Windows 10をアップデートして使い続けるならばUWPアプリしか選択肢がなくなる。
米Neowinが指摘しているが、10月末にリリースされた最新β版の「Skype for Windows Desktop」は、Windows 10での動作条件として「Windows 10初期バージョン(1507)」または「November Update(1511)」を挙げている。
つまり、Skype for Windows Desktopが動作可能なのはWindows 10でもNovember Update(1511)以前のバージョンに限定され、「Anniversary Update(1607)」以降のバージョンについてはUWPアプリのSkypeを導入するよう促しているのだ。
これは推測だが、Anniversary Update以降のバージョンではDesktop Bridgeで変換されたデスクトップアプリケーションがUWPアプリとして動作可能になっており、Skype for Windows Desktopはインストール時にバージョンチェックでこれを判別して、Windows 7/8.1を含む旧Windows OSでのみ利用可能にしているのではないかと考える。
企業ユーザーはさまざまな理由で旧バージョンのOSを利用しているケースがあり、Skype for Windows Desktopもこれに配慮したのだろう。
Skypeに限らず、Officeアプリケーションのデスクトップ版も同様の形でMicrosoftストアにてUWPアプリの配信が始まっている。今後はさらにこの傾向が強くなりそうだ。
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