Windows 10次期大型アップデート「RS5」はどうなる? 開発中盤のまとめ:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
2018年秋に一般公開される予定のWindows 10次期大型アップデート。開発コード名で「Redstone 5(RS5)」と呼ばれるこのアップデートでは何が変わるのだろうか。プレビュー版における開発中盤までの更新状況をまとめる。
Build 17711(7月6日)
- Edgeの「Reading View(読み取りビュー)」に読書支援ツール追加
- Edgeのオートフィル使用時に事前確認機能を追加
- EdgeのPDFツールバー改良
- Fluent Designにおけるポップアップデザインの変更
- 「Windows HD Color」対応デバイスにおけるHDR表示制御
- レジストリエディタの改良
Build 17713(7月11日)
- 「Skip Ahead」のリセットと再設定(19H1への分岐)
- Edgeにおけるサイトごとのメディア自動再生制御
- EdgeにおけるReading ViewやEPUB、PDFにおける辞書引き支援機能
- EdgeにおけるPDFツールバーの改良
- Notepadの検索・置換機能のアップデート
- Notepadの文字拡大・縮小機能
- Notepadの文字列カウント機能
- リモートデスクトップでの生体認証対応
- ADFS非対応デバイスにおける「Web Sign-in」を使ったWindows 10ログイン
- 「Windows Defender Application Guard」の改良(ただし「Build 17713.1002」適用後は動作せず)
- 「Windows Ink」における手書き入力パッドの改良
Build 17723(7月25日)
- 「Mixed Reality Flashlight」(HMD装着時に内蔵カメラで現実世界を映し出せる機能)の追加
- EdgeのIT管理者向け新グループポリシーとMDM(モバイルデバイス管理)設定を追加
- EdgeのXSSフィルターを廃止
- Emoji 11(157の新しい絵文字)のサポート
- 時刻精度とトレーサビリティの改良
- キオスク設定の改良
- 予測モデルを用いたWindows Updateの再起動ロジック更新
- Game Barにスタートメニュー、ショートカット追加
「Mixed Reality Flashlight」の利用イメージ。Windows MR対応HMDの装着時は視界が映像で覆われるが、この機能を使えばHMD内蔵カメラで外の様子を撮影し、懐中電灯で照らすように現実世界を合成表示できる
アップデートの履歴は以上となる。筆者がこの中で一番のトピックを挙げるならば、「Build 17704」における「Sets」の廃止だろう。Setsとは、さまざまなアプリとWebブラウザのタブが1つのウィンドウ内に混在し、相互に切り替えながら使えるという新しい仕組みのことだ。
Microsoftでは折りをみて機能を復活させるため、今後提供するWindows 10 Insider Previewのビルドに盛り込んでいく計画があるとしているが、筆者としては従来のWindowsのユーザー体験を大きく変化させる機能であり、同時に企業ユーザーを中心にユーザー教育面でのマイナスインパクトも大きく、「時期尚早」な機能だったのではないかと考えている。
アップデートにおけるUIの変更はある意味で避けられないが、こうした変化に付いていくのが難しいユーザーも含めてWindowsのエコシステムが構成されているため、一部ユーザーのみに着目した改良が必ずしもいい方向に作用するとは限らない。
その意味でSetsはまだまだ改良の余地の大きい機能であり、Windows Insider Programを通じて事前テストでフィードバックを得られたおかげで、UIの大きな変更を伴う新OS(あるいはアップデート)のいきなりの広域展開といった事態を避けられたように思う。ユーザーと開発者が対話しながらOSを改良していくという試みの成功例として非常に興味深い。
関連キーワード
Windows | Windows 10 | Microsoft | 大規模アップデート | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
Windows 10“次々期”大型アップデート「19H1」のプレビュー始まる
Windows 10開発プレビュー版「Windows 10 Insider Preview」は、これまで「Redstone」の開発コード名で知られていたが、2019年春の大型アップデートからは「19H1」というシンプルなものに変わる。Windows 10 Insider PreviewはRS5と19H1に分岐し、それぞれ開発を進める。Microsoftが「Amazon Go」に対抗しようとする理由
米Microsoftは「Amazon Go」のようなレジ行列なしの店舗技術について開発を進めているという。ここで重要なのは、「小売店舗」という枠組みそのものが、最新技術によって「プラットフォーム」化されつつある現状だ。「Office 365」でコラボレーションの世界を飲み込むMicrosoft
Microsoftは「Office 365」をさらに強化し、さまざまなコラボレーションツールを取り込んでいく構えだ。年次パートナーイベント「Inspire 2018」の開催直前に発表された3つのアップデートを整理する。MicrosoftがAlphabet(Google)を時価総額で3年ぶりに抜いたことの意味
米国でMicrosoftの時価総額が、Googleの親会社であるAlphabetの時価総額を逆転した。過去1年間の株価をみると、Microsoftは40%もその価値を上昇させており、5月29日の取引終了時点で時価総額がAlphabetを上回ったのだ。その背景を探る。Microsoftが75億ドルで買収したGitHubとはどんな企業? 米国オフィスを訪ねて
Microsoftが膨大な資金を使って買収するGitHubとはどんな企業なのか。その歴史を振り返りつつ、米国オフィスを訪問したレポートをお届けする。MicrosoftがGitHubを買収するメリットは何か
GitHubを買収したMicrosoft。かつてプロプライエタリの権化ともいわれたMicrosoftが今ではオープンソースを非常に重視していることは明らかだが、今回の買収で得られるメリットは何だろうか。AIをクラウドからエッジへ Microsoft開発者イベント「Build 2018」を読み解く
米Microsoftの開発者会議「Build 2018」では、近年同社が注力する「Intelligent Cloud」と「Intelligent Edge」の最新動向が語られた。MicrosoftがWindows不要のIoTセキュリティ「Azure Sphere」を投入するワケ
注力分野が「Windows」を中心としたクライアントソリューションより、「Azure」を中心としたクラウドサービスに移りつつあるMicrosoft。Windowsを必要としない新たなIoTセキュリティサービスである「Azure Sphere」投入の狙いを探る。Microsoftの大規模な組織改編は何を意味するのか
2013年以来となる5年ぶりの大規模な組織改編を発表した米Microsoft。それが何を意味するのかを考察する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.