Windows 10大型アップデート「October 2018 Update」が完成間近 バグ修正しながらスマホ連携強化も:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
2018年10月の一般公開が見込まれるWindows 10次期大型アップデート「October 2018 Update」。8月末から9月初旬までの開発ビルドリリース状況と今後の見通しを紹介する。
2018年10月の一般公開を予定しているWindows 10次期大型アップデートは、正式名称が「October 2018 Update」となった。この名称は8月末にドイツのベルリンで開かれたイベントのIFA 2018で発表され、その後、Microsoftのユーザー参加型開発プログラム「Windows Insider Program」で配信されるプレビュー版「Windows 10 Insider Preview」の更新もいよいよラストスパートに入ってきている。
Windows 10 October 2018 Updateはこれまで「Redstone 5(RS5)」と呼ばれてきたもので、一般公開時の正式なバージョンとしては「Windows 10(1809)」となる見込みだ。MicrosoftはWindows 10 Insider Previewを数日おきにアップデートしており、8月31日(米国時間、以下同)に「Build 17751」、9月5日に「Build 17754」、そして9月7日に「Build 17755」をWindows Insider ProgramのFast Ring設定ユーザーへ配信している。
Build 17751とBuild 17754の内容は、ほぼバグの修正と既存機能のブラッシュアップであり、唯一の特徴と呼べるのはBuild 17751でデスクトップ画面右下に表示される「ウオーターマーク」(いわゆる透かし)が消えたことだ。
これまでMicrosoftはWindows 10 Insider Previewの開発ビルド配信において、一般向けリリースが近づくとデスクトップ画面のウオーターマークを外してきたため、October 2018 Updateの完成が近いサインといえる。
ただし、Microsoftのリリースノートには「まだ最終ビルドではない」とも書かれており、まだもう少しだけ開発ビルドの更新は続く。実際、Build 17755ではWindows 10のスマートフォン連携アプリ「Your Phone(同期電話)」上でSMS(ショートメッセージサービス)の表示と送受信が可能になり、音声入力やペン入力にも対応するなど、単なるバグ修正ではない新機能の追加が行われている。
それでは、October 2018 Updateの完成はいつになるのか。現行版の「Redstone 4(RS4)」こと「Windows 10 April 2018 Update(1803)」は、バグ問題でリリース時期が延びてしまったが、これまでの開発サイクルから推測して9月中旬には「Release Candidate(製品候補版)」相当まで到達しそうだ。
その後は、バグ修正を含む更新でビルド番号小数点以下のマイナーバージョンのみが上がる状態へと移行する。残りの営業日から換算して、ビルド番号で「17760台後半」あたりがターゲットになると考える。一般公開のタイミングについては早ければ10月中旬、遅くても10月末までには配信がスタートするだろう。
なお、October 2018 Updateの先、2019年春に公開予定のWindows 10大型アップデートは、開発コード名が「19H1」となっており、Redstone(RS)の呼び名も最後となる。
現時点では、19H1の正式名称もOctober 2018 Update同様、「April 2019 Update」と名付けられることが予測される。かつてのWindows 10大型アップデートは「Creators Update」「Fall Creators Update」と、クリエイティブユースを強調することもあったが、今後はMicrosoftが特にマーケティングメッセージを打ち出そうと考えない限り、このままで進みそうだ。
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