世界初の512GバイトSSDを搭載した「dynabook SS RX2」を試す:新型SSDの実力
東芝が開発した新型SSDは、512Gバイトの大容量だけでなく、最新コントローラによる性能の高さもポイントだ。その新型SSDを初めて採用したモバイルPC「dynabook SS RX2」をチェックした。
大容量SSDを搭載するWeb直販専売の「dynabook SS RX2」
東芝が“22年の技術”を注いだ「dynabook SS RX1」を生み落としたのは2007年の6月。当時大々的にうたわれた、超軽量かつ薄型のボディ、長時間駆動、屋外でも視認性を確保する半透過液晶ディスプレイの採用など、今なお色あせない数々の特徴によって“モバイルPCの理想”を体現したこのノートPCは大きな注目を集めた。
その後dynabook SS RXシリーズは、基本アーキテクチャの変更を含むモデルチェンジを数回にわたって行ってきたが、性能・機能とモバイルの両立という基本コンセプトは2009年の今も変わっていない。用途をWeb閲覧などに絞り性能を制限する一方で、圧倒的な低価格を訴求してきたNetbookとは対照的な製品である。
そして今回、東芝が世界に先駆けて開発した大容量512GバイトのSSDを搭載する最新モデル「dynabook SS RX2/WAJ」がWeb直販(東芝ダイレクトPC by Shop1048)限定モデルとして登場した。
基本的なスペックやボディデザインは従来機を踏襲しており、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)とGS45 Expressを組み合わせたシステムを採用、3Gバイト(1Gバイト+2Gバイト)のメモリと、DVDスーパーマルチドライブを搭載する。Web直販専売モデルの特徴としては、Bluetoothや3年保証を標準で備えるのがポイントだ。
インタフェースは、左側面手前から音声入出力端子とUSB 2.0、eSATA/USB 2.0、アナログRGBが並び、右側面には光学ドライブに加えて、PCカードスロットとUSB 2.0を搭載する。なお、512Gバイトの大容量SSDは、43ナノメートルにシュリンクし高密度実装されているものの、モジュール自体のサイズが大きくなったため、128GバイトSSDを搭載するモデルに比べて本体重量は1095グラムと、100グラムほど重くなった(オプションのバッテリーパック32A装着時は975グラム。ただしバッテリー駆動時間は約12時間から約6時間に半減する)。
新型SSDの性能は?
それではさっそく512GバイトSSDの性能を見ていこう。今回初めて実装された新型SSDは、その容量だけでなく、新開発のコントローラにより、アクセス速度が向上しているのがポイントだ。公称値では従来機(128Gバイト)のSSDと比較して、読み出し速度が約2.3倍の230Mバイト/秒、書き込み速度は約4.5倍の180Mバイト/秒を達成したという。ここでは定番のベンチマークテストプログラムを使ってその性能を試してみた。
まずはWindows エクスペリエンス インデックスだが、dynabook SS RX2は外付けGPUを搭載せず、グラフィックス機能をIntel GS45 Expressチップセットの内蔵コア(GMA 4500MHD)に頼るため、一番低いサブスコアはグラフィックスの3.2となった。もっとも、CPUは4.6、メモリは4.7と非常に高く、プライマリHDDの結果は上限値の5.9を記録している。
PCMark05の結果も同様の傾向で、4888をマークしたPCMarksを個別に見ていくと、CPUが3520、メモリが3550、グラフィックスが1542と、モバイルノートPCとしてはまずまずの値を出す一方、HDDは30192という驚異的なスコアを叩き出した。実際、Windows Vistaの起動にかかる時間(ウェルカムセンターが起動するまで)は37秒程度、スリープからの復帰が2秒強、休止からの復帰が20秒強と、かなり高速に動作する。
CrystalDiskMark 2.2.0では、シーケンシャルリード/ライト、ランダムリード/ライト(512Kバイト)、ランダムリード/ライト(4Kバイト)の3つの転送速度を計測する。今回実施したベンチマークではライト速度がやや安定しなかったものの、シーケンシャルリードが200Mバイト/秒を軽く上回り、ライト速度も130Mバイト/秒前後と、最新SSDとして申し分のない性能を発揮した。実際にWindows Vistaの動作も非常に快適で、SSDが体感性能の向上に大きく貢献しているのが分かる。
一方、3DMark06とFINAL FANTASY XIオフィシャルベンチマーク3の結果はふるわず、本格的に3Dゲームをプレイするのはかなり厳しいと分かる。もっとも、ビジネス用途にいつでも持ち歩ける高性能なモバイルPCが欲しいと考えているユーザーにとっては、このあたりは問題にならないだろう。
なお、システムに高い負荷がかかるベンチマークテスト中はファンが高速で回転し、排気口がある左側面から風切り音がはっきりと聞こえた。音自体はそれほど大きくはないものの、負荷に応じて細かく回転制御しているために、かえって風切り音が大きくなったり小さくなったりするのが気になるかもしれない。ボディの熱は、CPUがあるキーボード左側全体がやや熱を持ち、左パームレストもほんのりと暖かくなるが、不快に感じるほどではない。
512GバイトSSDを搭載するdynabook SS RX2/WAJは、Microsoft Office Personal 2007(SP1)+PowerPoint 2007(SP1)を付属したモデルが42万3000円、Officeなしでも39万8000円と、最近のNetbookが7〜8台は購入できてしまう価格だ。旧型の128GバイトSSDを搭載する「dynabook SS RX2/W9H」が26万9800円であることを考えると、予算度外視で最高のモデルが欲しいというユーザーでもなければ、なかなか手を出しづらいかもしれない。同社の話によれば、新開発のコントローラを採用した128Gバイト/256GバイトSSD搭載モデルも今後投入される予定なのでそちらが待ち遠しいところだ。
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