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ちょいと未来のUltrabookを妄想するIDF 2012(1/3 ページ)

IDF 2012でIntelは、HaswellなどIntelプラットフォームのアップデートを多数紹介している。その資料から浮かび上がる2013年以降のUltrabookの姿とは。

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タッチ操作はUltrabookの姿を変えてしまうのか

IntelのUltrabookエコシステムについて語る同社コーポレート上級副社長 兼 PCクライアント部門ジェネラルマネージャのカーク・スカウゲン氏

 Ultrabookが登場した2011年と2012年で大きく異なるのは、タッチ操作によるユーザーインタフェースがユーザーに受け入れられつつあることだ。MicrosoftがWindows 8のPreview版を公開して1年以上が経過するが、iPhoneとiPadで一気に普及したこともあって、Windows系列のOSを採用するPCにおいても、タッチUIに対する認識は高まりつつある。米Intelコーポレート上級副社長 兼 PCクライアント部門ジェネラルマネージャのカーク・スカウゲン氏は、ユーザーがタッチUIという選択肢を与えられた場合、それを選択する確率は8割程度に達していると説明する。

 この結果、Microsoftが長年にわたって訴求してきたのに普及しなかったタブレットPC、そして「コンバーチブル」なノートPCが、今では広く受け入れられるなど、ユーザーの志向は大きく変化している。東芝がIFA 2012で語ったところによれば、タッチ操作が当たり前になると通常のクラムシェル型のノートPCでもユーザーは画面にタッチしようとし、「なんでこのPCは画面にタッチしても何の反応もしないのか」と不満に思うことになる。そこで、PCメーカーらはWindows 8の登場をきっかけにして、タッチパネルの導入を検討しているという。

 タッチUI以外の模索も続いている。IDF 2012の基調講演でダディ・パルムッター氏は、音声認識やモーションセンサーでPCを操作するデモストレーションを行った。まだ試験的なレベルであるが、IDF 2012のセッションではPCのディスプレイに内蔵する三次元で物体の深度を認識するモーションセンサーにも言及するなど、今後数年で新しい技術を採用するUIの理解は変化する可能性を示唆している。Intel自身も音声認識や顔認識に対応する開発者キット(SDK)をリリースするなど、タッチUIの次に向けた動きを見せている。

クラムシェル型のノートPCでもタッチ操作はごく自然なものに(写真=左)。そうした結果、過去10年近く普及しなかったコンバーチブル型ノートPCもようやくユーザーに受け入れられつつある(写真=中央)。基調講演でダディ・パルムッター氏が紹介した各種認識技術をまとめたSDKもIntelが配布したことで、今後のユーザーインタフェースにも変化が期待される(写真=右)

タッチUIで評価を変える液晶一体型PC

 コンバーチブルノートPCと並び、タッチUIの普及でその役割が見直されつつあるのが液晶一体型PCだ。大画面でタッチUIに対応したこともあり、個人用としてだけではなく、複数のユーザーが画面を共有してPCを操作することを前提にしてデザインしている。この典型的な例が、10ポイント以上のマルチタッチ対応や広視野角ディスプレイ、そして、ディスプレイを水平に倒してテーブルのように使えるギミックの採用などだ。ソニーのVAIO Tap 20では液晶一体型PCながら、PC本体にバッテリーを内蔵して屋内の移動を容易にした製品もある。2012年後半に登場する予定のWindows 8対応モデルとしてこれまで参考展示しているモデルに、液晶一体型PCが多かったのも、PCにおける“タッチUIの再評価”が1つの理由だろう。

 液晶一体型PCでは、モーションセンサーやタッチによるUIの進化以外にも、ディスプレイや音声の品質についても言及している。ディスプレイの品質とは、高いppiによる画素密度や、複数のユーザーが同時に画面を閲覧できる広視野角、さらに色再現などだ。タッチUIの普及により、ユーザーはタップしたときのレスポンスに対してよりシビアになると予想しており、高速なレスポンスの実現がこれから重要になるとIntelは説明している。

タッチ操作の普及によって役割が見直されつつある液晶一体型PC。色表現、高解像度、広視野角、高音質といった品質向上とともに、体感速度に影響するシステムのレスポンスも重要になっている

 Intelは、システムの高速なレスポンスを実現する技術として、すでに「Intel Smart Response Technology」「Intel Rapid Start Technology」「Intel Smart Connect Technology」を開発している。Intel Smart Response TechnologyとIntel Rapid Start Technologyは、従来型のHDDだけでなく、フラッシュメモリを組み合わせることで動作を最適化し、数秒単位での高速起動や復帰を実現することを目標としている。またSmart Connect Technologyでは、スリープ状態であってもバックエンドでつねにインターネット経由で情報のアップデートを行い、ユーザーがマシンを復帰させたタイミングでつねに最新情報を入手できる状態を維持する。Windows 8でいう「Connected Stand-by」を実現する技術といえば分かりやすいだろう。

 Intelによれば、Smart Connect Technologyでは段階を分けて機能の実装を行っており、そのロードマップを公開している。興味深いのは「Remote Wake」で、従来であればイーサネット上のパケットでPCのオンとオフを実現していた「Wake on LAN」に対し、クラウド上のサービスからPCのオンとオフを実現する。これは3Gを含むWLANモジュールに実装した機能を利用したもので、SNSのメールを受信したタイミングでPCをスリープから復帰する動作が可能になる。

レスポンスを改善する技術としてIntelが取り上げる「Intel Smart Response Technology」「Intel Rapid Start Technology」「Intel Smart Connect Technology」(写真=左)。Smart Connect Technologyは2013年のHaswell登場に向けて段階的に拡張を行う(写真=中央)。Smart Connect Technologyで実現する「Remote Wake」は、クラウド上のサービス通知でPCのオンとオフを行う(写真=右)

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