機は熟した 〜先駆者「e-onkyo music」に聞くハイレゾ音源配信の現在:ハイレゾ音源を聴いてみよう!(2/2 ページ)
“ハイレゾ音源”は、PCオーディオの大きな魅力。数年前はクラシックなどジャンルが限られていたが、最近になってロック/ポップスといったメジャー楽曲も増えてきた。その理由と現状を聞いた。
おさらいしておくと、DRMとはDigital Rights Management(デジタル著作権管理)のこと。デジタル化された音源ファイルは複製(コピー)しても全くクオリティーが落ちないため、DRM技術を用いて複製回数を制限するのが普通だった。それに対し、あえてDRMをかけずに販売する方法が“DRMフリー”である。
「もともとハイレゾ音源を楽しんでいたのは、MacユーザーやLINNのDSユーザーが中心でした。しかし、Windows Media DRM付きでは、彼らは再生できません。DRM付きの音源配信は、本来のユーザー層にあっていなかったのです」。
DRMを外すと、それまで横ばいを続けていた楽曲のダウンロード数が目に見えて増え始める。さらに2010年は音楽業界がハイレゾ音源に関するプロモーションを始めたこともあり、追い風を受けたe-onkyo musicは大きく伸びた。売上でいえば、2011年が対前年比で約200%、2012年も約250%を見込んでいるという。
「DRMを外したことで、ユーザーの利便性は大きく向上しました。前述のMacやDSでの再生はもちろん、複数のデバイスで聴くこともできます。その契機となった2010年は、明らかに“ハイレゾ元年”でしたね」(田中氏)。
もちろん、DRMフリー化に対しては、今でも慎重なレーベルがいくつも存在する。「現在でもDRMがないとダメというレーベルもありますし、圧縮音源ならOKだけれどハイレゾ音源はダメというところもあり、考え方はそれぞれです。われわれは継続して交渉していますが、やはり何社かはまだ難しい印象ですね」。
2011年には、ユニバーサル・ミュージックがQueenの名盤を提供。さらにpentatoneなど海外レーベルが多数参入したこともあり、楽曲数/ダウンロード数ともに大きく伸びた。そして現在、e-onkyo musicの楽曲カタログには40以上のレーベルが名を連ね、ハイレゾ音源の数は約2万曲、全体では約7万曲に上る。
さらにユニバーサル・ミュージックは、Queenに続く第2弾として、ザ・ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、エリック・クラプトンなど、大物アーティストの名盤を24bit/192kHzで提供。e-onkyo musicで10月31日から配信をスタートした(→関連記事)。
楽曲構成比ではまだジャズやクラシックが中心ながら、Queen投入を契機に、最近では売上構成比でロック/ポップスが3割を超えたという同社。「ジャズやクラシックの楽曲はロングテール商品なのでカタログ数が多いですが、ロックやポップスは1アイテムのダウンロード数が多いのが特長です」(田中氏)。
また、アンケート調査を通じて「かつてLPやCDでQueenの楽曲を購入していた人たちが、ハイレゾ音源で買い直している」という傾向も明らかになってきたという。「“買い直す価値があるもの”と思ってもらえたことがうれしいですね」と田中氏。今後も、メジャー楽曲の獲得について、さらに“攻める”と話していた。
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