Fusion Driveは効果大! 新旧「21.5インチiMac」を徹底比較:広田稔のMacでいこまい(13)(3/3 ページ)
前回のインプレッションに続き、CTOで入手したFusion Drive搭載モデルを新旧で比較。OS XとWindowsの両環境でベンチマークを実施した。
Windowsで勝負!……もストレージ性能で惨敗
Windowsでは、OSが用意している「Windowsエクスペリエンスインデックス」以外に、システムの総合的な性能を測る「PCMark 7」と、3D描画性能を測る「3DMark Vantage」、およびストレージの性能を測る「CrystalDiskMark」を実施した。
こちらも注目はストレージの「CrystalDiskMark」だ。Boot CampのWindowsシステムは、SSD側ではなくHDD側にインストールされるので、ストレージの性能を見るテストではスコアも落ちる。「3DMark Vantege」ではCPUで1.25倍、GPUで1.66倍の差をつけて新iMacが勝っているにも関わらず、「PCMark 7」ではほとんどスコアに差がない。
仕事においては、音楽編集ソフトやビデオ編集ソフトなど、Windowsにしかないツールを使うために、Boot CampでWindowsに切り替えるというケースも考えられる。その際、大容量ファイルを頻繁にコピーするなら、3.5インチHDDを搭載した27インチiMacか、SSDやフラッシュストレージを備えたMacBook Proにしておいたほうが快適だ。
というわけで、MacとWindowsの両環境下で行ったベンチマークテストの結果をざっくりまとめると、Fusion Driveの恩恵が大きいということが分かる。ストレージの速さは、大容量のファイルをコピーするときだけでなく、例えばWebブラウザでインターネットを見たり、ソフトを起動するといった細かい部分でも効果が実感できるはずだ。
数年ぶりに新しいiMacに買い替えて、「うぉー!すげー速くなったぜ!」という高揚感を存分に味わいたいときは、Fusion Driveの搭載がオススメ。ただし、Fusion Driveは店頭在庫がなく、カスタマイズ注文して取りよせることになる。しかも、21.5インチiMacでは、上位の2.9GHzモデルしかFusion Driveを選べないため、最低価格が15万1900円からになってしまう。もっとも、それらを踏まえたうえでも「選ぶ価値はある」と感じた。
加えて、意外とMacBook Pro Retinaも健闘したということも実感した。画面サイズは15.4型ワイドだが、解像度は21.5インチiMacよりも広い1920×1200ドット相当(OS X環境下でのスケーリング解像度)まで拡大できるため、作業領域的には変わらない。
負荷の高い作業をすると本体が熱くなったり、焼き付きに似た液晶の残像が残ったり、そもそもの値段が高い、という点に納得できるなら、デスクトップPCから15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデルに移行しても満足できるだろう。筆者も原稿執筆という仕事では、文字を一番シャープに表示してくれるMacBook Pro Retinaがよかったりする。
是非、手持ちのMacでも同じテストを実行してみて、今回のスコアと比べてその差を調べてみてほしい。大差がつくようなら、心機一転、新しいMacをゲットしてみてはいかがだろうか。
著者紹介:広田稔
Mac雑誌の編集者、IT系ニュースサイトの編集記者を経てライターに。アップルとインターネットが専門分野で、初代iPhoneが発表された「Macworld Expo 2007」や、初音ミクの海外初ライブとなる「MIKUNOPOLIS」、ニコニコ動画史上最大のイベント「ニコニコ超会議」などをがっつり取材した。
近著は「ニコニコ動画めもりある ニコニコ大会議編」(アスキー・メディアワークス)など。個人のTwitterアカウントは「kawauso3」です。
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