これを用意しておこう──旧OSユーザーのための「Windows 8.1」導入ガイド(アップデート準備編):鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1」
Windows 8.1を導入するにはどうするか。前回の<基礎知識編>の復習も含め、「Windows 8.1へアップデートする前の下準備」をWindowsのバージョンごとにおさらいしよう。
Windows 8.1へアップデートする前の下準備
Windows 8.1へのアップデートは、元となるWindows OSのバージョンや環境によって手順や引き継がれる内容が変わってくる。個別に解説しよう。
Windows 8ユーザーの場合
Modern UIの「Windows ストア」アプリ経由で無償アップデートが可能だ。日本では17日20時以降にダウンロード配信が順次始まるので、パッケージ版やWindows 8.1搭載PCの販売が解禁となる18日午前0時(日本時間)よりも若干早いタイミングでの入手が可能になるメリットがある(あまり関係ないか)。
注意点としてはオンラインでのOSアップデート配信となるため、数Gバイトクラスの大容量データをダウンロードする必要があること。そして配信開始直後は認証サーバなどが混み合う可能性が非常に高いため、ネットワーク混雑のためダウンロードに失敗する可能性も考えられる。当日に必要という人でなければ、あせらず後日ゆっくりとアップデートを実施するほうがスムーズに作業できるのでは……と思ったりもする。
なおバージョンアップは同じエディションが引き継がれる。Windows 8通常版のユーザーはそのまま無印のWindows 8.1へ、Windows 8 ProのユーザーはWindows 8.1 Proへとなる。もしWindows 8通常版からWindows 8.1 Proへの刷新を希望するなら、8→8 Proのアップグレードパック「Windows 8.1 Pro Pack」を購入するか、Windows 8のコントロールパネル「Windows Anytime Upgrade」よりオンラインアップグレードを行ってほしい。
Windows 7ユーザーの場合
基本的にはWindows 8.1のパッケージ版、あるいはオンライン版を購入し、インストールする方法となる。
Windows 7→Windows 8.1のアップデートは可能だが、移行・引き継げるのは既存ファイルのみとなる。デスクトップUIのソフトウェアは個別に再インストールが必要になるので少し注意してほしい。
ただ、既存環境の設定項目は別フォルダとしてそのまま保存できる。引き継がれないソフトウェアや個別ファイルが消滅するわけではないので、その点は安心していい。あくまでデスクトップUIのソフトウェアとしてのOSへの登録情報が引き継げないだけだ。とはいえ、念のためマイドキュメントやデスクトップにある重要ファイルは、外付けHDDやUSBメモリなどにバックアップしておくとより安心だ。
ちなみに、Windows 8.1搭載のPCを新たに導入した場合は、Windows 8.1にある「Windows転送ツール」を使ってデータを移行する手段、あるいはメーカー製PCの多くにプリインストールされる「データ引っ越しソフトウェア」(※名称はそれぞれ)を利用するのが簡単だ。例えば東芝dynabookシリーズにはXPマシンも対応した「PC引っ越しナビ」、NECのLaVie/VALUESTARシリーズには「ファイナルパソコンデータ引越し9 plus for NEC」がプリインストールされている。
Windows Vista/XPユーザーの場合
マイクロソフトによれば、Vista時代/XP時代に購入したスペックのPCへWindows 8.1をインストールすることは推奨されていない。当時のPCと現世代のPCではハードウェア要件がかなり異なり、十分なパフォーマンスを発揮できないためだと思われる。
参考までに、Windows 8.1のシステム要件はWindows 8に準じる。PAE、NX、SSE2 をサポートする1GHz以上のプロセッサ、2Gバイト(64ビット)/1Gバイト(32ビット)のメインメモリ、20Gバイト(64ビット)/10Gバイト(32ビット)以上のストレージ、Microsoft DirectX 9 グラフィックスデバイスとなる。この最低要件であればXP時代のPCでもおおむねクリアしていると思うが、不安であればマイクロソフトが提供している「Windows 8アップグレードアシスタント」を実行し、チェックしてみてほしい。
それでも既存PCにWindows 8.1をインストールする場合は、パッケージ版を購入すれば新規インストールが行える(インストールDVDメディアより起動した状態でクリーンインストールが推奨されている)。新規インストールはストレージをフォーマットするか、別パーティションへインストールする手段となるので、既存PCのデータはまったく引き継がれない点に注意したい。
こちら、Windows 8ではデータのみは引き継ぎできた「Windows 8へのアップデートインストール」とは異なる点だ。いずれにせよ、この世代のマシンをWindows 8.1に無理して引き上げるのもいいが、マシンを新調したほうがコスト的にもパフォーマンス的にも快適だと思われる。ちなみに、まずは(Windows 8.1ではなく)Windows 8のパッケージ版を買い、Windows 8のWindows転送ツールを使ってXPよりデータを引き継ぎ、Windows 8.1へ引き継ぎアップデートする……といったような手段もあるにはある。
以上が個別ケースごとのアップデートの傾向と対策だ。基本的に、Windows 8からのオンラインアップデートが一般的な導入パスであり、それ以外のユーザーはパッケージ版を購入するか、PCを新調するのが新OS導入の近道だ。
もちろん、既存のPCもタッチ非対応である以外は比較的パワフルなものを利用しているユーザーも多いと思われる。その場合、デスクトップUIのみを使い続けるのもアリだし、後述するModern UIを使いやすくする周辺機器も多数リリースされているため、デスクトップUI環境と合わせてうまくWindows 8.1を活用できるはずだ。
最後に改めて。8→8.1のオンラインアップデートは、オンライン配信を利用するという性質上、大容量データのダウンロードが発生することはあらかじめ認知しておきたい。世界同時配信ということでアクセスが集中し、特に認証サーバへの接続がうまくいかないケースが想定される。
Windows 8.1を使いやすくする周辺機器──Windows 8対応マウスを買っておこう
タッチ非対応PC+Windows 8.1/Modern UIの利用において煩雑なのが、アプリ切り替えやチャームメニューへのアクセスといった「画面端から中央へと指を動かす」ジェスチャー操作が挙げられる。マウス操作でも扱えないことはないが、いったん画面の端にマウスカーソルを移動させ、ひと呼吸待つ必要があるため、やはり少々面倒だ。これを手早く行うには、今のところキーボードショートカット操作(チャームメニュー表示は、Winキー+C)でサッと行ってしまう方法もあるが、さておき既存のマウスとModern UIは、さほど相性がよいものではない。
それならば「Windows 8対応マウス」を一緒に導入してほしい。“Windows 8対応”とわざわざうたうマウス製品には、こうしたWindowsキー操作/ジェスチャー操作を追加ボタンや搭載タッチセンサーでのアクションで代用できる機能が備わっている。
代表的なものが、マイクロソフト「Widge Touch Mouse」「Sculpt Mobile Mouse」「Sculpt Comfort Mouse」「Sculpt Ergonomic Mouse」、ロジクール「Touch Mouse t620」といった製品だ。これらは、スタート画面にアクセスできる「Windowsキー」と同じ機能を持つマウス本体に備えるほか、ジェスチャー操作でModern UIのアプリを切り替えられたり、チャームメニューへのアクセス機能なども備えている。およそWindows 8/8.1でのマウス操作の弱点と思われる部分をカバーしている。
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