“物理ボタン”TrackPointを備えた王道コンパクトモバイル──「ThinkPad X250」:注目ノートPC詳細レビュー(4/4 ページ)
CarbonやHelixと新世代モバイルノートPCが登場するThinkPadシリーズだが、正統進化系となるのは、やはり「X250」だ。その“由緒正しい”実力をチェックする。
“第5世代”のパフォーマンスで快適に
ベンチマークテストの結果を見よう。評価機材の主なスペックをまとめると、CPUがCore i7-5600U、システムメモリが8Gバイト(DDR3L-1600。ただしシングルチャネル)、Intel HD Graphics 5500(CPU統合)、データストレージが500GバイトのHDD、OSは64ビット版 Windows 8.1 Pro Updateだ。
CINEBENCHはCPUの処理性能を大きく反映するが、CPUスコアではCore i7−4500U搭載機から25%前後高い数値が出ている。ストレージの性能を測定するCrystalDiskMarkのスコアは、2.5インチHDDとしてはいいが、SSDと比べればシーケンシャルアクセスもランダムアクセスも見劣る。
PCMark 7のスコアはモバイルPCとしても平凡だが、ストレージ性能の影響が大きいテストだけに、HDDが足を引っ張っている可能性が高い。PCMark 8のスコアは、Core i7-5500Uを搭載したLaVie Hybrid ZERO HZ750/AAと同程度だ。
グラフィックス、特に3D描画能力を測る3DMarkとFINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコアは、LaVie Hybrid ZERO HZ750/AAよりも少し低い。ワンクラス上のCPUを搭載しているにもかかわらず、このような結果になっているのは、メモリがシングルチャンネルであることが影響しているだろう。
| 3DMark 1.4.828 | ThinkPad X250 | |
|---|---|---|
| ICE Storm | ICE Storm | 48110 |
| Graphics Score | 50564 | |
| Physics Score | 41125 | |
| ICE Storm Unlimited | ICE Storm Unlimited | 58818 |
| Graphics Score | 63096 | |
| Physics Score | 47540 | |
| Cloud Gate | Cloud Gate | 5103 |
| Graphics Score | 5748 | |
| Physics Score | 3665 | |
| Sky Diver | Sky Diver | 2679 |
| Graphics Score | 2521 | |
| Physics Score | 4350 | |
| Combined Score | 2426 | |
| FireStrike | FireStrike | 650 |
| Graphics Score | 690 | |
| Physics Score | 5114 | |
| Combined Score | 237 | |
バッテリーは実働8時間超、静音性も優秀
バッテリー駆動時間は、bbench 1.01(海人氏・作)を使い、無線LANで常時接続し、60秒間隔でのWebサイト訪問、10秒間隔でのテキスト入力を行なう設定で計測した。電源プランは「バランス」で、バッテリー駆動時の液晶輝度は40%で固定している(自動調整機能オフ)。結果は、バッテリー残量5%になるまで、8時間16分動作した。公称値よりも少し短いが、それでも実用上十分な駆動時間だ。
動作音は非常に静かだ。アイドル時や低負荷時はほぼ無音で、高負荷時でもファンの動作音だと認識できる程度の音しかしない。HDDモデルのため、HDDのアクセス音が少し気になったが、SSDモデルであればそれもない。
| 騒音測定結果(5センチ、暗騒音32dB、室温20度) | ThinkPad X250 |
|---|---|
| アイドル | 33dB |
| 低負荷/Web Youtube再生 | 34dB |
| 3DMark/Graphics Test | 38dB |
| 3DMark/Physics Test | 38dB |
発熱は高負荷時でも底面の中央あたりを中心に暖かくなる程度で、表面には伝わってこない。ただ、負荷にかかわらず1時間ほど連続して利用したときに右パームレストがやや暖かくなっていたことがあった(室温20度で測定して33〜34度)。夏場などは気になりそうだが、ちょうど2.5インチベイがあるあたりであり、ストレージがSSDであればそのようなことはないと思われる。
| 発熱測定結果(室温20度) | ThinkPad X250 |
|---|---|
| キーボード左 | 29度 |
| キーボード右 | 26度 |
| 左パームレスト | 23度 |
| 右パームレスト | 23度 |
| 底部左 | 37度 |
| 底部右 | 34度 |
正統進化した王道モバイル
ボディの基本設計は従来モデルを継承しているため目新しさはないが、もともと完成度が高いだけに不満はない。堅牢性の高いコンパクトなボディ、打ちやすいキーボード、ビジネス用途でも安心感の高い接続性に、最新CPUならでの高性能、長時間バッテリー駆動も備える。TrackPointの物理ボタンが復活したことで、5ボタンクリックパッドに不満があったユーザーも歓迎できる。
店頭最上位モデルの価格は、23万2200円(税込み)だ。直販モデルの価格は適宜変動し、お買い得なクーポンもを提供する機会も多い、現在は最低9万円台(税込み、クーポン適用後の価格)から用意している。それも一般的なノートPCと比べると高価ではあるが、これだけの堅牢性と携帯性、優れた入力環境を兼ね備えたモデルはなかなかないだけに、検討する価値は十分あるだろう。
| 製品名 | ThinkPad X250(20CM-A000JP) |
|---|---|
| メーカー | レノボ・ジャパン |
| OS | 64ビット版Windows 8.1 Pro Update |
| 本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約305×208.8×19.9〜20.3ミリ |
| 重量(実測値) | 約1.49キログラム(1503グラム) |
| 画面サイズ(液晶方式) | 12.5型ワイド(IPS) |
| アスペクト比 | 16:9 |
| タッチパネル | 静電誘導式 |
| ディスプレイ解像度 | 1920×1080ピクセル(約176ppi) |
| CPU(コア数/スレッド数) | Core i7-5600U(2/4) |
| 動作周波数(最大) | 2.6GHz(3.2GHz) |
| チップセット | CPU内蔵 |
| vPro | ─ |
| GPU | Intel HD Graphics 5500 |
| メモリ | 8Gバイト(PC3-12800) |
| メモリスロット(空きスロット数) | ─ |
| ストレージ(評価機実装) | 500GB(Seagate ST500LM021-1KJ152) |
| ストレージフォームファクタ | 2.5インチ |
| ストレージ接続インタフェース | Serial ATA 6Gbps |
| 光学ドライブ | ─ |
| 無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n(Intel Dual Wireless-N7265) |
| Bluetooth | Bluetooth v4.0 |
| NFC | ─ |
| 有線LAN | 1000BASE-T(Intel I218V) |
| ワイヤレスWAN | ─ |
| キーボード | 日本語89キー |
| キートップ仕様・形状 | アイソレーション |
| キーピッチ | 18.5×18ミリ(実測) |
| ポインティングデバイス | トラックポイント、トラックパッド |
| 主なインタフェース | USB 3.0×2(1基は電源オフチャージ対応)、MiniDisplayPort、アナログRGB、有線LAN、ヘッドフォン/マイク兼用端子(3.5ミリ)、Webカメラ(イン720p) |
| メモリカードスロット | SDメモリーカードスロット(SDXC対応) |
| 指紋センサー | 搭載 |
| セキュリティチップ | TPM |
| バッテリー動作時間 | 約11.2時間(JEITA 2.0)、約11.9時間(JEITA 1.0) |
| バッテリー仕様 | 46.4ワットアワー |
| ACアダプタ実測サイズ | 40×93×29ミリ(幅×奥行き×高さ)突起部のぞく |
| ACアダプタ実測重量(本体のみ/ケーブル込み) | 175グラム/235グラム(ケーブル込) |
| ACアダプタ出力仕様 | 20ボルト/2.25アンペア |
| ACアダプタ対応電圧 | 100〜240ボルト(50/60Hz) |
| DC端子形状 | 角型 |
| プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) | 2ピンメガネ型 |
| 防水/防滴 | ─ |
| カラーバリエーション | ブラック |
| オフィススイート | BTOで対応 |
| 価格 | オープン |
| 発売日 | 2015年2月11日 |
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