「Windows 10無料アップグレード」を積極アピールするMicrosoft:COMPUTEX TAIPEI 2015(2/2 ページ)
米MicrosoftはCOMPUTEX TAIPEI 2015の基調講演にて、7月29日公開の「Windows 10」を改めてアピール。同OS対応の新デバイスもお披露目した。
“正規ユーザー”への無料アップグレードを強調
もう1点、パーカー氏の講演で気になったのは、頻繁に「Genuine(正規の)」という表現を使って、無料アップグレードの話をしていたことだ。
Microsoftでは当初、海賊版の横行する中国などの市場での新OSへの移行を促すために、“Genuineではない”WindowsであってもWindows 10のアップグレードを可能にする施策を提供する計画があると、Reutersなど一部メディアが同社幹部らのインタビューコメントを発表して話題になっていた。
例えば、中国では海賊版のWindows XPなど、そもそもWindows 7より前の世代のOSが広く利用されている現状があり、これから生じるセキュリティや諸般の問題を解決するために、正規品の販売よりも世代移行を優先させたと考えられたからだ。
しかし、後にこのコメントはBlogging Windowsの5月15日の投稿で否定され、Genuineではないユーザーには「very attractive Windows 10 upgrade offers(非常に魅力的なWindows 10へのアップグレードオファー)」を提供する計画が示された。
あくまで、Windows 10の無償提供は「正規ユーザー」に対するサービスというスタンスを強調したことになる。
デルや東芝のWindows 10対応デバイスも登場
また、OEMパートナー向けのイベントであるにも関わらず、基調講演の大部分が(多くの人々がすでに知っていると思われる)Windows 10の新機能紹介に割かれ、肝心の新デバイス紹介が10分弱の非常に駆け足でパーカー氏によって行われたことも気になった。
Windows 10対応デバイスとしては、Dellの狭額縁ノート「XPS 15」のほか、まだ未発表の第6世代Coreプロセッサ(開発コード名:Skylake)を搭載した4Kディスプレイ内蔵の東芝製2in1モデル「Astrea」など、注目の新製品がお披露目されたが、この辺りをもう少し丁寧に紹介してほしかったところだ。
別の見方をすれば、Windows 10公開日の7月29日の主役は既存のWindowsユーザー(正規ユーザー)らであり、OEMメーカーが本領を発揮するのはもう少し先の話なのかもしれない。
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