パスワードはもう時代遅れ? Surface Pro 4で「Windows Hello」を試す:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
「Surface Pro 4」は、Windows 10の新機能「Windows Hello」に対応したインカメラを内蔵している。手軽なサインインと強固なセキュリティが両立できるというWindows Helloの実力を探っていこう。
企業システムでのセキュリティ強化にも有効なWindows Hello
Microsoft Passportでアクセス可能なのは一般に提供されているWebサービスだけでなく、企業内で運用されるシステムにもActive Directory(AD)やMicrosoft Azure ADを経由してアクセスできる。
前述のようにパスワード問題からも解放されるため、「パスワードは月1回必ず変更するように」といったポリシーで口酸っぱくIT管理者が企業内ユーザーに何度も通知するような事態が避けられるメリットがある。
PINコードの運用でもいいが、利便性と安全性をさらに高めるならWindows Helloを使うのがベターだろう。Surface Pro 4のように顔認証を標準サポートしたデバイスの利便性が高いが、机上での運用を想定して外付けの指紋センサーを用意するのもいい。
Microsoftは「双子の姉妹を登場させてWindows Helloが両者を見分けることができる」というデモを披露していたが、Windows Helloの顔認証は写真や多少の差異では簡単に真偽を見分けてしまうため(恐らくは化粧の有無程度も問題ない)、安全性はかなり高いと筆者は判断している。
認識のスピードも速く、失敗確率も数%程度で誤差と呼べる程度だ。この辺りの使い勝手は、ぜひ一度Surface Pro 4を使って試してみてほしい。あるいはIntelのRealSense 3Dカメラでも同等なことが可能なので、まだ採用製品は少ないが、興味のある方はトライしてみるといいだろう。
なお、Microsoft Passportの「デバイスにひも付いた2段階認証」というアイデアは、FIDO Allianceの提唱する認証方式に基づいている。
NTTドコモが虹彩(Iris)認証や指紋認証機能を搭載したスマートフォンの発表会で、FIDO準拠のWebサイトにログインしたり、ピザの注文を実際に行って話題となったが、基本的にはWindows Hello+Microsoft Passportも同じ仕組みで実装されていると考えて問題ないだろう。
Microsoftによれば、「Microsoft PassportはFIDO準拠」とのことで互換性があるとみられるが、実際にはまだ正式にリリースされていない「FIDO 2.0」をベースとしており、既存のFIDOとは完全な互換性が確認されていない点に注意したい。
企業システムでの運用や、こうしたFIDOとの関係については、ITmedia エンタープライズにて『Windows 10時代の新認証 「Windows Hello/Microsoft Passport」と「FIDO」を理解する』のタイトルで別途記事をまとめている。
関連キーワード
Windows | Windows Hello | Microsoft | 顔認証 | Surface | Surface Pro | Surface Pro 4 | バイオメトリクス認証 | Windows 10 | シングルサインオン | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
- 「Windows 10」大特集
- 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:本日発売! 「Surface Pro 4」のスペック表では分からない注目点
ついに日本でも販売が開始された「Surface Pro 4」。スペック表では分からない隠れた注目ポイントとは? - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Surface Book」が盛り上がる中、「Surface Mini」は結局どうなったのか?
「Surface Pro 4」と「Surface Book」の米国販売が始まり、Microsoftのハードウェア製品に注目が高まっている。ところで、前々からウワサになっていた「Surface Mini」はどうなったのだろうか。 - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Surface Book」発売日に米Microsoft Store店舗を訪ねてみた(買えるのか?)
日本での販売はまだ先だが、米国で「Surface Book」が無事に発売された。発売日に現地のMicrosoft Store店舗を訪ね、Surface Bookの販売状況を聞いた。 - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Surface Book」でMicrosoftとPCメーカーの関係はどうなる?――OEM担当者に聞く
「MacBook Pro」に対抗意識を燃やすMicrosoftの「Surface Book」だが、OEMパートナーのWindows PCからもシェアを奪ってしまうのではないかとの懸念も耳にする。米MicrosoftのOEM担当者に直接こうした疑問を聞いた。 - 本田雅一のクロスオーバーデジタル:「iPad Pro」と「Surface Pro 4」が似ていると思ったら大間違い
日本でほぼ同時に発売されることとなった「iPad Pro」と「Surface Pro 4」。どちらも筆圧ペンとキーボード付きカバーを組み合わせて利用できる高機能なタブレットだが、実は全く違うタイプの製品であると覚えておきたい。 - 本田雅一のクロスオーバーデジタル:「Surface Pro 4」と「Surface Book」の率直な疑問――米Microsoft担当者に聞く
「Surface Pro 4」と「Surface Book」の国内発表に合わせて、米MicrosoftでSurfaceのセールスとマーケティングを担当するジェネラルマネジャーが来日。新機種の気になる点を聞いてみた。 - 10月23日0時にPro 4予約開始:「Surface Pro 4」と「Surface Book」はPC市場を活性化させるか――国内初披露の実機リポート
日本マイクロソフトが、新しいSurfaceシリーズの国内展開について発表した。発売日は「Surface Pro 4」が11月12日から順次、「Surface Book」は2016年初頭を予定する。 - 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Surface Bookは「AppleになりたいMicrosoft」の象徴か
唐突に登場した「Surface Book」は、同時発表の「Surface Pro 4」や従来のSurfaceシリーズとは異なるインパクトをPC市場に与えそうだ。 - Surface Pro 3との比較も:「Surface Book」と「Surface Pro 4」はどちらを選べばいい?――Microsoft新モデルを徹底チェック
正統進化の12.3型Windowsタブレット「Surface Pro 4」と、突然登場した13.5型2in1ノート「Surface Book」。これら新モデルはどちらを選ぶべきなのだろうか。 - 「Surface Pro 4」発表――Skylake搭載で30%高速化、12.3型で薄型・軽量化、指紋センサーなど【詳報】
Microsoftが、タブレットPCの新モデル「Surface Pro 4」を発表した。12.3型ディスプレイを採用し本体は薄型化、最新の第6世代インテルCoreプロセッサー(Skylake)を搭載する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.