Microsoftのモバイル秘密兵器「Andromeda」とは何か:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
名前はAndroidに似ているが、ここで言う「Andromeda」とはMicrosoftがモバイル市場攻略を目指すための新プロジェクトだ。その正体とは?
真のターゲットはモバイルに限らないAndroid全体か
ここでAndromeda OSに関して疑問が幾つか出てくる。1つ目は、ボーデン氏によれば当初のターゲットが「モバイル用途」限定ということで、「カスタマイズの幅がそれほど広くないのではないか」という疑問だ。
Windows 10 Mobileを含め、現状でMicrosoftは主にARM環境で動作するハードウェアをきちんと規定しており、Androidのようにハードウェアごとのカスタマイズの余地が少ないからだ。メモリが1GB以下であったり、SoC(System on a Chip)のスペックが極めて貧弱というのでなければ、あえて機能を極限までそぎ落とす必要性も低いと考えられ、実質的にはコア部分のフットプリントは機種ごとに違いはないと予想している。
つまり「スマートフォン向けOS」を想定している限り、このカスタマイズ機能はそれほど意味を持たないのではないか、というのが筆者の考えだ。
そこで出てくる2つ目の疑問が「どのようなデバイスを想定したOSか」という点だ。カスタマイズに幅を持たせるためにはフォームファクタや用途そのものを大きく変化させるしかなく、「従来のスマートフォン以外のモバイルデバイスにもWindows OSを搭載できるようにする」というのがモジュラー化の目的の1つではないかと推察している。
Androidの場合、AOSP(Android Open Source Project)を通じてデバイスメーカーがこうしたカスタマイズを行うのが容易だが、Windowsの場合はあくまでOSとしてのセットをMicrosoft側からの供給を受けるのが前提となっている。
もし一連の報道が正しいのだとすれば、このAndromeda OSの真の目的は「MicrosoftのAndroidエコシステム対抗」であり、これを搭載して市場投入されるAndromedaというモバイルデバイスは、恐らく既存のスマートフォンとも異なる製品ではないかと予想する。
これはあらためて本連載で紹介するが、Microsoftの牙城だったPOSやKIOSKシステムにAndroidがハイペースで食い込んできており、カスタマイズの自由さとシステムの柔軟性から今後もさらに利用が広まると予想されている。
Andromeda OSのターゲットは当初モバイルとされているが、恐らくは拡大するAndroidの市場全体を見据えた動きではないだろうか。
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