「Windows on Snapdragon」に早くも次世代モデルが登場か:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
まだ製品数が少なく、日本市場への投入もないことから、徐々にユーザーの興味が薄れつつあるような「Windows on Snapdragonデバイス」だが、ここに来て次世代モデルのウワサも聞こえてきた。
Always Connected PCの普及に必要なもの
現在「PC」と呼んでいるデバイスの多くは、将来的にモバイル回線を含んだものになると予想されるが、その意味でMicrosoftが推進するAlways Connected PCは先駆けとなる可能性がある。
一方で、現状のWindows on Snapdragonを含むLTE搭載デバイスはバリエーションが少なすぎる上、価格的にも導入のハードルがやや高く、しかも使い勝手の面で必ずしも優れているとはいえないのが現状だ。
いまだ携帯キャリアショップの需要があり、ユーザーの多くがそれに依存しているという背景を考えれば、モバイル回線を包含したPCが世間一般に広く利用される製品となるのは容易ではない。
Always Connected PC普及のための障害は幾つか考えられる。1つはセットアップの手間だ。OTA(On The Air)により回線契約先のキャリアを特に意識せずにサービスを利用できるようになるだけでは不十分で、ユーザーがWindowsを起動してすぐにインターネット環境が使えるようなレベルで実装が行われている必要がある。
Windows 10でのOOBE(Out-Of-Box Experience)の仕組みはかなり改善されてきているが、ユーザーに「お店でインターネットを買ってきた」というレベルでモバイル回線対応PCを利用できなければ、広く一般に普及させるのは厳しいのではないだろうか。
もう1つ大きいのはデータ通信の料金だ。米国では4大キャリアが全て「無制限データ通信プラン」を提供しており、そこそこ高価ではあるものの、おおよそ1回線当たり100ドル程度を支払うことで無制限プランを利用できる。主に家族での利用を想定したシェアプランも含まれており、2回線目以降は安くなるという形態で、ファミリー全体を囲い込むことが狙いだ。
もともと米国では携帯キャリアを抱える地域系電話会社と、番組コンテンツを多数抱えるCATV会社の間でインターネット契約を巡って顧客を取り合っていた経緯もあり、大容量通信が可能になったモバイル回線と動画ストリーミングを主軸としたコンテンツのセット販売が広く行われている。
実際、米国では携帯キャリアの無制限プランを動画配信サービスとともにアピールしている例が目立つ。条件付きではあるものの、最近は回線容量を節約してもらうよりも、一定以上の料金を払ってもらった顧客にはどんどん使ってもらう方向にあるようだ。
なお、2017年12月に開催されたQualcommのイベントでSprintは、Windows on Snapdragonデバイス向けに無制限プランの提供を発表しており、「2018年末までの限定キャンペーン」として展開している。対象はASUS NovaGo、HP Envy x2、Lenovo Miix 630の3機種限定ではあるが、毎月の自動払い(AutoPay)を有効にしたユーザーに対して無制限プランが適用される仕組みだ。
期間限定というのは残念だが、スマートフォンよりもデータ容量を浪費しがちなPCでは通信制限を気にしながら使い続けるのはストレスの原因になるので、今後はこうした取り組みが広がることに期待したい。
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