2025年「新型iPhone」の選び方 主にカメラ視点でチェックして分かった違い 撮影サンプル多数:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)
2025年の「新型iPhone」がまもなく発売される。買い換えを検討するにしても、どこに注目して選ぶべきなのだろうか。主にカメラ視点で先行レビューして分かったことをお伝えする。
モデルごとのアウトカメラインプレッション
ここからは、各モデルで構成が異なるアウトカメラについて、実際に撮影した写真を交えて紹介していく。なお、写真は全てHEIC形式で撮影しており、これを「Adobe Photoshop」で一切加工せずJPEGファイルとして保存し直している。
iPhone 17:「デュアル4800万画素」の真価は?
iPhone 17の「4800万画素Fusionメインカメラ(広角)」は、標準では4800万画素と1200万画素の映像を合成して2400万画素の写真を出力するという独自のパイプラインを採用している。センサーはiPhone 16シリーズと変わらないが、標準出力解像度が変化したのは処理パイプラインを最適化することによって、より高い画質を実現できたためだろう。
撮ってみると分かるのだが、特に暗所での撮影性能が良くなった。「画素を全て生かして撮りたい」という場合は、必要に応じてワンタップで4800万画素撮影に切り替えることも可能だ。
2倍ズームは、光学品質の内蔵望遠(52mm相当)として機能する。メインセンサーの中央1200万画素領域を切り出して、「Deep Fusion」などの専用処理パイプラインを適用することで、優れた解像力を実現している。
「4800万画素Fusion超広角カメラ」では、解像感の向上を図ると同時に、レンズ部に低反射コーティングを施すことでフレア(不必要な光の反射)を抑制している(低反射コーティングは、メインカメラにも施されている)。Fusionカメラとなったことで、マクロ撮影時に切り出される写真の解像度が大幅に上がっている。
日常のカメラとして使うなら、iPhone 17は十分すぎる性能を備えている。
iPhone 17 Pro/Pro Max:「4800万画素×3」のFusionカメラの実力やいかに?
今回のProモデルのカメラシステムは「ポケットに8本のレンズ」と表現するのが的確だろう。今回は三眼全てが4800万画素センサーを備え、「4800万画素プロFusionシステム」として統合されている。特に望遠カメラは100mm(4倍)と200mm(8倍相当)を光学品質でカバーしている。
望遠センサーは、前世代比で56%の大型化が図られ、新開発の「3Dセンサーシフト機構」によりブレ耐性も向上している。実用面では、4枚望遠(100mm)が料理などを撮影する際のテーブルフォトやバストアップのポートレートに「ちょうど良い圧縮感」を提供し、200mmは被写体抽出力と自然な被写界深度が魅力だ。
センサーサイズの大型化の影響は大きく、遠景ディテールの描写力も明らかに一段上がっている。
4800万画素広角カメラは暗所性能が強化され、28mm(1.2倍)と35mm(1.5倍)をワンタップで切り替え/既定化できる。2倍ズームはメイン内蔵テレフォトとして高画質を維持し、スナップ撮影からドキュメンタリーまで、焦点域の「間の画角」も使いやすくなっている。
個人的には料理写真ぐらいの大きさでの100mm相当での撮影が使いやすい。従来の望遠カメラよりも最短焦点距離が近く、テレマクロで使いやすくなっている。
動画機能では、Proの面目躍如だ。「ProRes RAW」や「ジェンロック」対応により、複数カメラ同期やプロ現場のワークフローに適合する。
長時間撮影で効果を発揮するのは、前述の持続性能向上だ。発熱による性能低下を気にすることなく、4K動画の長回しが可能になった意義は大きいだろう。
iPhone Air:一眼的なシングル4800万画素の“潔さ”はどうか?
iPhone Airのアウトカメラは、シングル構成という制約を逆に強みに変える設計思想が興味深い。
4800万画素Fusionメインカメラ(広角)のみの構成だが、2倍ズーム(約50mm相当)を光学品質で提供する。28mmと35mmのカスタム焦点域も用意され、撮影体験は驚くほど「迷いがない」ものになっている。
ただ、これだけでは「iPhone 16eと何が違うのか?」という話になる。違いはA19 Proチップによって表れる。
ポートレートモードでは、シングルカメラでありながら精密なセグメンテーションと前後ボケ、撮影後のフォーカス移動まで対応する。2400万画素での描写は立体感が出やすく背景ボケの質も自然だ。推論能力の向上が如実に現れている。
動画撮影では「4K/60fps撮影」「Dolby Vision規格のHDR撮影」「アクションモード」など、最新機能は一通り搭載している。風雑音低減や空間オーディオ収録にも対応しており、軽さと合わせて「持ち歩いて撮る」用途に最適化されていた。
実際の使用感として、被写体に近寄れる標準域(2倍ズーム)の使い勝手が良く、薄さゆえの「構えやすさ」が撮影成功率を押し上げる効果は確実にある。多機能なマルチカメラに迷うより「使う画角を決めて撮る」というスタイルを好むユーザーに強く訴求するだろう。
望遠撮影での表現力と長時間の高負荷処理を重視するなら、iPhone 17 Pro/Pro Maxが明確な選択肢となる。100mmと200mmの「二段望遠」は、被写体の切り出しと背景処理で他モデルでは得られない武器だ。テレマクロの使いやすさも大きな魅力といえる。
薄さ/軽さを最優先に、標準域(50mm相当)で「気持ちよく撮る」体験を求めるなら、iPhone Airが唯一無二の選択肢だ。シングル4800万画素でも2倍ズームの光学品質と一新されたポートレートモードの処理により画は確実に整う。撮影成功率と所有満足感を両立した、これまでにない提案といえる。
広角から超広角まで「使える4800万画素」をスタンダードモデルで享受したいなら、iPhone 17が最適解となる。メインも超広角も2400万画素標準出力により、SNSからプリントまで守備範囲が広い。2倍内蔵テレフォトの画作りも素直で、日常撮影での安心感は抜群だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「iPhone 17 Pro」が仕掛けるAppleの静かな革命――新冷却システム採用で狙う“野望”とは?
デザインの大幅刷新が注目を集めている「iPhone 17 Pro」シリーズだが、その背景にはAppleが「スマートフォンの再定義」を志向していることが見え隠れする。どういうことなのか、解説してみたい。
Appleが「iPhone」のラインアップを”静かに”再編 進むエコシステムの強化
Appleがスペシャルイベントで新しいiPhoneやApple Watch、AirPods Proを発表した。現地で取材した内容をもとに、発表内容を俯瞰(ふかん)したいと思う。【追記】
「AirPods Pro 3」先行レビュー 誰でも体感可能なレベルの音質向上は予想以上
Appleの「AirPods Pro 3」は、内部のSoCは先代から変わりないものの、中身はフルモデルチェンジと言っても過言ではないレベルで刷新されている。発売に先駆けて、その実力をチェックしてみよう。
WWDC 2025基調講演から見るAppleの“進む道” 「UIデザインの刷新」と「AI機能の深化」が大きなテーマに
6月9日(米国太平洋夏時間)に行われた、Appleの開発者会議「World Developers Conference(WWDC) 2025」の基調講演では、いろいろな発表がなされた。その概要を見つつ、その意図を俯瞰(ふかん)してみたい。
“後出し”の生成AI「Apple Intelligence」がAppleの製品力を高める理由
生成AIにおいて出遅れを指摘されているAppleが、開発者向けイベントに合わせて「Apple Intelligence」を発表した。数ある生成AIとは異なり、あくまでも「Apple製品を使いやすくする」というアプローチが特徴だ。




















