2025年「新型iPhone」の選び方 主にカメラ視点でチェックして分かった違い 撮影サンプル多数:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)
2025年の「新型iPhone」がまもなく発売される。買い換えを検討するにしても、どこに注目して選ぶべきなのだろうか。主にカメラ視点で先行レビューして分かったことをお伝えする。
新しいiPhoneがリリースされた際に、どのモデルを選ぶのか――今までなら用途に応じて「上位モデル(Pro)」が「スタンダードモデル(非Pro)」を選択し、画面や本体のサイズの大小を考えれば良かった。しかし、2025年のiPhoneのアップデートでは、新たなシリーズとして「iPhone Air」が登場したことによって、選び方について少々悩ましい状況が起こっている。
まずiPhone Airや「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」が搭載しているSoC「A19 Proチップ」はスマートフォン向けとしてはかなり高性能で、AIの処理能力だけを抜き出せば「MacBook Pro」にも肩を並べうる実力を備えている。消費電力(バッテリー持ち)や発熱の関係もある程度考慮しなければならなくなったため、ベンチマークテストの評価は従来以上に重要な意味を持つ。詳細なテストについては後日に回すが、今後MacやハイエンドiPadに使われるであろう「M5チップファミリー(仮)」の可能性も見えてくる。
この記事では、先んじて「iPhone 17」を含む2025年の新型iPhoneを試した上で、その使い勝手と選ぶべきモデルの選択に関する評価を行いたい。
今回のラインアップは「3つの異なるアプローチ」が特徴
新たに発表された2025年のiPhoneについては、既にいろいろな報道がなされている。もちろんAppleの公式ホームページでその機能や性能について調べている人も多いだろう。ここでは、実際に試した上でのインプレッションを改めてまとめる。
iPhone 17 Pro/Pro Max:究極の性能への挑戦
iPhone 17 Pro(6.3型)とiPhone 17 Pro Max(6.9型)は、可能な限りの高い性能をポケットサイズに収めるという従来のProシリーズのコンセプトの延長線上にありながら、その実現手法を刷新することに重きが置かれている。
最も注目すべきは熱間鍛造アルミニウムによるユニボディーと統合型ベイパーチャンバーを組み合わせた新しい熱設計だ。この冷却システムのために、従来とは異なる構造を持つシャシーに変更されている。
ベイパーチャンバーをレーザー溶接することで実現したこの機構によって、前世代(iPhone 16 Proシリーズ)と比べてパフォーマンスを最大40%長く持続できるようになったという。恐らく、ピーク性能を従来の1.4倍長く維持できるという意味だろう。
実際に使ってみると、レンズバレルの中央部の温度は40度まで上昇し、周辺部のフレームや背面も38〜39度に達する。熱を端末にまんべんなく散らせていることがよく分かる。「ちょっと熱くない?」と思うかもしれないが、ここまで温度が上がるのはベンチマークテストなどで長時間に渡って高負荷を掛けた場合くらいで、普段はそこまで熱くならない。
しかし、ここまで熱を散らせているということは、サーマルスロットリング(発熱による意図的な性能抑制)は、ほとんど見られなくなるだろう。4K動画の長時間撮影やオンデバイスでのLLM(大型言語モデル処理)といった連続負荷においても、安定して高い性能を維持できるだけでなく、「CarPlay」を使いながら充電を行うといった場面で充電が止まってしまうといったことは少なくなると思われる。
さらに今回、日本向けに投入されるモデルでは“完全eSIM化”したことに伴い、物理SIMスロットが占めていた内部スペースをバッテリー容量の増加に充てた点もポイントだ。単なる仕様変更ではなく、設計思想の転換を示している。
アウトカメラに関する考え方は従来と同じだが、シャシー設計の思想としては大きな転換といえる。
iPhone 17:ウェルバランスの新基準
iPhone 17は、2025年までのProモデルが備えていた先進機能を可能な限り取り込みつつ、より多くのユーザーにとって“最適解”となるようなチューニングが施されている。アウトカメラは2つだが、それ以外の要素は“ほぼPro”というスペックで、2025年モデルに共通する機能は着実に進化している。
ProMotion(可変リフレッシュレート)対応の新設計ディスプレイ、広角(メイン)/超広角いずれも4800万画素センサーの「デュアルFusionカメラシステム」、そして「A19チップ」によるAI処理基盤の強化など、従来のスタンダード(メインストリーム)モデルと比べてアップデートの幅は大きめといえる。
ベンチマークテストの評価は別記事で行う予定だが、Proの付いていないA19チップでもAI処理能力は大幅に向上している。スペック上のコア数などの違いよりも、その性能はずっと近い。そもそも今回はGPUコアにも「Neural Accelerator」(推論アクセラレーター)が入っているので、それだけでも大きな進化だといえる。
また、デュアルFusionカメラシステムの採用に伴い、写真の標準出力フォーマットが2400万画素となった。高精細がデフォルトになったのはA19チップによる推論処理性能の向上によってそもそもの描写力(画質)が上がっていることも一因ではある。
これまでのスタンダードモデルでは、高解像度撮影は“特別な機能”だった。しかし、今後は日常的な撮影でも高解像度の写真がデフォルトとなる。SNSでの共有からプリント出力まで、より幅広い用途に対応できる画質が基準になる。
iPhone Air:未来へと向かう“別の”道筋
Appleが「未来のかけら」と表現するように、iPhone Airは従来の延長線上にはない、全く新しい価値観を体現している。厚さはわずか約5.6mm(最薄部)、重量も約165gなのだが、こういう数値だけでは伝わらない、手にした瞬間の驚きがある。
この薄さと重量はグレード5のチタン合金と、前面を保護する「Ceramic Shield 2」、背面を保護する「Ceramic Shield」の組み合わせにより実現している。この薄さで実用的な剛性を確保している点は、技術的な快挙といえる。
前面保護に使われているCeramic Shield 2は、Ceramic Shieldと比べると摩擦に対する傷付きにくさが最大5倍に向上しているという。割れにくさに大きな影響はないそうだが、画面への傷が付きづらくなるのは、数年に渡って同じ端末を使う人にはうれしい要素だ。
SoCは、iPhone 17 Proシリーズと同じA19 Proチップを搭載する。「薄いのに速い」という一見矛盾する特性を実現しているが、iPhone 17 Proシリーズと比べると瞬発力はあるものの、パフォーマンスの持続性は劣るという制約がある。
また、バッテリー駆動時間は「1日1回の充電で十分」という基本パターンを維持できてはいるものの、ディスプレイの常時点灯機能(Always-On Display)が規定値ではオフになっている。これは、見方によってはバッテリー駆動時間への自信のなさを示しているようにも思えるが、実用上は大きな問題とならないだろう。
アウトカメラがシングル構成であることも含め、iPhone Airにおける取捨選択は「制約」というよりも、「Appleが見据える未来のiPhoneの提案」なのだと思う。軽やかに常時携帯し、必要な時に素早く取り出して使用する。短時間でもピーク性能を引き出せる最上位SoCを搭載し、高品質な体験を重視する。
ある意味で、初代「MacBook Air」を想起させるコンセプトだ。
全モデル共通:1800万画素の「センターステージカメラ」がセルフィーを変える
今回発表された新型iPhoneでは、全モデル共通でインカメラが1800万画素の「センターステージフロントカメラ」に刷新された。このカメラは、セルフィー撮影の概念を根本から変える可能性を秘めている。従来のインカメラが抱えていた「のっぺりとした写り」という課題を、センサーサイズを約2倍に拡大することで解決したのだ。
このセンターステージフロントカメラの一番の特徴は、iPhoneを縦に持ったまま横長のセルフィーを撮影できることにある。画面上のズーム/回転ボタンの操作だけで、デバイスの向きを変える必要がない。複数人でのセルフィーでは、AIアルゴリズムが自動的に画角を調整し、全員が美しくフレーミングされる。
さらに「デュアルキャプチャ機能」を使えばアウトカメラとインカメラで同時に撮影した映像を合成可能だ。これはSNS時代の写真/動画表現として定着する可能性が高い。スポーツ観戦での興奮した表情、旅行先での驚きの瞬間など、被写体と撮影者の反応を同時に記録することで、より豊かな物語性を持った映像作品が生まれるだろう。
また、センターステージフロントカメラは捉えている映像の範囲が従来よりも広い。そのため、セルフィーで動画撮影を行いながら歩いても手ブレ補正がしっかりと効く。「アクションカメラモード」も利用できるなど、Vlogなどには最適なインカメラだ。
なお、「iOS 26」で地味ながら実用的なカメラ機能としてレンズの汚れ検知が追加された。撮影前にレンズの状態を自動判定し、必要に応じてクリーニングを促すアラートが表示される。
また、AirPodsシリーズをリモートシャッター兼スタジオ品質マイクとして活用できる機能も、撮影の可能性を広げている。
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