5分で分かる、先週のモバイル事情:11月29日〜12月5日
TCAが11月の契約数を発表。純増トップはソフトバンクモバイルが獲得したものの、イー・モバイルとドコモも健闘した。KDDIはLTE導入を正式に発表し、富裕層をターゲットとする英VERTUは2月にMVNOで日本市場に参入することを明らかにした。
ドコモのMNPの転出、過去最少に――11月契約数
電気通信事業者協会(TCA)が12月5日、2008年11月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。契約数は累計1億999万3500件で、携帯電話の契約数は1億542万5000件。
キャリア別の純増数は、ソフトバンクモバイルが11万3000の純増で19カ月連続でトップを守った。2位はイー・モバイルの9万7300で、NTTドコモの6万5100、KDDIの1万5800と続いた。
ドコモは他キャリアが前月10月の純増数を下回る中、前月比で約2倍の純増を記録し、番号ポータビリティについても、転出超過がこれまでで最も少ない1100件にとどまるなど状況が好転しつつある。
これまで3カ月連続の純減となっていたウィルコムは、4700契約を獲得して純増に転じている。
KDDIのLTE、コアネットワーク機器ベンダーは日立に
KDDIは12月3日、3.9GのインフラにLTEを採用すると正式発表した。2010年までにLTEのコアネットワークと基地局の開発を完了する予定とし、コアネットワークの機器ベンダーには日立製作所を選定した。
日立は3GPPで「SAE」として定義されている、コアネットワークノード、ネットワーク装置、監視制御の保守監視装置の共同開発ベンダーとなる。
コアネットワークノードには、端末の位置登録や呼び出し、基地局間ハンドオーバーなどのモビリティ管理を行うMME(Mobility Management Entity)、LTEおよび3Gアクセスを行う携帯端末に対して、ユーザーデータの中継機能を実現するS-GW(Serving Gateway)、コアネットワークとマルチメディアアプリケーションをIPで実現するためのサブシステム、またはISPや企業ネットワークなどの外部ネットワークとの接続を実現するP-GW(Packet Data Node Gateway)、ポリシー制御や課金ルール機能を担うPCRF(Policy and Charging Rules Function)を含む。
LTEは、NTTドコモが2010年以降の商用サービス開始を目指して開発を進めているほか、ソフトバンクモバイルとイー・モバイルが導入に向けた実証実験を行っている。
ウィルコム、MVNOでドコモ網利用か――一部報道で
ウィルコムが携帯電話回線によるデータ通信事業に来春にも参入する方針だと、12月1日付けで一部報道機関が報じた。NTTドコモの回線を借りるMVNO方式で展開するというこの報道に対し、ウィルコムは「競争環境が激化する中、NTTドコモを含めていろいろな可能性について話し合っていることは事実」などとコメントした。
ウィルコムは2009年10月にも、上りと下りでそれぞれ最大100Mbps以上の通信速度を実現する(サービス開始時の通信速度は別途検討中)次世代PHSサービス「WILLCOM CORE」を提供する計画だが、携帯電話の高速化が進む中、現在はデータ通信分野で苦戦を強いられている。そのため、新サービス開始までの“顧客引き留め策”として、携帯電話網を使ったサービスを検討しているとみられる。
富裕層の獲得目指す――ゴージャスケータイ「VERTU」、2月に日本上陸
ラグジュアリー携帯電話の製造・販売を手がけるNokia傘下の英Vertuが、NTTドコモの回線を利用したMVNOとして携帯電話事業に参入すると発表した。2009年2月19日に日本の第1号直営店となる「Vertu銀座フラッグシップストア」をオープンし、同日からVERTUブランド端末の予約販売を開始する。
Vertu銀座フラッグシップストアで取り扱うのは、高級素材のみを使って専属職人が組み立てた「シグネチャー」、スポーツカーからヒントを得て素材やデザインを追求した「アセント・ティー・アイ」の2つのコレクション。アセント・ティー・アイについては、端末に自動車メーカー、フェラーリの“跳ね馬”の紋章をあしらった限定特別モデル「アセント・ティー・アイ フェラーリ」の販売も予定している。
同社は2009年第2四半期(2009年4月から6月)をめどに、プレミアムメンバーシップサービスの「VERTU Club」を開始する予定で、予約した端末は同サービス開始後に届けられる。なお、希望者には、3Gに対応したSIMロックフリー端末を先行販売するとしており、VERTU Clubがスタートするまで音声通話のみを利用できる。
VERTUブランドの端末は、厳選した素材とこだわりのデザインで知られ、端末価格は最も安いアセント・ティー・アイでも67万円。富裕層をコアターゲットとしており、海外ではコンシェルジュサービスと合わせて提供している。
Nokiaが日本市場向け端末の開発・販売を打ち切るなど、市場環境が良好とは言えない時期に参入することについて、Vertuは「数年にわたる市場調査を行った上で日本市場への参入を決めた。(マス向け端末を提供するNokiaとは)顧客もビジネスモデルも戦略も異なり、富裕層に向けた携帯電話サービスは、日本市場でも可能性があると見ている」(Vertu広報)としている。
ドコモとソフトバンクモバイル、「Nokia E71」の発売中止
Nokiaが日本市場向け端末の開発・販売を打ち切ると発表したことを受け、ドコモとソフトバンクモバイルは「Nokia E71」の発売を中止することを明らかにした。
Nokia E71は、ストレート型ボディにQWERTYキーボードとQVGA(240×320ピクセル)ディスプレイを備えたスマートフォン。ソフトバンクモバイルは12月中旬以降、ドコモは2008年度内の発売を予定していた。
両社がE71の販売中止を明らかにしたことで、ソフトバンクモバイルが11月下旬に発売した「Nokia N82」が、日本市場向けノキア端末の最後のモデルとなった。
日本通信、ドバイi-mate製スマートフォンを投入
日本通信は12月3日、アラブ首長国連邦ドバイの端末メーカーi-mateが開発したスマートフォン、「Ultimate 8502」を日本市場向けに投入すると発表した。すでにJATE(財団法人 電気通信端末機器審査協会)およびTELEC(財団法人 テレコムエンジニアリングセンター)の認証を通過しており、NTTドコモの3G網を使った同社MVNOサービス向け端末として、法人向けに販売する。
Ultimate 8502は、Windows Mobile 6.1 Professionalを搭載したSIMロックフリーのスマートフォンで、日本通信は日本語環境で利用できる形で同端末を投入。ストレート型ボディに、2.6インチのQVGA(320×240ピクセル)表示タッチパネルとQWERTYキーボードを搭載する。通信方式はHSDPA/HSUPAのほか、GSM/GPRS/EDGEをサポートし、GPSや無線LAN(IEEE 802.11b/g)、Bluetooth 2.0も利用できる。また、映像出力機能を備えており、プロジェクターや外部モニタに接続することで、外出先でのプレゼンテーションや多人数でのテレビ電話などが行えるという。
「Yahoo!ケータイ」トップページ、有料化を撤回
ソフトバンクモバイルは12月3日、「Yahoo!ケータイ」のトップページの通信料無料を継続すると発表した。同社は10月31日に、2009年2月1日からYahoo!ケータイのトップページの通信料を有料化すると発表していたが、2月1日以降も従来通り通信料無料でトップページを利用できる。
変更の理由について同社は、「情報料無料サービスを強化する中でYahoo!ケータイのトップページを有料化する予定だったが、お客様から多数の意見をいただいたため」(広報部)としており、今後もトップページの通信料を有料化する予定はないという。
新宿でエリア限定ワンセグの実証実験
電通テックは12月3日、新宿モア4番街でエリア限定ワンセグの実証実験を開始した。同エリア限定のエンタテインメント系動画やショップ情報などを、12月7日まで配信する。
同社はこの10月に、総務省から実証実験を行うための実験試験局免許を取得。実験を通じて、エリア限定ワンセグのプロモーションツールとしての有用性を検証する。
エリア限定ワンセグは、地域密着型のリアルタイムなプロモーションやイベント会場などでのライブ配信、データ放送を利用したEコマース連携、デジタルサイネージ連携など、新たなビジネスモデルや顧客満足度向上につながる展開が見込めることから、通信キャリアをはじめとする各社が実証実験を行っている。
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