すべてのソニエリ端末を“エコ仕様”に 英Sony Ericssonの「GreenHeart」戦略:Ericsson Business Innovation Forum 2009
英Sony Ericssonが打ち出した環境戦略「GreenHeart」。単に“エコな”端末を数機種開発するだけでなく、今後のソニエリ端末をすべてエコ仕様にし、製造からリサイクルに至るライフサイクル全体で環境への負担を抑えるという。
環境問題に高い関心が集まる中、英Sony Ericssonは携帯電話のラインアップ全体でエコを推進するという思い切った環境戦略を打ち出した。Sony Ericssonのサスティナビリティ担当トップのマッツ・ペルバック・シャープ(Mats Pellback Scharp)氏は、「グリーンチョイス(エコライフを選ぶこと)を容易にする」と意気込む。
シャープ氏は6月21日(現地時間)、スウェーデン・ストックホルムで行われた「Volvo Ocean Race」寄航イベントで、最新の環境戦略「GreenHeart」の説明を行った。Volvo Ocean RaceはSony Ericssonの親会社であるEricssonが参加する国際的なヨットレースだ。
Sony Ericssonが6月4日に発表した環境への取り組みは、携帯電話ベンダーとして非常に大胆で、2015年までに、
- 社内のCO2排出量を20%削減
- 製品レベルの全ライフサイクル(マイニングから製造、ユーザーの手に渡った後まで)で排出される二酸化炭素を15%削減
を達成するという。
シャープ氏によると、同社は2002年に投入した携帯電話から有害物質の利用に関するポリシーを設定するなど環境に配慮しており、GreenHeart戦略はすでにある取り組みを改めて体系化するものだという。
フィンランドのNokiaなど複数のベンダーがエコ仕様の携帯電話を展開しているが、シャープ氏はGreenHeart戦略とこれらの端末の違いについて「1つの製品カテゴリではなく、製品ポートフォリオ全体に適用される品質標準」と補足する。
これは、Sony Ericssonの環境戦略のカギとなる部分だ。同社の調査では、環境問題について、先進国だけではなくブラジルなどのBRICs諸国、発展途上国を含めた世界規模で高い興味や関心があることが分かったという。
GreenHeartラベルを持つ最初の端末が、6月20日(現地時間)に欧州市場で発売された「C901 GreenHeart」で、10月にはボリュームゾーンのHSPA端末「Naite」を投入する。その後、2010年第1四半期には3機種を投入し、GreenHeart端末を少しずつ拡大する計画だ。
GreenHeartの特徴は、製造と流通、販売から、ユーザーが次の端末に買い換えてリサイクルされるその日まで、同社が進めるライフサイクルに組み込まれている点だ。リサイクルは2009年第3四半期に回収プログラムを開始。2011年までに100万台の回収を目指し、回収情報の提供と回収場所の増設でユーザーが容易にリサイクルに出せる環境を整える。
開発と生産の段階では、労働環境や事業慣行などのガイドラインを定め、サプライチェーン各社に順守を求めていく。素材の購入についても、Sony Ericssonのスタンスを明確にしているという。これらにより、環境に与えるインパクトを包括的に測定できるとした。
初代Green Heart端末のC901 GreenHeartは、100%再利用プラスチックを利用した。有害物質が含まれていないのはもちろん、端末内にマニュアルを内蔵した電子マニュアルと小型の個装箱により紙の利用を90%削減、運送における二酸化炭素の排出量も80%削減する。
パッケージの小型化とマニュアルの電子化により、カーボンフットプリントを15%削減できるという。これだけでなく、ウォーキングによる二酸化炭素の削減量を計算する「WalkMate」などエコアプリケーションも搭載する。
“エコ”なC901 GreenHeartは、キセノンフラッシュ付きの16倍ズーム対応5メガピクセルカメラには顔検出・笑顔シャッターを搭載するなど、カメラ機能も充実。携帯電話としての仕様も魅力的な一台だ。「品質は犠牲にしない。消費者はエコだから買うのではなく、携帯電話の機能で購入を決定する」とシャープ氏は語る。
秋に発売されるNiateは、再利用プラスティックの利用、電子マニュアル/小型パッケージの採用に加え、消費電力効率に優れた充電器「EP300 GreenHeart」が付属する。「われわれの充電器はこれまでも省エネ性では最高レベルだったが、EP300 GreenHeartは業界平均より90%優れている」という。
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