“いくら使っても2800円”の世界をぜひ体験してほしい──ウィルコム 寺尾氏
ウィルコムがコンテンツサービスの拡充を発表した背景には、パケット通信料の安さや、ウィルコムが提供するコンテンツサービスをもっと知ってほしい、という意図があった。リニューアルによってユーザーにはどのような恩恵があるのか、寺尾洋幸氏に聞いた。
ウィルコムが7月29日に発表した公式サイトのリニューアルを含むコンテンツサービスの拡充には、大きく4つの施策が盛り込まれている。公式サイトのリニューアル、無料コンテンツポータル「とりほ〜だい★らんど」の提供、着信ボイスサービスの開始、W+Video対応端末の拡大がそれだ。
今回ウィルコムがこのタイミングでサービス拡大を発表した背景には、どのような狙いと意図があったのか。ウィルコム サービス開発本部 副本部長 サービス計画部長の寺尾洋幸氏と、サービス計画部 コンテンツ企画グループリーダー 課長補佐の生田浩史氏に聞いた。
コンテンツサービスをもっと知ってもらうことが狙い
ウィルコムが提供するパケット通信サービスは、音声端末であれば月額2900円の「新ウィルコム定額プラン」に加入するだけで、パケット通信を一切しなければ追加は0円、思いっきり使っても最大2800円で利用可能。携帯電話キャリアが提供しているような、月額315円のインターネット接続サービス利用料(iモード付加機能使用料、EZ WINコース、S!ベーシックパック、EMnetサービスなどと呼ばれているもの)は不要で、「まったく使わなかった場合でも390円かかる」といったこともない。もちろん上限は4410円よりも1610円安い。
また、ウィルコムにも多数の公式コンテンツプロバイダが存在している。単純に数を比較すればドコモやau、ソフトバンクにはとうてい及ばないものの、数百社がウィルコム向けにコンテンツを提供しており、主要なサービスは公式メニューからもアクセスできる。だが、現状ではまだパケット通信を利用したサービスの認知度は高くないという。
「私たちのお客様は、音声サービスに魅力を感じてウィルコムを選んでいただいている方が多いこともあって、携帯電話と比べてパケット通信料が安い、ということがあまり伝わっていないという反省があります。そこで、安心して安い料金でさまざまなコンテンツやサービスが使えることを知っていただきたいと考え、ベーシックな取り組みとして、コンテンツへの導線をより短くする施策や、無料でコンテンツが楽しめる仕掛けを用意しました」(寺尾氏)
最近では、「WX340K」や「BAUM」のメニュー画面にGoogleやYahoo!JAPAN、mixi、edy、QUICPayなどの、コンテンツやアプリに直接アクセスできるアイコンを設定し、手軽に利用できるような施策を行った。これにより、WX340KやBAUMが発売される前の2月の時点と比べて、6月の公式サイトへのアクセス数は約23%増えるなど、徐々に利用は増加しているという。
「パケット通信をすると、“なんかすごいことになってしまう”“ものすごく高額な請求が来る”と思っている方もいまだにいらっしゃいます。過去には、設定の間違いかなにかで定額制に加入せずパケット通信をしてしまって、高額な請求が発生したといったこともあったため、心理的な抵抗感があるのかもしれません。でも、ウィルコムなら2800円の追加料金でたくさんのコンテンツを楽しんでいただけます。そのことをぜひ多くのユーザーさんに知っていただきたいんです」(寺尾氏)
無料で全話読めるコミック、ゲームやデコラティブ素材を多数用意
“どんなに使っても追加は2800円”というウィルコムの魅力を知ってもらうためにウィルコムが用意したのが、機種ごとにカスタマイズした公式サイトのトップページと、大量の無料コンテンツを用意したポータルサイト「とりほ〜だい★らんど」だ。
公式サイトは、これまでの音声端末全機種で共通だったものを10種類に分け、端末ごとに最適化されたページを表示するように改修した。
「特にHONEY BEEシリーズなどは、ユーザーの属性がはっきりしていますので、HONEY BEEユーザーに適したページを用意しています。そのほかの音声端末も、端末ごとに属性に特徴がありますので、ユーザーに使いやすいページに作り替えました。機種によってJavaアプリやおサイフケータイに非対応のものなどもありますから、そうした機種ではおサイフケータイに関する情報を表示しないようにする、といった細かな差別化もしています」(寺尾氏)
多数の無料コンテンツを用意したとりほ〜だい★らんどは、今回のリニューアルにおける目玉の1つだ。単に複数のコンテンツプロバイダから無料のコンテンツを集めただけでなく、どうしたらユーザーが本当にコンテンツを気軽に楽しめるかを考えて、えりすぐりのラインアップを用意した。
「無料のコンテンツは、ユーザーのみなさんに喜んでいただけそうなものをピックアップしてCPさんと交渉し、いろいろとそろえることができました。まずは使って体験していただくことが重要だと思っています」(生田氏)
特に驚かされるのが、コミックコンテンツが「全話無料」である点だ。生田氏が「コミックはよくある“1話だけ無料”ではなく、シリーズの全話が無料で楽しめるようにしています。ぜひ全話ダウンロードしていただきたいですね」と話すように、『ジェネラルルージュの凱旋』『蟹工船』といった人気のコンテンツを、ウィルコムユーザーならパケット通信料だけで全話読むことができる。無料のゲームも、いかにも無料という感じのライトなゲームではなく、「とことんぷよぷよ特別版」「悪魔城ドラキュラ」といった定番のタイトルを用意した。
さらに、全話無料のコミックは毎月2本程度のペースで入れ替わるため、毎月違うタイトルが楽しめる。ゲームも月に10本程度を提供予定で、動画や着信メロディ、壁紙なども毎月異なるものをラインアップ。デコラティブメールの素材は約400点からスタートし、毎週追加していく。「1回でもいいので、まずはサイトを訪れていただければ」と生田氏が話すように、ちょっとサイトをのぞいてみると、あれこれダウンロードして、ウィルコムの端末でさまざまなコンテンツを楽しんでみたくなる。
実は対応機種が多数あった──着信ボイスサービスもスタート
このほか、着信メロディよりも明瞭な音で楽器や人の声、環境音などを再生できる着信ボイスも、コンテンツを楽しむきっかけになるものとして提供する。
「実は、もうずいぶん前から京セラ製端末は着信ボイス機能をサポートしていたんです。でも我々のサービス開始が追いついておらず、今回ようやく提供できるようになりました。携帯電話ではもはや当たり前の機能ですが、着信音のバリエーションが広がりますので、いろいろ楽しんでいただきたいですね」(生田氏)
ちなみに着信ボイスサービスは、対応コンテンツプロバイダが5つあり、それぞれ月額315円もしくは210円で取り放題のサービスを提供するほか、一部のサイトでは1ダウンロードあたり8.4円の都度課金でも購入できる。
機能追加の第2弾なども準備中
今回発表した施策は、どちらかというとウィルコムがユーザー向けに「これを使ってください」という形で、一方通行的にコンテンツを提供するものだが、ウィルコムが提供するサービスの基本である“コミュニケーション”をもっと促進させるような新しい取り組みも準備を進めている。
「すでに公式サイトになっているmixiだけでなく、いろいろなコミュニケーションサービスを提供している企業と話し合いを続けています。秋に向けての仕掛けも用意していますので、ぜひ楽しみにしていてください」(寺尾氏)
また寺尾氏は、「Skypeを使ったチャットなどもできるようになればいいと思っています」と、今後ウィルコムがめざすサービスの1つのヒントとなるキーワードもを投げかけてくれた。
生田氏が「まずは使ってみてください。使ってみていただければ、それなりに遊べます」と言うように、今回のリニューアルはユーザーに対してウィルコムのコンテンツサービスに触れてもらう機会を増やすのが狙い。上限が安いパケット通信料の魅力を、多彩なコンテンツで体験してもらうことで、パケット通信やコンテンツサービスの利用者を増やしていきたい考えだ。ウィルコムユーザーなら、まずはこの“2800円ぽっきり”の恩恵を存分に味わってみてはどうだろうか。
関連キーワード
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