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“位置+集合知”の「Google Buzz」がモバイルに与える衝撃

GoogleがGmailの1機能として組み込んだTwitter風のソーシャルサービス「Google Buzz」は、位置情報を使ったモバイルサービスとしても大きなポテンシャルを秘めている。iPhone向けBuzzを実際に使い、感じたことだ。

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photo iPhone向けのWebアプリ版「Google Buzz」

 米Googleが2月9日、ソーシャルサービス「Google Buzz」をGmailの1機能として公開した。日本においても公開が進んでおり、近日中に全ユーザーに機能が提供されるという。Google Buzzでは、「バズ」と呼ばれるメッセージを投稿したり、友人や気になるユーザーをフォローしたりと、Twitter風のコミュニケーションが可能だ。

 筆者のPC向けGmailは、サービス開始当日はBuzzに対応していなかったが、iPhone向けのBuzzは利用することができた。今回のサービスはAndroid端末やiPhone向けにWebアプリが用意されており、端末の位置情報と連動することでPC上でのBuzzとは違った使い勝手を提供している。そしてこのモバイル版Buzzは、最近注目が高まっている“位置情報を活用したモバイルサービス”の中でも強力なポテンシャルを秘めていると感じた。

 Buzzの先輩とも言えるTwitterがブレイクした要因の1つには、モバイルデバイスでの利用の拡大があるだろう。端末から“いつでもどこでも”ステータスをアップデートできるようになったことで、Twitterはソーシャルプラットフォームとしての影響力を高めた。そしてモバイルでの利用が広がると、タイムラインとして提供してきた時間の文脈に加え、位置の文脈にも注目が集まり、それに伴って周囲のツイートを検索する「Nearby」の機能が生まれ、端末のGPSを活用してツイートに位置情報を付加するための「Geotagging API」も公開された。

 さらにTwitterのクライアントの中には、緯度・経度という位置だけでなく、店舗や施設といった“場所”とツイートをひも付けるものも登場した。関心空間のiPhone向けTwitterアプリ「ランブリン」は、レストランをはじめとする“場所”のデータベースを独自に用意し、自分が訪れている店舗の感想などをその店舗にひも付けてツイートできる。これらのツイートは、通常のタイムラインだけでなく“その場所のタイムライン”にも反映され、ツイートが増えることで店舗の口コミ情報が形成される仕組みになっている。

 さらにランブリンでは、ひも付けたい場所がデータベースになかった場合、Googleマップのスポット情報を引っ張り出すことができる。今回公開されたモバイル版Buzzは、この“Googleマップのスポット情報とつぶやきのひも付け”を本家が強力に展開するものだ。

photophotophoto バズ投稿画面(写真=左)では、現在地が書かれた画面下のアイコンをタップすると、店舗などのスポットがリストとして出る。希望のスポットがリストに出なければ、検索枠に店名などを入れて検索することも可能だ(写真=中央)。スポットに投稿したバズは、スポットの情報ページにストックされる(写真=右)
photo モバイル版Googleマップにはバズを表示するレイヤーが用意されている。Google Buzzから「バズマップ」を選択すれば、この画面に遷移する

 BuzzのWebアプリではGPSの利用を許可することで、ユーザーの現在地が測位され、周囲のバズを表示したり、ユーザーのバズに位置情報を付加したりする。バズの投稿時には、自動的に付与された位置情報以外にも、付近のスポットをリストから選択し、今いる店舗や施設にバズをひも付けることが可能だ。投稿したバズはスポットの情報としてストックされ、すでにBuzz上だけでなくモバイル版Googleマップからも「この場所のバズを見る」という項目で閲覧できるようになっている。つまり、Buzzはリアルタイムな口コミデータベースとして使うことができるのだ。既存のレビューと違って、日常的に利用するソーシャル機能からそのまま「口コミ」できる手軽さがBuzzにはある。

 さらにバズに対する投票機能も設けられている。それぞれのバズをタップすると、「Good!」と書かれたアイコンが姿を現し、それをタップすることでバズに投票することができる。投票されたバズにはスマイルマークと投票数が表示されるようだ。人気のあるバズ、あるいは信頼できるバズが、控えめではあるが視覚的に分かるようになっており、こうした単なる時系列順にとどまらない情報の提示手法は今後も進化が予想される。

 このような特徴を持つGoogle Buzzだが、Twitterに比べれば操作が複雑な上、Webアプリのためアクションごとに待ち時間が発生するなど使いにくい面がある。しかし、Gmailという大きなユーザー基盤を持つサービスに組み込まれていることが、利用者の拡大を強く後押しするだろう。すでに公開初日から都心はもちろん郊外でも投稿が散見できる状態になっており、筆者の投稿したバズには海外のユーザーらしき人物のコメントまで付いていた。さらに、GoogleはAPIの一部を公開し、公開範囲をさらに広げるとしていることから、他のサービスとの連携も拡大するだろう。Google Buzzの公開を契機に“ソーシャル+ロケーション”のビッグプレーヤーとしてGoogleの存在感が高まることは間違いない。

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