iPadがPCから売り上げ奪う可能性 Apple幹部が示唆
「iPadはMacなどのApple製品と食い合う」との見方に対し、Appleのティム・クックCOOは「iPadとほかのApple製品のシナジー」を主張、iPadはPCの売り上げを奪うかもしれないと示唆した。
Appleは、iPadの当初の需要は同社の予想を超えていると主張。また、以前アナリストが示していた「iPadがAppleのほかの製品ラインの需要を奪う」という見方とは逆に、同製品はほかのApple製品とのシナジーを生み出す可能性があるとも話している。この見解は、Appleの7月20日の決算発表電話会見で、ティム・クックCOO(最高執行責任者)で示したものだ。この会見ではiPadの最初の3カ月の売り上げについて、具体的なデータが公表された。
Appleは2010年第3四半期(4〜6月)に327万台のiPadを販売し、これが総売上高157億ドルと純利益32億5000万ドルに貢献した。同四半期にMacとiPhoneの出荷台数は拡大したが、iPodの売り上げは緩やかな下降を続けた。Appleは以前から、iPod売り上げ減の一因はiPhoneに需要を食われたことにあると説明している。
「iPadを出すときに、当社の生産能力で100万台は大胆な計画だと思っていた」とクック氏は電話会見でメディアとアナリストに語った。「多数の業界アナリストは、1年丸々かけて100万台しか売れないと予測していた」
結局iPadは1カ月に100万台以上売れ、生産を調整し直さなければならなかったと同氏は付け加えた。「できるだけ早急に生産を増強している。そのために増やさなければならないものがたくさんある。だが、生産を拡大できると自信を持っている」
一部のアナリストは、iPadがiPodやMacの市場に食い込むと見込んでいるが、クック氏は同製品がほかのApple製品と食い合う可能性について、ポジティブな見方を示そうとした。
「Macのシェアはまだ低く、成長の機会はまだ非常に大きい。それにiPad、iPhone、iPodを通じてAppleに初めて触れる顧客は確実に増える。そこでMacとのシナジーが生まれるかもしれないし、iPadとiPhoneの間のシナジーなどもあるかもしれない」(同氏)
iPadは結局、Appleのライバルの方に大きなダメージを与えるかもしれないと同氏は示唆した。
「iPadがPCと売り上げを奪い合うことになったら、当社にとっては素晴らしいことだと思う。奪う相手がたくさんいるからだ」と同氏。「この市場は今でも大きい」
調査会社iSuppliは7月20日に、2010年のiPad販売台数は1290万台になり、2011年には3650万台、2012年には5040万台に達すると予測するリサーチノートを発表した。
「成功を続けるカギは、問題が生じたときにAppleがどれだけ迅速に対応するか、同社が需要に応えるためにサプライヤーをそろえられるかどうかだ」とiSuppliのモニタ調査ディレクター、ロンダ・アレクサンダー氏は述べている。「Appleの部品需要が急速に増えていることは、同社が2010年の生産目標を引き上げたことを示唆している」
iSuppliのリサーチノートでは、Appleが2011年4月にiPadを刷新するとの予測も示されている。おそらくはカメラを内蔵し、ディスプレイサイズのバリエーションが増えると予想している。同社は、iPadは現在タブレット市場の84%を占め、「少なくとも2012年まで圧倒的優位に立つ」と示唆している。
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